見出し画像

【コラム】消費支出減少/解説編

先週

 日本国民の消費支出が減少しているということについて2本ほどコラムを書いた。

 とは言え、こちら経済学者ではないので言葉足らずでもありまた、とりあえずいろんな資料に基づいて書いてはいるものの、ちゃんと職業として研究している人とは情報量も分析の仕方も桁違いであることは明白でもあるし、個人的に最近の不自然な物価の高騰や政府の対応に対する疑念・反感などもあってあるいは偏った書き方になっている可能性もあるため、一応自分の現象の見方についても検証しておくほうが良いのではないかなぁなどと漠然とした想いも過ぎり始めていた矢先、ENEOSからこのような通知が来た。

「インチキ企業」ENEOS

ガソリン価格が上がるはずはない

 至近にスタンドがあり、また全国的にも店舗が多いということもあってかなり昔から給油にはENEOSを使っていたのだが、少し前からどうも営業の仕方の汚さを感じていた。

・クレジットカードの契約を伸ばすために値引きをし、ポイントを多く付与する。
・営業店間の競争をけしかけるようにエネキーという、特定店舗でしか使えないタッチ式のアイテムを推奨し、これにクレジットカード情報を紐づけして、それを使うとポイント還元率が高くなる。

※しかし、ここ最近ガソリン価格が高くなるにつれ上記ポイント還元を終了したり還元率を低下させたりし始めた。

 そんな経緯があり、なんかインチキ臭い企業に成り下がったなと思ったので爾来、ENEOSを「インチキ企業リスト」に入れ、給油は取りやめ、カードは解約し、利用しているのだからと保有していた数百株の株式も綺麗さっぱり売却して「ああスッキリ」と溜飲を下げていたのだがラインの情報取得を続けてしまっていたことから上記のような通知が届いたのである。

 そこで、そもそもこれっておかしくね?と私は思ってしまい、しばし考え込んでいたところが、結果として先週のコラムで書いた内容につながっていることに気付いた。

ガソリン価格高騰?

 というのは、給付金が無いと現状でも「ガソリン価格が高騰」しているということが既におかしい。
 これは先週のコラムにも書いたが「原油価格の高騰」と「円安」という、インチキ企業共が口を揃えて唱えていたコストプッシュは既に終了しているのである。いや、終了し切って完結してしまっているのである。

 ということは、給付金など無かったとしてもガソリンの店頭価格は下がって良いはずである。

「輸送費の高騰」

 これはもう自分で自分の首を締めているだけのことであり、要するに燃料の価格を上げてしまうから輸送コストが上がるのである。

「人件費」

 実はこれが一番の問題である。

 これについて野口悠紀雄さんという元大蔵官僚であり一橋大学の名誉教授が記事を書いている。

賃金の価格転嫁

 この中で、先日撤廃される事が決まった「103万円の壁」について税制面から見て非常に重要な問題としながらも、

「現在では、物価上昇は輸入価格の上昇によって生じているのではなく、賃金引き上げという国内の要因によって生じている。 だから、それに手をつけることが可能であり、かつ必要だ。」

とし、また、

「原材料価格の上昇分だけではなく、賃上げ分も売り上げ価格に転嫁できることを認識し始めているのだと思う。この変化は、もちろん問題だ。そして、消費者の立場を重視する減税派としては、この状況を無視すべきではない。」

と断じている。

賃金上昇

 本来、賃金というものは企業の業績によって労使で協議し、決定するものである。だから労働者は企業の業績を上げるということが自分の賃金にも反映されるという期待を込めて労働をするのだ。

 だが、現状ではまず賃金の上昇ありきで話が進み、業績もへったくれも無くなっている、ということは業績が悪い企業でも賃上げを行い、その分を賃上げが決定する前に商品価格に転嫁してしまっているということだ。

 では今、世間で起きているような、商品価格が平気で10%とか20%とか、米価格のように60%とかという水準で高騰していることに対して、その企業の従業員の賃金は10%も20%も上昇しているのか?ということになるとこれは当然ながらNOであり、ではその差分は何処に行っているのか?という疑念を持つ。
 だって前述のとおり、また野口教授のレポートの通り、物価上昇は輸入価格の上昇ではなく、賃上げによって起きているのだから、価格転嫁された分はそのまま賃金に還元されて当然ということになるからだ。
結局その差分は企業の利益となり、企業の利益は史上最高を更新し続け、内部留保は増え続けるということになるのだ。
 賃上げが継続して行えるだけの好業績予測が建つとするならば本来、内部留保は不要なのだ。それでもインチキ企業は預金を増やし続ける。

 あと、非常に重要なのは、難しい顔をしてあたかも物価高を不安視してるようなポーズを付けながら裏でほくそ笑んでいる政府・財務省である。
 ここで再度断言するが、物価高は日本政府に莫大な利益をもたらし続けるのだ。
 その源は「消費税」である。

