日食なつこ『Coins on the table』
2020/10/11(sun) @岩手銀行赤レンガ館
セットリスト
01 赤いサイレンが廻る夜
02 10円ガム
03 批判のうた1
04 お役御免
05 foreseer
06 深夜潜水
07 雨雲と太陽
08 必需品
09 Red-light Tower
10 竜巻のおどる日
11 ギャングギャング
12 剣の歌
13 神様お願い抑えきれない衝動がいつまでも抑えきれないままでありますように
14 空中裁判
15 ヘールボップ
日食なつこと岩手銘菓「かもめの玉子」とのコラボ商品である「かもめのうた」を準備しながら、そのときを待つ。日食初心者である私にとっては配信ライブといえど初めてのライブ。リアルタイムで今の日食なつこを感じることができることが本当に嬉しくて待ち遠しかった。
自然と都会の風景が交互に映し出された後、始まったのは「赤いサイレンが廻る夜」。岩手銀行の重厚な雰囲気と赤いライトと日食さんのピアノと歌。続けて「10円ガム」と「批判のうた1」という、日食オーパーツを披露していただく贅沢極まりない始まり。
「お役御免」は力強く、「foreseer」は初めてその意味を知った。東日本大震災のとき、岩手県にボランティアに行ったことを思い出した。今でも記憶に残るのは街に漂う匂い。映像では伝わらないことがたくさんあったな…そんな記憶を引き出された。
そして、大好きな「深夜潜水」。曲の終わりに横を向いていたあの数秒間、本当に美しかった。古い曲だけど、今の日食さんが歌うとより深みを増して聞こえてくる。岩手で歌われる「深夜潜水」はどこか特別だった。
コメント欄でリクエストした「雨雲と太陽」が選ばれたときは、歓喜のあまり、にやにやしてちゃんと歌が聴けなかった。(もちろん、複数の方がリクエストしていました。)
「必需品」で少し気持ちを落ち着かせてからの、「Red-light Tower」。CDより溜めがあって、ひとつひとつの言葉を丁寧に、確かめるように歌う日食さんにまた心を掴まれた。
MC。「大丈夫です。」って言葉が優しい。言葉の紡ぎ方が日食さんらしくて。歌だけじゃない日食さんの人柄にも触れられたような気がした。
「竜巻のおどる日」、今すぐ岩手銀行まで飛ばされていってしまえたらいいのに。「ギャングギャング」、銀行でギャング…。この不穏な感じが堪らなくいい。
「剣の歌」。このライブのハイライトじゃないかと思う。ライブを見終わった後、何度も何度も聴いてその意味をかみしめた。大切な人の存在をいつでも感じられる人でいたい。
「神様お願い抑えきれない衝動がいつまでも抑えきれないままでありますように」。6歳の息子が「何で安全地帯なのに落ちると死んじゃうの?」って聞いてくる。そうだよなぁ…わからないよなぁと思いながら、なんて答えようか考えているうちに息子は別のことに取りかかっていた。まあ、そのうちわかるだろう。すっかり落ち着いてしまった凡庸な大人の私は、この歌を聴くと少し羨ましい気持ちになる。
「空中裁判」でスピードに乗っていく。絶対的道徳にアッパーカットお見舞いしてやりたいような気分になる。実に気持ちがいい。
最後は「ヘールボップ」。実際にある大彗星。自分の目で見たこと、自分の耳で聞いたことを信じよう。私も社会科教員の端くれとして、これは心に留めていること。踊っても踊らされるな。
最後に手をひらひらさせながら笑顔で「良い夜を」って、あれはもう反則ですね。完ぺきに心を撃ち抜かれて終了。配信ライブのいいところは絶対に目が合うところだな。とはいえ、一刻も早く日食なつこさんの有観客ライブに行きたいです。
日食さんに、日食さんの音楽に出会えて本当に良かった。