キヨVol.4
去年、会う約束をしていながら二度も
流れた。
一度目はキヨの腕の骨折、二度目は
発熱。
そろそろ傷も癒えて会えるかな?と思い、昨日電話した。
「明日会おう!」と。
「ずいぶん急ね!でも良いわよ。空いてる。ちょうど行きたいところがあって、一昨日あなたに電話しようと思っていたのよ。」
キヨは次第に目が見えなくなってきている。
見えているうちにどこにでも連れて行ってあげたい。
「今はトイレットペーパーの芯から覗いたくらいの範囲が見えてる」
視野が狭くなっていくのは知ってたけど、流石にショックだった。
私の腕を掴んで白杖をついて歩くけど、私もうっかりしていて幅を取るのを忘れていると、柱や壁にぶつかってる…
おしゃべりに夢中になっていると、階段を踏み外して私にしがみつく。
あぁ本当に申し訳ない。
今年は辰年だから、龍にちなんだお寺に行きたいという。
お母さんの具合が悪く、しばらく実家に帰るので、戻ってきたらまた一緒に行こうと約束をした。
「まだ見えている間に、見たいものたくさん見とかなくちゃ!」
と元気に言うキヨ。
とことん付き合うよ!
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