記憶の行方S13 無言狂詩曲 小さな出来事 cut!
「カット!」
田園の真ん中で、煙が立ち込めていた。
「ちょっ、ちょっ、スモーク立ち過ぎじゃないの?役者の顔見えないでしょ!」
監督が少し怒り始めた、助監督は、演出を決めかねていた。優し過ぎる、優柔不断の助監督に現場が刺々しくなって来た。進行を遅らせる訳にはいかない、と、どうするか?制作部3名で
「おーい!聴こえてる?!」
手を振ってみた。
助監督が無言になった。
「お弁当にしよう!」
遠足に来た小学生のように、校庭の木の下で、スタッフがお弁当を食べ始めた。
助監督がお弁当を見つめ、一人音楽室の前に座っており、居た堪れず、廃校の学校に残されていた小さなアップライトピアノを軽く弾いてみたら、外のロケ地へ響いていた。
監督が
「なんか、いいから、撮っておいて。」
と、その場ののりで、弾くことになった。
「なんか、よかったから、とっておいたよ。」
録音の方から音源をいただいた。ようやく、わたしのオリジナルが誕生した。
文字通りの黒板に白いチョークで
「ご卒業おめでとうございます!
本日を持って、本作、撮影は、終了です!」
と、書き、撮影終了後、スタッフ全員で監督を囲み、写真を撮った。監督の隣に座った助監督は、撮影終了日を書いたカチンコを持って笑っていた。
都内に戻って、子にクランクアップの花束をプレゼントした。
♪wonkのsmall thingsをきっかけに物語を書いています。
樋口一葉の「浮雲」、林芙美子の「放浪記」、それから去年行われていたショパン国際ピアノコンクールを配信で観る中で、ジョルジュ・サンドが、もしも、日本に生きていたら、どんな女性として、生きたのか?と、ふと、想像して書いてみました。
2020年、2021年と世の中にある不透明さ、見通しのつかなさを感じる一年でした。これまでを振り返り、今の現在地を知る、手掛かりになること、何かが途切れたと思っていたが、誰かに引き継がれていたこと、これまでのこと、これからのことをともに楽しもうじゃないの、みたいな物語が描けたらよいなあと思います。
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