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ギャンブルはあまり好きではないのにフリー雀荘へ足しげく通うに至るまで
麻雀は好きだけど、麻雀におけるギャンブルはそんな好きではないっていう人、割といるよねって話。
私が麻雀でギャンブルするのが好きでない理由はこんな感じ。
・負けるとお金がなくなる
→シンプルに財布が痛い
・負けてお金がなくなったことによる虚無感に襲われる(少数派かも)
→メンタルのHPが減る
・負けが込んだときに機嫌悪くなる人がたまにいる
→気を遣わせるな
・自分がバカ勝ちしている時に雰囲気悪くならないか気になる
→流石にいらんこと言わないように気をつけないといけない
・ノーレートにすると真剣に打たない人が現れる
→6種から国士無双狙うな
・かといって遊び方は人それぞれだから文句を言ってはいけない
→人の打ち筋を批判してはいけない。。。6種で国士狙ってくれ。。。
ただ麻雀とギャンブルって歴史背景的に切っても切れないし、良い点で言えば麻雀が楽しい、麻雀で友だちができるという点もあるので、友人に誘われれば常識的なレートであれば二つ返事している。
そんな私がフリー雀荘に通うようになるまで。
私は東京生まれ東京育ち、5歳のときに親父がテレビゲームをやっていた後ろで麻雀を覚え、小学生でヤフー麻雀、中学生で雀龍門をやって対人戦が手軽にできる技術進歩に感動し、大学生でリアル麻雀(セットだけ)の面白さを知った人間。
当初は絵柄合わせ面白いという思いから、リアル麻雀は人の性格が出て面白いという変遷で麻雀が好きでいた。
大学では非常に少額の"お気持ち"やり取りはあったものの、そこにギャンブル性はあまり感じていなかった。同じメンツで定期的に夜な夜な集まっては徹夜し、これが遠因かどうかは知らないけれども留年した友人もいたなか、私は無事に大学を卒業した。
つまるところ、雀荘には近けれどフリー雀荘にハマる要素はなかったんだ。このときは。
転機1 地方へ吹っ飛ぶ
私はいま28歳の社会人5年目、いわゆる2020卒で社会人になったタイミングがコロナ禍1年目。本配属は関東であったため友人との繋がりは継続したものの、先の事情でリアル麻雀を打つ機会はなくなってしまった。そして入社から半年経ったころ麻雀人生?に転機が。
社会人1年目で九州・熊本にふっ飛ばされた。
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本配属後に1年目を首都圏から遠方にふっとばす会社なんやねんという話は置いといて、九州には片手で数えるほどの友人しかいなかった私は休日の時間の使い方に困り途方に暮れ、気がつくと日も暮れている。平日夜はプロ野球とMリーグの観戦ローテーションで空いた時間は埋まっていたのだが、休日はそうはいかなかった。
そしてなにより、異動してすぐ都市部は緊急事態宣言、その時の熊本は対象地域からは外れていたものの、とはいえいけしゃあしゃあと遠出できる感じではなかったため、たどり着いたのはネット麻雀の天鳳だった。雀魂の勢いは当時は今ほどではなかった。
目標は八段と設定した。意識高く設定していたと言うよりは、先の友人が最高七段と言っていたことによる。そして下のスクショが達成の証左だ。
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ところが最後の対局の日付は2022年9月。目標達成とともに満足してしまった。この期間で私はどうもネット麻雀は物足りないタイプの人間なことに気付いてしまったのだ。リアルで人と打ちたい。
「行ってみるかあ~フリー雀荘」
熊本市内まで車を走らせ、10時間ぐらい打って帰ったが、まあ楽しい。言った通りギャンブル性を見出していないので、お気持ちは1000点30ptの某チェーン店だった。現在はわからないが、当時の熊本にこれ未満のレートの店はなかったのだ。
ここでタイトル回収…ではなく、頻度はせいぜい月1~2。ふっ飛ばされたのが熊本の田舎だったために市内が遠くて高頻度では行けなかった。。。
余談。先の友人は高校で同じ部活の友人だったのだが、この時なんとお互いに熊本県内で車で30分の場所に住んでおり、東京から1200km離れた地で再会し一緒にフリーを打ちに行った。