 消費税は物価高騰と連動して政府・財務省に大きな増収をもたらす。結果は既に出ていて、政府の税収はどんどんと増え続けていることが公表されている。 
 税収が凄まじい勢いで増えているにも関わらず、たかだか10兆円程度の減税に対して全く不要の財源論を突きつけているのが日本政府の実態である。

日銀短観

 ここで、先日発表された日銀短観の結果として報道されていることがある。
 これは高知の例だが、私の地元の支店が発表した短観を調べても同様の結果だった。
 皆さんの地元の結果も「日銀短観 〇〇←県名」で検索すれば出てくるので確認してみて欲しい。だいたい似たような結果になっているはずである。

日銀短観(高知)

 製造業が引っ張って全体としては強い結果になっているが、非製造業すなわち飲食や小売り、サービス業などではマイナスになっている。
 つまり、賃金として価格転嫁しやすい大企業が引っ張る製造業は、業績予測を強く感じているということだ。
 そりゃそうだろう、賃上げ分は価格に転嫁すればよいのだし、輸入コストは下がっているのだから悪くなりようがないのだ。

 ではなぜ非製造業の景況感がマイナスになるのか?価格転嫁すれば製造業同様の結果になるのではないのか?
 それができないのである。
 先週のコラムに書いたように消費者の「買い控え」「節約」志向が強くなっている、要するに「価格転嫁」「物価高騰」に消費者はもう既についていけなくなっているのである。

賃金が上がってるはずなのになぜ?

 理由は明白である。
 賃金が上る前に企業が賃上げ分を前倒しで価格転嫁し、それを上回る賃上げがまったく実感できていないからなのだ。
 これは減税に対して必ず財源論を振りかざしたり、セットで増税を決めてみたりする財務省のやり口と同じであり、利潤追求のため自発的に奴らのマインドコントロールを受け入れたインチキ企業のロジックなので、消費者は財務省同様にディスるべきである。

 要するにこれが逆進性の「悪いインフレ」のもたらす最悪の結果である。
 こんなことを何年繰り返しても喜ぶのは政府・財務省とインチキ企業だけであり、庶民の生活は永遠に豊かにはならず、やがて景気が冷え込んで景気後退が始まりそれが経済指標として公開されるレベルになると、世界は日本が「リセッション」に入ったと確信することになり、世界における日本の地位は猛烈な勢いで低下し国際競争力を失っていく。

これがどんな結末を迎えるか?

 わかりきっている。
デフレ経済に逆戻りするのだ。
 数十年というデフレから脱却しようという最重要の経済局面で日本政府は、最悪の手段でこれをへし折ったということなのだ。
 期待を裏切られた国民はもう二度と日本経済に期待しなくなり、今度は数十年どころではない、未来永劫デフレから脱却しようなんて思わなくなってしまうのだ。

今は日本経済にとって最重要局面である

 企業も政府も利益追求・緊縮財政を一旦完全に放棄して全国民の懐を現金でジャブジャブにすべきなのだ。
 それを数年続ければ自然な形で消費者のマインドが高揚し、消費行動が変化し、賃金は業績連動で自然に上昇し、それに連れて物価も自然な形で少しずつ上昇するのだ。
 これが正常なインフレであり、そういうインフレが回す経済はいかに物価が高騰しても強靭なのだ。
 それはアメリカを見ればわかる。物価は桁外れに高騰し住宅ローン金利は7%、それでも人々の消費は衰えず、住宅も買われ、雇用もほぼ完全雇用の状態を維持している。

 国内に話を戻すと、国内の企業も日本政府も、数年間留保を放棄しても余りあるほどの資産は十分に保有している。
 それを吐き出せというのではない。留保はそのままにして、単年度ごとの利益を全て市場に回せということである。
 今、そうすればまだ日本は立ち直る事ができる。
 今が最後のチャンスなのだ。

蛇足ながら

 半年ほど前に投稿したchatGPTとの会話の中で、AIが現在の状況を予測している部分があったので再掲しておく。

 この中でAIは
「物価上昇が先行し、賃金上昇が追いつかない場合、以下のような負のスパイラルが懸念されます」
と予測し、今まさにそれが現実となっていることを記憶しておくべきだと思う。

蛇足2

 最近ちょっと考えるのだが、この状況、海外では暴動が起きているレベルの事態なのである。
 少し前にフランスでは年金保険料の負担増ということに関して各地で暴動が多発したと記憶している。
 海外では度を超えた悪政に対して、暴力を辞さない対抗を行うのは当然の事である。
 これ以上、政府・財務省が暴挙を続ければ日本でもこれが起きかねないと私は感じている。
 どこかで一発目が発生したらおそらく、相当な勢いで拡散していくだろう。
 闇バイトや一時期世間を賑わせた飲食店での営業妨害、SNSでの誹謗中傷行為などを見ても、日本人はそれほど従順・誠実では無くなってきていると感じる。
 貧困に窮した人たちは強盗を働き、やがて暴動からの略奪に発展するのではないか?
 遅からず、そういう時代は来るように感じてならないし、それが起きた時に多発するその事態を収束する力が日本政府にあるのかどうか非常に疑わしいところである。

いいなと思ったら応援しよう!