16歳の憂うつ、息子の話し

16歳の息子がいる。物理を同級生に教えているバスケ少年だ。男の子に生まれてみたかった、なんて、よくある想像だけれど、ご多分に漏れず、私もそう思っていた時期がある。しかし、男子はよくわからない。親って、よき理解者でありたいと思うけれど。

体育祭、ほとんど仕事で見に行けてなかったのだけれど、合間をぬってこっそり、見に行ったことがある。お年頃は、母の存在が疎ましいと思うものである。

新入生をゴールから着順に連れて行く係をしており、着順最後の子と軽く手をつないで、ひっぱることなく、一緒に並走していた姿を見た時、親はなくとも子は育つもんだな、と思った。

2歳か3歳かそこいらで、太鼓の発表会に出たことがあり、しょっぱな、並んだ同級生とのリズムとは、違っていて、和太鼓で16ビートと変拍子を叩いて、ラストはぴったり合う、という、わたしにとっては衝撃で、保育士さんやママさん達からも、声をかけられた。保育士さんやママにファンがついたか、2歳児そこいらで、何かを醸し出したかと、ほんのり背筋が寒くなり、先が思いやられると思った。まだ、自分の魅力に気づいていないため、無意識の行動をしても、相手がどう感じているか?想像できないで行動している。かと言って、同級生は、口を揃えて「優しい男」という。バスケ部の集合写真のふざけっぷりにやや嫉妬。案外弾けてるな。

息子はコルトレーンやセロニアスモンクなど、聴いている。部屋にこもっては、何やってんだか。ジャズの演奏の決めごとは、なんだかんだと質問され、答えたら答えたで、それは、無意味だとか、そもそもその質問って……なかなか気難しい思春期男子なんだが、私の知らないところで過ごすことが増え、自立の時が近いと思えば、喜んでいいことなんだけれど、年上の女の子に「かわいいー!」と、いきなり抱きしめられて、一足飛びに私の足にしがみつき、女子こわいです!って顔で不信感あらわにしていた頃を思えば、寂しいものです。まあまあ、そこは、一歩引いて話を聞くか、と、聞けば、むくれているし、朝は起き抜けに「憂鬱なぼく」の顔をしてピアノの椅子に座る。

最近、うちではピアノを少し触るようになった息子。ドラムも叩き出して、何やら音をため込んでは、吐き出している模様。「もっと!」と叫んでいるようで、静かに音をしたためる。ことばや音楽にも敏感で、アウトプットに戸惑う時期なんだけれど、失敗が許される時期に失敗を怖れないから、10代は美しいなぁと思う。

にんまりして、ペリエを飲む姿から大人になったぼくが見えてきた。

藤井風さんのインスタグラムに上がっていた

fly me to the moon

朝から聴いて脱力。

風さん観てから、息子はピアノを弾き始めた。それ以前にお気に入りのオルゴールの曲を再現したいと耳コピしていた。音楽教室には、通ったことがないため、(バスケの練習ばかりしている)譜面が読めない、かけない子。コードだけで、あれこれ、ピアノの前での曲作りは楽しそうな背中をしている。

かてぃんさん、亀井聖也さん、けいちゃんさん、反田恭平さん、kansanoさん、いろんなピアノを聴いている。……YouTubeやSpotifyなど、聴いてみたい音楽がすぐに聴ける状態で過ごす今の10代が10年後、どんな音を紡ぎ出すのか?

楽しみにしている。

つづく




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