転機2 関東へ戻るもなんかあまり楽しめないフリー雀荘
熊本へ行っている間に麻雀が(無駄に)上手くなってしまった私、前職は2年半で見切りをつけて転職し関東・埼玉へ戻ったが、戻ってきてからはフリーにはほとんど行かなくなっていた。たまに都内の同系列店へ行くこともあったのだが、なんか楽しめてない自分がいることに気づいてしまったのだ。
以下ワガママだと自覚がある話。
麻雀なんて、対人の最低限のマナーさえしっかりしてればどう遊ぼうとその人の勝手なのはもちろんだが、"私個人"の話をすれば、どうも不特定多数の人と(知り合いなら誰と打っても楽しい)リアル麻雀を楽しめるか否かは一つ基準があることに気付いた。それは、
「リーチに対して勝負手でない人はしっかり降りてくれるか」
ということ。なんでそう思うかというと、"ギャンブルがあまり好きでない"ということに繋がる。
例えばイーシャンテンでドラいっぱいならそれはリターンが大きく勝算があることから押し返しを選べるが、リャンシャンテン以下でリーチに押し返すってほとんどの場合が分の悪いギャンブルだと思うし実際に統計データに出ていて、トータルで見たら成功することのほうが少ない。
そして分の悪い押し返しを連発されると麻雀が本当にただの運ゲーになってしまいがちというか。それやるなら違うギャンブルでよくない?ってなる。
運の要素を嘆くなら麻雀やるべきでないってのはわかるのだけど、それ以外にもたくさん魅力あるこのゲームをそう簡単に手放せないわけで。
※熊本と都内で同じ系列店に行っていたが、熊本のほうがリーチや仕掛けにしっかり降りる人が多かった印象。推測としては、東京のほうが麻雀が趣味としてより色んな層にカジュアルなのと、レベルに応じた様々な店があることによって都内のほうがより大衆化していることが理由かなと。それが私には楽しめなかったというだけで、その都内の店舗が悪いわけではない。
結局のところ、リーチにしっかり対応してほしけりゃより上手い打ち手がいる雀荘へ行くしかなく、つまり高レートにするしかなくなる。でもギャンブルがあまり好きでない。こうして私は雀荘へフリーを打ちに行くことはなくなったのだった。いっときは。
転機3 セット麻雀の予定が消えたある日
コロナが5類に移行する前の2022年冬。体調不良者や濃厚接触者の出現でセット麻雀の予定が飛ぶということを経験した人は多くいるでしょう。
私もある休日にその一人になり、ぽっかり空いた丸一日をこの世の隅々から集結した麻雀したい欲の妨害により塞げずにいた。
私はこれを発散すべく家から1番近いフリー雀荘へ足を運んだ、いや運んでしまった。マーチャオ某店。
マーチャオは1000点50ptですね。このときに限ってはこうする他なくてレートはどうでもよかった。都内まで出るの面倒という気持ちが勝ったのと、ここで打つのは今日の予定が消えたせいなのでこれっきりだろうと。
ルール説明は熊本のときと同じだし話半分に聞き、意気揚々と卓に座り椅子の高さを下げるわたし。闘牌スタート。
結果3.4.4。
ボロ負けしてムカついた。ムカついたしなんか初回から何回目かまではゲーム代が返ってくるらしいのでそれがなくなるまでは行こうと思って次週も行った。店に乗せられてるとか知らない。
1.4.2.4。
前回よりマシだけどこんなラス引く??ムカついて次週も行くを何度かやった最初の2ヶ月の結果がこれ。
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25半荘12ラス。半分ラス。弱すぎる。
下振れていて和了が少なかったのもあるのだが、みんなリーチにしっかり降り、良い待ちでしっかりとツモってくる。横移動が発生しにくい。そんなジリ貧を何度も繰り返した結果がこれだ。
ふーーーーん面白いじゃん。レートだけは嫌だけどこの平均順位をどこまで上げれるか試したろ。
そんな気持ちでたまに行くようになったマーチャオ。もうハマりかけているがまだ2~3週に1度くらいのペースだった。
2023年1月~6月の成績がこれ。
