見出し画像

【エッセイ】キャベツ闘争

 今週は久しぶりに6日働いてしまったのだけど、たかが1日されど1日であっておそらく気分的な事が一番大きな要因だとは思うけれどもしかし、疲労する。というか、水曜日あたりが気分的に最悪で退勤時の車内で「今週長っ!」とひとり叫びそしてその叫び声によって憂さが晴れるということもなく逆に疲労が蓄積するという悪循環を感じながら亡霊のように飯を喰らい入浴しまた泥のように眠るという程度にフラフラして迎えた週末、帰宅後に爆睡してしまった現在は気分的に元気溌剌しかし脳は不活性でイマイチ覚醒している感覚が薄い、薄いとはいえ一応覚醒しているので明日の夜から夜勤に入るという、なんかこう、休んだ気がしないということにちょっとムカつきながらもハテ、今夜の酒肴は何にしようかなんて考えてもいる。

 酒肴、といってもそんなに凝ったものを拵えるでもなく、肉や魚や野菜を焼く煮る炒める揚げるというあたりがせいぜいであって、手間がかかるというわけでもないし予算的にも極小、うまくすれば使い残しの端材あるいは消費期限がギリギリやちょっと過ぎた食材で作って予算ゼロなんてこともあるので正直、一般家庭に比べて当家で極端に消費量の多いキノコの類以外は食材の高騰を身にしみるという機会は少ないそんな折。

 先日のニュースでキャベツの価格が暴騰していると言っていた。
 東京のスーパーでの話ではあるけれども、1個税込み700円を超えているという。
 キャベツが700円というのは確かにちと高い印象。
 貧乏が極まっていた時代に、キャベツともやしにごく少量の豚バラ肉の薄切りを加えポン酢と醤油をぶちまけて味付けしたシンプル極まりない鍋を拵え、激安のいかにも体に悪そうでしかも不味い国産似非ウィスキーを呷っていたことを思い出すに、キャベツは安い食材のはずである。

 報道によればこの価格高騰の主たる原因は天候不順。なるほど、本当にそうか?とここで疑問が湧く。
 そして疑問が湧くと同時に、ではこれを下げるためには天候を必ず毎年均一に維持するしかないのか?そりゃ無理だろう、なにせ相手は自然環境であるわけだし、こっちの都合で温度湿度の調整をしてくれるわけでもない。夏の暑さはこれからも更に厳しく長くなってもしかしたら日本は四季から二季の国になるなんて言われてるこのご時世では。

 そんなことをうんうん唸りながら考えていると、案外シンプルな解決法に至るそれは。

 買わなきゃいいんじゃね?

 ということである。


 高いならみんな買わないそうすると小売店が在庫の処分に困るから仕入れないそうすると卸業者も仕入れないそんなことで順繰りに遡っていくと最終的に農家の方々というのは出荷できずに山積みになったキャベツを極端な長期保存することはできないだろうから廃棄することになり廃棄すれば収入はゼロで作るコストまですべて損失になってしまうので値段を下げて出荷することになりそうなると相場原理が正常に働けば末端の小売店でも価格が下る。

 このような理屈で値段は下がるのである。

 これ、キャベツに限った話ではなくて、米だろうが大根だろうがネギだろうがなんでも同じことである。

 「そんな事をしたら農家の方々が困るじゃないか馬鹿野郎、社会全体のことを考えろよ」

 そう言ってこういう理屈を批判するあなたに言っておく。

 消費者目線で言えば、そんな事情は知ったこっちゃないのである。
 当たり前だ。
 消費者が高いモノを避けるのは当然なのだ。
 事実、前述のキャベツの件でも、スーパーの店主自身が「この値段じゃ買いませんよねぇ」と言っていたし、客も値段をみて9割の人が素通りである。その素通りの客に対して「あんたがたのようなセコイ消費者のせいで農家の方々が困窮するんだ恥をしれ」といえる厚顔無恥な愚民はひとりもいないだろう。そういう恥さらしなことを言うのは悪辣政府関係者だけである。

