地域データ分析に入門してみる
「地域データ分析入門〜すぐに役立つEBPM実践ガイドブック〜」はEBPMの発想に基づいて、地域の現状や課題、将来、政策効果を見える化するための考え方や地域分析手法の基礎を学ぶことを目的とした書籍です。
シフト・シェア分析
日本の地域政策のどこが問題なのか
OBPM(Opinion Based Policy Making)→EBPM(Evidence Based Policy Making)への転換が必要
政策形成に活用できるエビデンスの条件は
品質/精度/客観性
エビデンス自体が納得のいくものになっていること
信頼性
強力で明確な論拠に基づいていること
適切さ
タイムリーかつ一般化可能なこと
実用性
政策立案者が容易に政策に変換できること
シフト・シェア分析とは
オープンデータを用いた地域経済メカニズムの見える化
使用データは内閣府「県民経済計算」の経済活動別県内総生産(付加価値)額
基準年度:2011年
調査年度:2016年
表8-2の(c)が
産業構造要因と地域特殊要因によって生じている。
↓
(a)=(b)+産業構造要因+地域特殊要因
特化係数(=産業分野別構成比の全国平均を1としたときの各地域の構成比)を使って、地域成長の要因を確認してみると、、、
産業構造要因の上位
静岡、山梨、愛知は製造業に特化
東京は金融業や情報通信業に特化
岩手は建設業に特化
産業構造要因の下位
農林水産業や鉱業が成長を抑制している
政策形成プロセス
DID(Difference-in-difference analysis)
政策効果を明らかにすることの難しさ
ブランド農作物栽培を促進するための助成事業の継続是非
⇨助成事業によって、農家の所得が向上するのか?
擬似相関が生じている場合、助成事業の活用と所得増加額との間に因果関係はないため、助成事業を継続したとしても農家の所得向上につながるとは言えない。
因果効果を明らかにするアプローチ
仮想的な反事実状態を作り出す
ただ、事実と並行世界である反事実のデータは得られないため、個別因果効果を求めることは困難
⇨平均因果効果を求める問題に帰着させる。
その一つに、ランダム化比較試験があるが、政策の場においてこの方法を用いるハードルは高い。
一方、差の差の分析(DID : Difference-in-difference analysis)は時間効果が2つのグループで同じであるという前提で、各グループの標本平均から政策効果を推定可能。
回帰分析によるDID
𝜷_𝟑を推定・検定することで、政策効果に関するより精度の高い推論が可能
DIDのまとめ
DIDは「特定地域に施した施策」などの政策効果を推定する際に利用可能
政策の事後評価や今後の継続の是非を判断するための中間評価に適した手法
並行トレンド仮定や共通ショック仮定を前提として適用することができる
並行トレンド仮定:処置群と対象群は施策がなかった場合、並行の推移をするという仮定
共通ショック仮定:実施前後において、両群ともに施策以外に同様の外的ショックのみ働いているという仮定
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