松丸契(まつまる けい)『The Moon,Its Recollections Abstracted』に思うこと

2022年10月19日にリリースされたアルバムがいいなと、聴いている。

松丸契さんは、新しい月みたいだな、と、思います。

偶然、江崎(立の崎です。)文武さんのツアー初日、ゲスト出演されていた。
スポットライトは、月あかりのようで、月に、はねた人が笛を吹き始めた。そんな、昔話しからトリップして来たような演奏の始まりでした。

松丸さんの演目に驚いた。え?それ、吹くんですか?今日は虚無僧?……そう来ますか、面白い。毎回、予測できない、意表をつく演奏です。

新しい月とは、満たされた月というより、これから満ちていく、そんな変化していく途中の形、まだ、よく見えない部分がある。わからなさは、不安にさせる要因でもありますが、松丸さんの吹くわからなさは、未知数で、どうなるんだろうか、霧の中をドライブするようなもので、楽しみにもなる。

やがて、曲は終わりを迎える、その終わりは、余韻を残すようで、何も残さない。けれども、何か次に始まると予感させる。

その新たな始まりや試みに耳を傾けたい。

アルバムには、研ぎ澄まされていく演奏が記録されている。

1人から始められる演奏を黙々とやってきた方ではないかと思います。

スニーカーで吹き切る、ラフさは、聴いている側をリラックスさせる。とぼけたところもあるが、ポーカーフェイス。役者でもある。

共通言語って、こういうことだ、と、聴いていて思う。

そして、

サックスは、歌声そのものにも聴こえて、歌の原点は、吹く息の抑揚とブレスで成り立つもので、それが、言葉そのものではないかな、と、思う。

自分の言葉(音色)を獲得しようとしているように聴こえて、また、これまでの道のりやこれからの時間をもっと知ってみたいと思わせる音楽家だな、と思う。

「松村」と、苗字を勘違いしており(申し訳ありません)、アルバムを聴いていたのですが、ライブ会場まで、辿りつけずにいた、「松丸」と、最近、気づいて、ようやく演奏が聴けた。よかったなぁ。アルバムはストイックで、ライブもいいですね。帰り道、電車を乗り過ごしてしまいました。

すでに知る人ぞ知るサックスプレーヤーなんでしょうが……。

これまでの記録のようなシングルやアルバムも、名盤として記憶している。



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