親の思い
洗濯物を干しながら、ふと父のことを思った。
昭和3年2月生まれの父。
戦争が終わって満州から引き上げ、地元で仕事に就き、亡くなるまで働き続けた。
私が幼稚園の頃は家族4人、6畳一間のアパートに住んでいた。
その頃は裕福じゃなかったけど、なぜかそんな狭い家にステレオとオルガンがあった。
小学校に上がった頃大きな家に引越して、知らない間にピアノも来た。
翌年にはグランドピアノになっていた。
お父さんは教育熱心だわねぇ。
と、色んな人に言われた。
今朝洗濯しながら、そんなに一生懸命やってくれたのに大して親孝行できなかったな、“打っても響かない私”の教育は大変だったろうなぁ。
ごめんなさい…
と思ったのだけど
じゃあ私は娘に対してはどんな気持ちでピアノをさせてきたのかと振り返ってみた。
小4、小5のころはテコでも動かない子で大変だった。
娘の頑固さに根負けして諦めかけた時、夫に「お父さんにご恩返しするつもりで頑張り!」
と言われたものだった。
けれど楽しかった。
娘のコンクールや発表会は悲喜交々たくさんあったけど、
その度にどこかに行けたり美味しいもの食べられたりたくさんの人たちとの出会いがあったりして。
そして少しずつ上手になっていく様子を見ることが何よりの楽しみだった。
お父さんも同じような気持ちだったかなぁ。そうだったら良いなぁ。
と、洗濯物を干し終えた時には空と同じような気持ちになった。