深く潜る
夫君は潜水が得意だ。
結婚してすぐの頃、二人で長崎の壱岐ノ島に行ったことがあるんだけど。
このエリアで貝とか魚を採っていいですよって所があって、彼は新妻をポツンと一人残し、ひたすら潜水していた。
泳ぐのが苦手な私は、足だけ海につけて
何処にいるのか分からない夫君を目だけで探して
呆然と立ち心細く待っていた。
そしたら遠くの方でザバンっと夫君が現れて
何かを手に嬉しそうにこっちを見て笑った。
アワビ採れたよ。
時は流れて十数年後
今年の夏。
子ども2人連れて沖縄に行った。
そこでも、夫君はひたすら潜水。
娘も息子も、夫君に教えてもらい上手に
潜水できるようになっていた。
夫君はライフジャケット着てても潜れる猛者。
私は何度教えられても潜れない。
めっちゃ潜ったつもりでも、
お尻だけプッかり浮いてるらしい。
顔をあげる度に苦笑された。
それでも沖縄に居る間中
海やプールに行けばひたすら潜水の練習をした。
ねぇねぇ潜水ママ見てて
という子どもの手を払いのけて
自分の潜水に集中した。
(周りにいた方はどう思っただろう(笑))
何十回潜っただろう。
ゆーっくりふかーく息を吐き
更に更に息を吐ききる
そしてプールの底にお腹をつけるくらいの
深さですいーー
やった
やったー
静かな水の底で喜ぶ
そして
ザバーン!
出来たよーー(≧▽≦)!と
満面の笑みを向けた先は
同じホテルに泊まってる
外国人のお客さんだった(笑)
私は最近も潜る練習をしている。
自分の中に深く潜る練習。
自分の本音になるべく早く深いところに
到達する練習。
やっぱり出来た!と思っても
ぷっかりお尻が浮き上がってることが
ほとんど。
だけど
何となく時々、プールで言うと
中間の深さくらいまでは
行けるようになってきた気がする。
あの沖縄で体感したあの感覚を思い出す。
深く息を吐いて……
覚悟を決めて自分の中へ
集中しないと潜れない。
潜った後も息を吐き続けるゼロになるまで。
底を目指す。
底が見えたらぺったりくっついて離さない
自分の本音
自分の答え
は
自分の中にある。
自分の中にしかない。
なるべく深く
なるべく早く