第3章 挫折予防の学習術
3-1 基本の挫折予防策
既に長い第1章と第2章をお読みくださり、ありがとうございました(笑)。
ここまでの内容は基本の挫折予防策でもあったので、簡単にふりかえりをば。
●ベスト・セルフをイメージする(意欲を持つ)
→実現の道筋を描く(必要事項を洗い出す)
●机に向かう以外の勉強時間・手段を持つ
→隙間時間でも勉強できる分野を意識する
→ときには受け身な勉強で息を抜く
→音声データ活用、ボランティアなどもやってみる
●勉強プランは具体的につくる
→まずは全体を把握する
→難解そうなことにとらわれない
→やるべき事柄とその時間を明確にする
→プランは見える形にする/実行後はつぶす
●有益情報を得ながら学ぶ
→図書館利用で経済負担を軽くする
→ボランティア参加で仲間や先輩とつながる
→メルマガで情報を収集する
●記述式対策
→文章力は書いて育てる
→模範回答の丸写しも取り入れ、負担少なく効果をあげる
●疲労を招かず元気で学ぶ
→普段もベストで過ごし、当日のベストの基準値をあげる
→無理な勉強はしない。うまく行かないならプラン自体を改善する
3-2 過去問でやる気を保つ
3-2-1 過去問に挑む時期とペース配分
ゴールデンウィークが明けたら、過去問へのトライを始めます。
過去5〜6年分がおすすめかなと思います。いきなり何冊も買わなくても、1冊ずつで大丈夫です。私は過去問を5年分(5冊)を、すべて4回やりました。
古すぎる過去問には私は手出ししませんでした。5年以上古い過去問をやっても制度や数値データの違いから自分が却って混乱するかも?と懸念したためです。
「はじめに」に購入書籍の写真を載せたとおり、私はさほど多くの問題集に触れていないのですが、それは過去問は問題の質が群を抜いて優れていると感じ、過去問で満足していたからです(私が書くのもおこがましいですが…)。
問題集には出題文の表現に解釈の幅を含むような問題や、ニッチすぎる出題を見かけることがありました。
過去問で唯一困るのは、解説が過去問冊子本にはないことですよね。私は過去問解説を丁寧に公開してくださっている日本語教師の方々のブログにお世話になりました。皆様、ほんとうにほんとうに、ありがとうございました。
わかりやすい解説との出会いは挫折予防になります。「そうか! わかった!」と思えれば勉強は楽しくなります。いくつかのブログを見比べて、どの解説が自分にとってわかりやすいかも知っておくと、その後がスムースかもしれません。
3-2-2 過去問に、当日通りのタイムスケジュールで臨む
過去問に臨む際は、できるだけ試験の当日と同じタイムスケジュールにしました。当日と同じタイムスケジュールにすると、いろんな気づきがありました。
途中でトイレに行きたくなるとか、鼻をかみたくなるとか。座っていて腰が痛くなることに気づいたり、目のかすんだり痒くなったり。突然謎にむせたり(笑)。
私の受験時はマスク装着が義務付けられていたので、マスクのゴム紐も痛くて、いろんな種類のマスクを試してみたものです…。
そうした気づきは必ず当日のベスト・セルフの実現に生かし、対策をとりました。
●過去問への取り組みのペース
過去問1冊に、だいたい3〜6日がかかりました。解いて答え合わせをするのに1日。翌日以降で解説を読みながら学ぶ…として、全部で3日〜6日ほどでした。特に初期はミスも多く時間がかかりました。
5月は中古問題集と聴解の勉強に取り組みながら、過去問は1冊だけ解きました。
6月以降は過去問に挑む頻度をあげました。
7月末あたりで過去4年分=4冊を終えていたように思います。その後もう1冊増やしました。
8月はほとんど過去問だけで勉強しました。8月末には5年分の過去問を3回終えていました。
9月でその3回の結果を総分析し、弱点を補強し、9月末から4回目でした。
過去問に取り組むと、どのような問題で/どのくらい時間が経過すると自分の頭が朦朧としはじめるのか(笑)が徐々にわかるようになります。得意・不得意分野も見えてきます。それを放置せずに重要情報として生かすよう心がけました。
「私はここが苦手なのだ」と思いながら赤本を再度学習するだけでも、頭への入り方がグンと良くなりました。
改善と成長を考えながら、スタイルは基本のままで勉強を続けました。
「7月20日の午前は、外国人の在留資格についてまとめ直してみよう」など、やる事柄と取り組む時間のふたつを明確にし、カレンダーに記入し、やったらつぶす。つぶしたら、過去問で該当する問題が解けていたかを確かめる。その繰り返しでした。
3-3 願書を出す
3-3-1 出願書類を入手する
出願については必ず最新の情報をお調べください。日本語能力検定試験の実施主体である、公益財団法人日本国際教育支援協会のWEBサイトに情報が掲載されます。
ここです↓(3月30日現在では令和4年12月から更新されていませんでした)
http://www.jees.or.jp/jltct/index.htm
蛇足ですが日本語能力試験とお間違えのないように…
(私は間違えたことがあります 笑)。
●概要
私の受験当時の概要は次のとおりでした。
・受験料 14500円(郵便局やゆうちょ銀行窓口から)
・願書等を特定記録郵便で送る
・出願期間は約7月いっぱい
肝心の出願書類の入手は、主要書店での購入が必要でした。400円でした。
取り扱い書店が身近にない人は大変だっただろうなと思います。メルカリに願書が出品されるほどでした。私も最初は楽天ブックスで予約購入手続きをしましたが、ステータスがいつになっても変わらず。待てなくなって書店に足を運びました。
6月末に情報を確認し、早期入手してください。7月1日には出願書類が出回っていましたので。
出願期間は1ヶ月ほどですが、写真の撮影と添付が必要だったり、願書は特定記録郵便で送らなくてはならないなどの制約で(郵便ポストに投函するだけではダメでした)、1ヶ月はあっという間でした。
特に、何らかの配慮申請を検討したい人は早めに出願書類を入手して、配慮申請に関する説明に目を通すことをおすすめします。(この詳細は第5章へ)
3-3-2 出願を諦めない
出願時期に不安があると、検定へのチャレンジそのものを諦めようかな…というお気持ちになることもあるかと思います。
でも、諦めるには早すぎます。試験日までには、7、8、9、10と、3ヶ月半以上もあります。
個人的体験でしかありませんが、私の場合7月と8月の2ヶ月の勉強で4月〜6月に比べると信じられないほどの成長の実感がありました。過去問の3巡目を終えたころ、全体の知識が自分の中で統合されて繋がりはじめた実感がありました。あの感覚は、6月末の時点では得られなかったものです。
しかも「機会」は2度と得られません。お金は節約するなり稼ぐなりで他の解決法もありますが、機会というのは2度目はなく、実に貴重だと感じます。
他にも、ご事情や様々なジレンマ状態で悩むことがあるかもしれません。最終的にはご自身での判断になるのですが、なんとか出願をあきらめないでほしいです。
出願開始となったら、素早く出願を済ませちゃうのが一番かなと思います。そして、7月〜当日までを充実させ、勝ちに行きましょう。