【新米パパママにおすすめ】公認心理師が教える/幼児健診の歩き方 /1歳半健診編#1「呼名」
はじめに
私の、親としての幼児健診デビューは、ほろ苦いものでした。
と、いうのも長女は当時、極度の人見知り。
新米ママだった私は、いかに泣かさずに終えられるか、そのことで頭がいっぱいでした。
しかし、最初は我慢していたものの、やがて時間切れが。
ついに、泣き始めた長女。
なぜこんなに泣くのか。
いつもこうなのか。
畳み掛けるように質問する保健師さん。
答えようとする私の声をかき消さんばかりに泣き叫ぶ長女。
その声はますますヒートアップしていき、私の脇汗は止まらず‥。
今でこそ笑えるエピソードですが、
当時は結構、へこみました。
幼児健診に従事するようになったのは、
それから何年か経った後のことです。
あのときの経験が、迷える親子のための支援を志す、ひとつのターニングポイントになったかもしれない。
いま、振り返ってみてそう思えるのです。
子どもにとって初めての幼児健診なら、
親にとっても同じ。
私のように、無防備なままで臨むと、
場合によってはまごついたり、
ひょっとしたら傷つくことがあるのかもしれません。
知らないと知っているとでは、
大きな違いだと思うのです。
何よりも、
お子さんとの初めての健診は、
よい思い出になるものであってほしい。
そんな思いから、
意外に知られていない幼児健診の裏側を、
発達心理の視点から見つめるシリーズをお届けします。
これは、未知の領域の幼児健診を、新米パパママが軽やかに歩くためのお手伝いをするガイドブックです。
幼児健診について
幼児健診は、法定健診(法律に定められた健診)です。
広く知られているものに1歳半健診と3歳児健診があります。
幼児健診の多くは、
集合健診の形式で実施されています。
身体計測や尿検査、視力検査や医師、歯科医による診察などを含んだ、子どもの発育発達を総合的に評価する場です。
そこで発達面の評価を中心的に担うのが、
私たち発達心理相談員です。
1歳半、3歳とそれぞれの年齢ごとに、
発達をみるポイントがあります。
呼名(こめい)
1歳半健診で発達の大事なポイントの1つが、今回お伝えする呼名です。
呼名は、ここでは「こめい」と言います。
呼名とは、字の通り、名前を呼ぶ(呼ばれる)ことです。
健診の場では、名前を呼ばれたときの子どもの反応(応答)そのものを指します。
その反応によって、
人と繋がる大事な部分の発達の状態が評価されます。
私が所属する政令市の健診の問診票には、
Q.名前を呼んだ時に目を合わせますか。
という質問があります。
これが呼名について尋ねる項目に該当します。
ちなみに、回答は選択式。
はい、いいえ、わかりませんの3択から選びます。
なぜ大事なの?
人からの声掛け、名前呼びに対する反応は、機能的な耳の聞こえ(聴力)だけではなく、
他者への関心、応答性も示しています。
これから急速に伸びていくコミュニケーションの力の土台が、どの程度まで育っているかをみきわめる、とても重要なポイントです。
今後の伸びを推しはかるうえで、
反応の仕方についても十分に注意してみていくことが発達心理相談員には求められます。
声掛けの留意点
お子さんの名前を呼ぶ時は、
わかるようにはっきりと、
そしてなるべく相手をしていない時を見計らって、声を掛けてみてください。
「なに?」という風に顔を上げて、
お母さん(お父さん)の顔を認める様子があれば、呼名はバッチリOKです。
遊びなどに夢中になり過ぎて、
呼名が入らない場合があります。
その時は、
環境を変えてトライしてみてください。
目の前におもちゃなどがない、
刺激の少ない環境のなかでは入るかもしれません。
毎回入らないのならば、どのような状況下なら入るのか把握することも大事です。
終わりに
子どもの育ちは同じではなく、
日々変化します。
心配し過ぎないことも大事な心がけです。
伸びているところにもしっかり目を向けて、お子さんとの毎日の関わりを楽しいものにしていきましょう。
次回のテーマは「視線」です。
コミュニケーションの力をうながす関わり方についてもお伝えする予定です。
是非、ご覧ください!
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