突破
昔話さ 自動車会社に勤めているおじさんたちがいつもブツブツ罵っていた
「護送船団だって？とんでもない 俺たちの邪魔をしているだけじゃないか 政府は何もするな 俺たちに任せろ必ず外貨を稼ぎまくってやる稼いでやる」
毎日毎日聞かされ続けたからなんとなくずっとそうだと思っていた
気がつけばあれから何十年も経ったのだ あのおじさんたちはもう語らない
さっきYouTubeで日本の大臣さんが言っていた
「日本企業はもう政府と戦わない それどころか政治に助けを求めてくる 政治が何とかしてくれるだろうと」
「かつては違った 企業は政治の提言を片っ端から蹴り返して 勝手にどんどん物を作ってどんどん海外に売りまくっていた 今やそういう気概は無い かたやアメリカは違う 企業は政府とガンガンやり合う」
そういえば昔のあのおじさんたちのように 激烈な発言を聞く事はなくなった あまりにおとなしいのを見かねて海外在住者が代弁するほどだ
大臣さんは言っていた 「塀は政治で壊すから行けるところまで行ってくれ 1億人相手じゃなく80億人を相手にして」
時の流れとはこういうものか いつの間にか何もかも立ち位置が変わっている
そしてさらに時は移る 新しい世代は感覚も新しい 価値観も 幸福感も 新しい
塀が壊されて現れたあまりにも広大な地平を前に呆然とたたずむ世代を追い越して生き生きと駆けて行くだろう
埃に埋もれた宝を受け取り受け渡し
思いはきちんと告げ 語り合い
喜びを分かち合うことをあきらめない