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【エッセイ】やらない理由を探してる
正確な言い回しではないが、映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』の中にこういう台詞がある。
「お前はいつもそうやって、やらない理由ばっかさがしてんのな」
やりたいことをしない理由を「金がない」「道具がない」「毒親」そういう自身が置かれた主に「環境」のせいにする人間というのは、本心からそれがしたいというわけではないのではないか?と思うのだ。
心底やりたいことのためなら、そこに至るまでの苦労や努力もその一部となって楽しめるはずなのである。
結果だけを夢想してそこまでの道は「メンドクサイ」のだ。
メンドクサイと思う段階で、それはその人が本気でやりたいことではないのだと思う。
仮に自分の環境が平均的な人の半分くらいの水準だとして、それなのに平均的な努力をしてる程度で「うまくいかない」と放りだしてどうすんの?ってことである。
環境が半分なら努力は100倍すべきである。
平均的な人が5年で到達する水準に30年かけて到達すればよいのである。
人生かけてそれがしたいと本気で思っていると豪語しておいて1週間で「やーめた」になるとすれば、それはそいつが悪いのだ。環境が悪いのではない、そいつの想いが低いというだけだ。
多くの場合、目的を履き違えている。
「人気歌手になりたい」といいながら、失恋して自棄酒を呷り喉を潰してオーディションに落ちて腐る。
こいつは人気歌手になりたいのではなくて「金がほしい」あるいは「モテたい」というのが目的なんだろう。
ならばやることは歌の練習ではなく、金を稼ぐ方法、モテる方法にフォーカスを絞って24時間365日、そのことだけを考え続け、そのためだけに努力すべきなのである。
環境がどうであれ、境遇がどうであれ、全ての人間は平等にやりたいことをやれるのだ。
この人のこの映像を観るたびに思う。
ギターには弦が6本なければならない。いやいやいや、弦の数なんか関係ないし、なんなら弾かずに叩いたっていいんじゃないか?ギターを叩いちゃいけないなんて誰も言わないだろう。
やらない理由を探すのではなく、やるためにどうしたらいいのかを考え、試行し、突き詰めて自分だけのやり方を発見し貫く。
この人はジャマイカの人だが、アメリカにもブルースという文化がある。
どちらも苦難の道を辿った人たちが育てた文化で、自分たちの苦しみを吐き出す意味を持ちながらも、そこには幸せを心から願い、つらい日々もハッピーに過ごそうという力がある。
1本の弦しか無くたって、こんなに力強くハッピーな音楽を奏でることができるという事実を目の前にして何が「金さえあれば」だ。何が「もっと良い親だったら」だ。
ふざけんじゃねぇ。