umbrella-artlessについて思う事

wonkのニューアルバムをApplemusicで聴いている。音が、より立体的に聴こえる。スタジオ内の人の立ち位置がわかるぐらいの音の気配がします。

introduction#6
足音は、リムをスティックで叩いた音なんだろうか。
まさか、誰かヒールで歩いて来たの?

スタジオ内でこれから始まる出来事を記録するような始まり、アルバムは、誰かの記憶なのかもしれないな、と、思った。いつか、銀座の地下で聴いた音源にも似ていて、急にアメリカーノを飲みたくなった。wonkの遊びごころと音楽に対する素直な感情が静かに伝わる始まり。

Cooking

ごくプラベートなこと。この2年あまり、kitchenで過ごすことが多かった。大事なことは、キッチンとリビングで話す。小さなうちの中でのパブリックスペースは、リビングとキッチンだ。物がだいぶん減って来て、その空きスペースは、まどろむ時間にとって、大事な余白ではないとかと思っている。切ったり、炒めたり、煮たり、焼いたり、盛り付け、料理とともに楽しめるwonk、テーブルミュージックとして、聴いている。夜、寝る前に聴いてしまうと、朝食について、考えてしまう。

Butterflies
昼間に珍しく黒いアゲハチョウを見た。

アゲハとは、夜の女たちのことを想像していたけれど。昨日見かけた呼び込みのお兄さんは、日焼けしていた。なんで、あんなに日焼けしているだろうか。夜のチョウは、夜に見るから美しいという。昼間に表通りは飛ばないものだ。夜に生きるチョウが朝方、飛んで行く頃、人の生死について考える。ブラシの音を聴きながら、相米監督の『夏の庭』の井戸からチョウが舞い上がるシーンを思い出していた。

そして、

Umbrella

雨は、人間の力ではどうにもならないことの比喩として、傘は、人間の力ではどうにもならないことに少しだけ、抵抗できる優しさの象徴かな、と、思う。
パーカーのフードで雨をしのぐ方もいらっしゃるが、私は傘が好きだ。ある時、傘を持っているにも関わらず、傘は引き摺り歩いていた。横断歩道で信号待ちしていたのだけれど、信号待ちの間に何かを察した全く顔も名前も知らない人がそっと、後ろから傘を差し出して入れてくださったことがあった。
その後、その方に、会う機会はなかったのだけれど、それから、私は折りたたみ傘を持ち歩くようにしている。いつか、横断歩道で、傘をささず歩いていたかつての私のような人間を見ることがあるかもしれない。その時は、あの時の誰かのように傘をさしてみようと思う。

他にもループして聴きたい曲が入った6曲のアルバム。雨の日の多いこれからの時期に聴いていたいと思う。





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