心臓リハビリテーションにおけるデジタルヘルス介入−システマティックレビュー−
本日は、Wongvibulsin S, Habeos EE et al. Digital Health Interventions for Cardiac Rehabilitation: Systematic Literature Review. を読んでみたのでざっくりまとめていきたいと思います。
【背景】
筆者らの調査の動機
・デジタルでの心臓リハビリテーション介入を評価するために採用された研究デザインは何か?
・どんなテクノロジーが用いられている?
・どの国で研究が行われている?
・研究のサンプルサイズは?
・介入期間とフォローアップ期間は?
・デジタルでの心臓リハビリテーションでの研究からの知見は?
・デジタルでの心臓リハビリテーション介入はどの程度包括的か?
【PICOS】
Patient(対象者)
急性冠症候群(acute coronary syndrome;ACS)
冠動脈疾患(coronary artery disease;CAD)
虚血性心疾患(ischemic heart disease;IHD)
心不全(heart failure;HF)
両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(cardiac resynchronization therapy with defibrillator function;CRT-D)等
Intervention(介入群の介入内容)
・在宅にて電話でモニタリングしながらの心臓リハビリテーション(cardiac rehabilitation;CR)
・コンピュータベースの相互的な教育プログラム
・医師・看護師主導の電話やインターネットを通じたカウンセリング
・スマートフォンを活用した教育介入(ウェブサイト、教育ビデオ、テキストメッセージ)等
※含まれている内容
ベースライン評価、身体活動のカウンセリング、運動、心理的なケア、体重・血圧・脂質・糖尿病管理、禁煙指導等
Comparison(対照群の介入内容)
通常の施設ベースでの心臓リハビリテーション
Outcome(アウトカム)
運動耐容能、QOL、運動への自己効力感、運動の知識、血圧、体重、脂質、服薬状況、満足度、CRへの参加、費用対効果、精神状態等
Study Design(研究デザイン)
RCT、Pilot Study、観察研究、質的研究
【Risk of bias】
NIH Quality Assessment toolsを使って評価。
研究にて取り込まれた31件の研究のうち、23件はGood、7件はFair、1件はPoorとの評価。
【結果】
取り込まれた31件の研究のうち
・介入に含まれる要素
・身体活動のカウンセリング(31/31, 100%)
・ベースライン評価(30/31, 97%)
・運動トレーニング(27/31, 87%)
・栄養カウンセリング(11/31, 35%)
・心理的なケア(11/31, 35%)
・体重管理(10/31, 32%)
・脂質管理(1/31, 3%)
・糖尿病管理(2/31, 6%)
・禁煙(7/31, 23%)
・血圧管理(8/31, 26%)
・使用ツール
・スマートフォンやウェアラブルデバイス(20/31, 65% )
・ウェブサイト(18/31, 58%)
・SMS(11/31, 35%)
・介入の実施者
・理学療法士もしくは運動指導の専門家(12/31, 39%)
・研究のスタッフ(11/31, 35%)
・看護師(10/31, 32%)
・人の介入なし(4/31, 13%)
・評価しているアウトカム
・運動耐容能や歩数(22/31, 71%)
・プログラムのアドヒアランス(14/31, 45%)
・QOL(14/31, 45%)
【全体通しての各種アウトカムへの影響】
・デジタルヘルス介入により心臓リハビリテーションへの参加率は高まる傾 向。
・短期効果は通常の心リハと比較可能。6か月時点では群間差なし。
・血圧への影響は不明。
【まとめ】
・現状のデジタルヘルスを活用した心臓リハビリテーションでは身体活動のカウンセリングや運動指導がほとんど。
・脂質・糖尿病・血圧の管理、禁煙指導など心血管イベントに関連する重要なアウトカムを介入に含めているものは少ない。
・デジタルヘルスの活用にて心臓リハビリテーションへの参加率は高まる可能性がある。
・長期的にみるとアウトカムに有意な差は認めていない報告もあり、長期効果の検証は必要。