外国人 日本の家事を語る 1 ALJさん

回答者プロフィール:50代アメリカ人女性
日本育ちのアメリカ人男性とアメリカで知り合い、仕事で来日。現在は、アメリカ在住(オンラインで聞き取り調査) 2020年2月実施

日本に来る経験はタイムマシンに乗って過去に戻るよう


夫はアメリカで生まれて、日本で育ちました。私はアメリカ生まれで、大学を出るまでアメリカで育ちました。

日本に来たのは1989年2月です。

質問者:私の周りには日本人と結婚してこちらにやってきた時に海外での夫の行動と日本での土の行動が違うという人がいます。彼はどうでしたかか?

社会的圧力と言うとネガティブに聞こえますが、人が社会に期待された行動や社会にふさわしいと思う行動をとるのは、ごく自然なことだと思います 。ですから、日本の状況とてもよくわかった人なら、当然その行動も変わるでしょうね 。また、そういったことへの認識がなかったり気がつかなければ、自分たちのそれまでのやり方を通すでしょうけれど、周りが期待していることと全然違うことをやるっていうのは、それなりのエネルギーも消耗しますよね 。その状況を理解して、その場所に自分が馴染んでいればいるほど状況に合わせようとするんじゃないでしょうか 。

子供達は、日本の幼稚園に行きましたが、とても文化的に保守的な幼稚園だったので色々大変なことがありました 。例えば、子供たちは一人一人学年ごとにおしるしというものを渡されていて、全てのもちものにその印をつける必要がありました。洋服にもおしるしをつけて、一年経ったらそれを外して、また次の年のお印をつける。それお母さんの仕事でした。

お弁当でも先生方から指導がありましたし、子供たちからのプレッシャーもありました。私は、個人的に先生から呼ばれて指導されたりことがありました。ただね、私の友人のアメリカ人と彼女の子供達が行っていた幼稚園は、私の子供たちの幼稚園と違いました。だから、一律に日本の学校がといったことを言えるかどうかは、わかりません 。

アメリカ人の友人の子供達が入った幼稚園は、もっと田舎でしたが、子供達もブロンドで見た目から全く違いますからね。そのせいかどうかはわからないけど、彼らは私たちがやったようには日本の幼稚園のルールを守らなければっていう感じじゃなかったですね。

私は全部刺繍なんかもやったし、とにかく正しくやろうってものすごく頑張りました。夏休みの課題なんかも、とても真剣に取り組みました。毎日歯を磨かせるとかね 。

質問者:アメリカでは、夏休みの歯磨き表などは無いっていいますね。そうなんですか?

全然ない。ありませんね。

私にとって日本に来るっていう経験はタイムマシンに乗って過去に戻るような経験でした。私は6人兄弟の末っ子なの。上の兄弟たちが育った頃には、まだ男性や女性の役割分担みたいなものは根強く残っていたけれど、私が1961年に生まれた当時はかなり女性に自由が認められていたんですね。全く平等とまではいかなくても、かなり自由になってきていたんです。
私が育ったシアトルは結構進歩的なところだし、家族も進歩的だったの。でも、日本に来たら、大きく事態が後退した感じでした。30年40年あるいは50年ぐらい過去に戻った感じでした。
例えば、新聞の求人広告でも、「受付嬢を求む。女性20歳から35歳みたい。未婚者。」なことが書かいてあったりしたでしょう。当時、アメリカではそんな広告は、もうなくなっていたんですよ。日本では、まだ女性が仕事を持つことも許されていなくって、仕事で生きていくか家庭を選ぶかの二択だったわね。子育てや家事は誰の責任かなんて、聞くまでもないことだったわよね。女性がするものだ、っていうふうに考えられていたでしょう。それが、言葉の中に埋め込まれているんですよ。「お嫁をもらう」とかね。「お嫁に行く。」言い方一つにしても、そういう考え方が反映されているんだって解った時は、ぞっとしました。

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得意技は家事の手抜きと手抜きのためのへりくつ。重曹や酢を使った掃除やエコな生活術のブログやコラムを書いたり、翻訳をしたりの日々です。近刊は長年愛用している椿油の本「椿油のすごい力」(PHP)、「家事のしすぎが日本を滅ぼす」(光文社新書)