最後に泣いた日
小学校6年性の時のはなし。
3学期も終わりかけで卒業を前にいろいろ準備にお金がかかる時期だった
制服、学生カバン、自転車
皆新しいものを用意する
問題は自転車だった
私が通う予定の中学は校則が厳しく、用意すべき自転車はハンドル、色、装備などいろいろ制限があってそれまで乗っていたものは使えなかった
中学生が乗るには小さくもあった
それもあったがやはり当時、みんなが同じものを買う時代だった
男子生徒はギヤつきの6段変速のビカビカしているやつだ
価格も最低6万はする
皆乗っているものに乗らないと恥ずかしいと今思えばどうでもいい感覚が強くあった
欲しかった
自転車屋さんでもらってきたパンフレットを毎日眺めていた
私は4人兄弟の第二子で上に兄がいて妹が2人いる
父は自営業で母はそれを手伝っていた
生活が苦しいのは子供から見てもわかっていた
兄も妹も欲しいものは泣いて喚いておねだりする子供だったから私は親を困らせるのが申し訳なく、おねだりができない子だった
「6万円」
とても言えなかった
私は体力づくりのために徒歩で通学すると両親に宣言した
近所の同級生にバカにされながらも3年間徒歩で通学したのは自分でも偉かったなと思う
でもあの日、何が原因だったか忘れたが、自転車を買ってもらわなかったのはお金がかかることが申し訳ないからなんだと両親の前で吐露してしまった
涙が止めどもなく流れた
本当に何が原因だったんだろう
あんなさみしそうな親の顔は見たくなかったのに
その日以来泣いても涙は出ない
オチというわけではないが
中2になって新入生が入ってきて
誰かのお下がりだろうボロボロの自転車を乗ってきていた女の子がいた
私はその子の方がえらいなと思った
恥ずかしさを乗り越えてるもの(勝手に推測)