記憶の行方#そんなはずはないだろ

先日、まったく見知らぬ女の子に話しかけられた。

夕飯の準備のために、近所のスーパーに足早に向かっていたのだけれど、

「あのー……」

と、背後の足元から声が聞こえてきたので、

えっと振り返ると、年の功は、年長さんぐらい、

「あのー……、明日もお仕事がんばってください!」

突然のことに、なんのこと?と思ったけれど、

「どうも、ありがとう」と、「相棒」の右京さん風に返してしまった。

にんまり、笑顔になった女の子は、誰かに視線を投げて、立ち去った。

なんだなんだー?よっぽど悲痛な顔をしていたのかしら?

たまの休みの日でしたが、子をうわさのゴッドハンドの整体院に連れていくため、呼んだタクシーの運転手は、80年代東映ヤクザ映画に出ていてもおかしくない、コワモテで、話し方は、高倉健さん、待ち合わせの時間、5分前にちょうど到着。ちょうど到着するあたり、また、まったく揺れを感じない平行移動の車中、無言、しかし、不快ではない。すごいなその気づかい健さんタクシー。と、勝手に心の中で、感服していた。

うわさのゴッドハンドは、ゴッドハンドらしく、

「パンと味噌汁を一切やめるように、濃いと思うものは、避けるよう、水を飲むよう、昼寝はしないよう、散歩する」など、子はアドバイスをもらったそうな。

お会計時、

「スナック菓子とか食べさせない!!」と、なぜか私が怒られる、食べさせてないわーー!!!!ここに連れてくるにも、

「行きたくない……」の布団被りからの、待たせているタクシーまでの道のりが、まず長いんだから!!!

と、大きな声で返したいところでしたが、どうどう、ゴッドハンド、ゴッドハンド……。ペアレントトレーニングだ。がんばれ、わたし。子は、わたしの何かを察して、体現しているわけで、それは、なんなのか。

この16年間のこと、あれこれ思い巡らし

スーパーへ向かっていた時のこと、

女の子は、声をかけてきた。

なんだろ、自宅に戻り、その出来事を話すと、「人違いじゃないの」

と、現実味を帯びた答えが返ってきた。

そんなはずはないだろ、がテーマの話しだった。

それは、また次の機会に。



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