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121半荘なので短期の上振れかもしれないが、それなりにやれてる感はあった。客層は30代以上がほとんどに見受けるが、どこの馬の骨かわからない小僧のワタシがさくっと高い手をツモると同卓者が「(お前それ点数ホントかよ)」という目線でこちらを見つつ、謎の間が数秒発生するのが楽しい。疑うのは構わないけど点数計算は自信あるから間違ってないし早く点棒ちょうだい♡
こうしてよくわからない若造わたしは、同卓者にナメられるという麻雀するうえで理想的な環境で着々と成績を伸ばしていた。調子よくないときにはさっさと引き揚げる分別もついていた。
で、これは今そう思うという話だが、この店は他の同レート店舗に比べておそらく全体的に雀力が高い人が多い。
リーチや仕掛けに対応するのはもちろん、降りて終わりでなく華麗なる回し打ちで戦線に復帰してくるところをよく見る。これをやるのは腕利き、つまり常連客である。
同系列の店も含めこのあと何店舗か同レートの店に打ちに行ったのだが、みんな他の人のことなんか見えてない(笑)。点数計算も結構怪しい。ただ、どこもこうだったので50ptのレートならそれが普通みたいだ。例のごとく私はそういうのが楽しめないので行かなくなった。
同年代くらいの人や場末にいそうなおっちゃんがタコ負けしているところもよく見る。特に自分と同年代くらいだろうなという新顔は定着しない。まあ本当に腕に自信のある若い人は都内に行くというのはありそうだけども。場末おっちゃんはお小遣いくれる存在。
転機4 認知され始める
でもね~30代以上がメインの客層で若そうなヤツが定期的に同じ店に何度も足を運ぶと、いくらチェーン店でも認識されるまで時間はかからないんですね(私が身長が184あって目立つのもあるが)。
店に入った瞬間に「さっくーさんいらっしゃいませ~!」と言われたり、三麻か四麻か聞かれなくなったり、帰りに店を出てエレベーター待ちしてる間、スタッフが見送りに来たときの会話が定型文でなくフランクになったり。
これは色んなところで言われているが、マーチャオの接客はひじょーーーーーーーに良い。雀荘というジャンルのレベルで考えたら過剰なくらいだ。別に打ってる途中に飲み物何いれるか聞きに来なくていいよカーディーラーでもそこまでしない方が多いよ。
もうこうなってしまうと、待ち席でスタッフに話しかけられる。最初は適当に話し合わせてくれるだけだからと思っていたが、「共通の趣味を持っている人への接客」は強い。不特定多数への接客とは違い、距離を詰めるのが容易い。私もあっという間にスタッフと世間話をするようになってしまった。もちろん接客の点だけでなく、人間的に波長が合ったというのもある。合わない人もいる。
2024年の話、よく話すスタッフにAさんという人がいる。常連客から冗談めかしてリアクション芸人と呼ばれるなど、元気いっぱいな人。世間話の中で、今は学生で来年からは社会人になるためこのお店を辞めるということを聞くぐらいの関係値だ。
そのAさんとある日同卓したのだが、私の対面に座るAさんは私がお店に入ったときにはしていなかったマスクをしている。発声に全く元気がない、というか物理的に出ていない感じ。聞いてみた。
「風邪でも引いたの?」
「ハイ…」
「そう…お大事に」
マスクをしていないところを見ているので、つまり勤務中に発症したことになる。そんなことあるんだな~と思いつつ、テンパった親の両面待ち12000をリーチした。
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リーチしたのはトップ条件も理由の1つだが、それよりもダマにしたらこの風邪っぴきから出てくる気しかせず、弱いものいじめしてる気持ちになりたくなかったから。それからAさんはリーチにかなりしっかり目に降りることを知っていて、実際このときも降りていた。
一人テンパイで流局し、この半荘はトップだった。
ラス半コールをして帰ることにし、店を出てからのエレベーター待ちの間、Aさんが見送りに出てきた。するとおもむろにこう切り出してきた。
「…実は風邪じゃないんですよ。今日麻雀弱すぎて裏で泣いてたんです…」
面白すぎないですかこの人????????????????
