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『うちの男子荘がお世話になります!』⑩

〇EP9『事件解決』


 翌日、昼頃、おれの部屋に、お餅ちゃん、榛くん、船長、東西くん、殿下が揃っていた。
「すっかり集会所にされちゃったな」
 チラシの束をビニール紐で縛りながら、おれはつぶやく。
 東西くんと船長はお餅ちゃんに「ゴミ漁り事件」について説明した。何度か質問をはさんでいたお餅ちゃんだったが、ようやく理解してくれたらしい。自分にも非があったのだとわかると、顔を耳まで赤くした。
「やや、ワタシが悪かったみたいで……船長、疑ったりして本当にごめんなさい」
「大丈夫……みんなで支え合う……」
 お餅ちゃんからの謝罪に、船長はサムズアップで答えた。
 これで事件解決か。と思ったが、どうやらひとり、晴れない表情を浮かべている人間がひとり。榛くんだ。
「だとしても、女の子のゴミを漁るなんて、許されないことっす! いや、船長はいいんすよ、師匠本人が許してるんすから」
 でも兄貴は別っす! 
「大家なのにも関わらず、問題解決を見送り、船長まで巻き込むだなんて。人間として失格っす! 」
「人間失格って……ちょっと、いいすぎじゃない? 」
「悪いのはワタシなんだし」
 東西くんとお餅ちゃんが制す。が、
「兄貴だけは許しちゃダメっすよ、師匠! 」
 榛くんは止まらない。
「お餅ちゃん……許してる……榛くんも……許そう……」
 船長も榛くんに諭す。
 榛くんが対角に座るおれと殿下を見る。おれも殿下も、船長の言葉にうなずいた。
 口をあんぐり開けていた榛くんの顔が、だんだん赤くなっていく。と思うと、机を叩いて、勢いよく立ち上がった。
「みんな“あっち側”ってことっすか⁉ 」
 怒鳴り散らす。
「もういいっす! 知らないっす! 」
 と言って、部屋から飛び出して行ってしまった。
「榛くん⁉ 」
 追いかけようとして、東西くんに肩を掴まれた。
「そっとしといてやろう。思春期の至りってやつだよ」


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