みなさん麻雀負けが込んで泣けます?泣きたくなるはまあギリギリ分かるけど本当に泣く人いるんだと思った。と同時に、社会人になって大丈夫かとも思った。
ありきたりな言葉で慰めといたけど内心は笑わないようにしないことで精一杯だった。12000をダマにしてたら絶対Aさんから出てまーた泣かすところだったよ。
後で聞いたら自身が打たれ弱いのと、泣き腫らしたのでマスクしたらしい。わかるかそんなん。
そしてスタッフBさん、この人は雀荘スタッフでありながら私と同じくギャンブルは別に好きでないとのこと。スタッフだから1000点50ptどころでないレートでも打つのに??
意外と自分の考えていることと同じことを思う人は多いという気づきを得たのがこのnoteを書いた理由の1つ目。
ちなみにAさんも同じくらしい。なんで君たち雀荘店員やってんの。来店する私もブーメランか。
そしてスタッフと他愛もない話をするようになると、今度は常連客からも話しかけられるようになる。もう週2~3ぐらい通うようになっていたのでそりゃ顔を覚えられる。共通の趣味を持つ者同士、話のネタは眼の前の牌と卓が無限に生み出してくれる。こうしてナメられなくなってしまったのは成績的に痛い。でも若い人と打つと楽しいと言ってくれるのはとても嬉しい。
そして点数申告で発生していた謎の間が起きなくなってしまった。ちょっとさみしいが、裏を返せばこいつはそこそこ打てると思われるようになったということだ。
そしてこの頃になると成績は割とどうでも良くなっていた。楽しく話しながら麻雀できれば良い。無言で集中してやるのもいいけど、追っかけリーチに危険牌ツモってリアクションするぐらいのことはしたい。
そして負けても楽しいから続けるようになってしまった。懐が痛い。。。いまこのnote書いてる時間も本当は打ちに行きたいけど、いま行くと下振れ祭りであっという間に素寒貧になるからだし。。。
そしてこういう場所で気をつけなければいけないことは、人間に深入りしてはいけないということだ。
みんなそれぞれ色んな顔を持っていて、きっと仮面を被っている人も少なくないだろう。常連客の一人が正月に徹夜麻雀して奥さんにこっぴどく怒られたと話していて詳しく聞いてみたかったが、赤の他人にそこまで聞くのもなという思いだった。
そして忘れてはいけないのがお気持ちのやり取りは限りなく黒だ。それだけでこの人間関係は刹那刹那のものである。現状は取り締まられることはないと思うが、顔を合わせることが無くなる日が遠いわけではない。
このスタッフやお客さんたちと例えばお酒飲んだら楽しいだろうなとは思いこそすれど、そういう事を考えるのは自分の中でブレーキがかかる。なんとなくこういう関係はここまでにしたほうが良いという経験則がそうさせる。むず痒い人間関係を構築してしまった気持ちを吐露したかったのがこのnoteの趣旨の2つ目だ。別に店のスタッフや常連客には誰にも伝わらなくて良い。ただこのnoteを読んだ人が少しでも共感してくれると浮かばれる。
今日も今日とてその店へ足を運ぶ。ある意味で私は"ギャンブル依存症"なのかもしれない。しかしそれでも、少しばかりスパンの長い一期一会を私は楽しむことにしている。
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これぐらいは許される関係値にしているつもり
追伸:この店のスタッフへ 念のため、他のスタッフに拡散しないでね
おしまい