 まぁこの価格高騰というのは実際のところ天候不順だけではなくて、農業機械の運転や車両にかかる燃料費もあるだろうし人を雇って収穫等を行うならその人件費などもあるだろうけど、そんな事情だって本来は消費者にとってしったこっちゃないことなのである。消費者にとって大事なのは品質と価格だけである。品質ったってキャベツはキャベツの味がすればよいわけで、それが何処何処産でどんな高級な肥料をつかって高級な環境で云々というデータは一般的に不要なので主として重要項目は価格だけなのである。

 ということは、消費者の不買運動によって困窮する農家の方々にとってネックとなるのは燃料や人件費であり、ここが下がれば作物の価格は顧客の消費動向だけで決定するようになり、自然に安定するようになるということなので、燃料にバカ高い税金をかけてみたり無責任に最低賃金を上げろと強要する愚かな労働集団や極悪政府にこの困窮の原因があるということである。
 わかったかボケ。

 さて、賃金の話に気が移ってしまったので話題もキャベツからそっちに移す、ということはもうすでにこのエッセイの題名になっている「キャベツ闘争」という話題から逸脱しているがそれは些末な事である。

 日産の業績が悪くて大量の従業員を解雇するとか、第一生命や東芝が大量の希望退職者を募るとか、住友化学やオムロンなども大量の人員削減である。
 いやいや、人手不足じゃないの?って話である。
 「人手不足だから企業は賃金を上げなければ人が来ないので、賃金は連続で物価を超えて上昇する」ってのが労働団体とか日本政府、日銀の見立てなのではなかったのか?
 その一方で大量の人でが企業から失われるという実態がある、ということは実際には人手不足じゃないんじゃないの?という疑念が湧くし、全体的に賃金上昇を続けられるというほど業績も良くないんじゃない?という見方もできる。
 給料が割高な中堅から上の従業員を切り捨てて、値段の安い新卒を雇うということだろう。ということは、賃上げそのものが問題なのであって人手不足はたいした問題ではないのではないか?人員の需給に問題があるのではなく、コストに問題があるのではないか?ということになり、この先賃上げを継続すれば中堅以上の従業員は毎年一定数首を斬られるということである。
 「賃上げをしなければ」という強迫観念がこういう状況を生んでしまったのだ。
 いちいち探すのが面倒なのでリンクは貼らないが、私は以前の記事でこの事を書いていた。私のような素人でも簡単に予想がついたことである、それはすなわち「賃上げのための賃上げ」になってしまっているから起きる弊害なのだ。
 ではなぜこのようなへんてこな状況が生まれたかといえば、これも以前の記事に書いたが「逆進的なインフレ」に日銀と政府が結託して誘導しているからである。

「企業が留保を大幅に減らしてでも従業員と株主に利益を還元し潤沢な資金を民間に投入することにより国民の消費意欲が拡大し需要が供給を上回ることで自然な形で緩やかに物価が上昇しそれによって企業業績が上がり更に賃金が上昇する」

 というのが正常なインフレである。
 今日本に起きているのはこれと真逆に進行する物価高である。

「企業は政府と労働団体の圧力により賃金を上昇させこれもまた政府の誘導でそのコストを価格に転嫁することになり物価が急激に上昇、国民生活は賃金上昇にも関わらず困窮、政府や労働団体は賃金上昇圧力を強めて見た目上の賃金は上がり続けるがそれはすべて価格に転嫁されるため永久に国民の生活が豊かになることはない」

 これが逆進的なインフレである。

 これが進行している現在、人手不足なのに人を切るというバラドックスが発生するのだ。

 予言しておくが現状では絶対に景気は良くならない。
 そりゃものや燃料関連の価格がどんどん上がっているのだから生活に絶対不可欠な消費によってGDPや物価指数は上昇するに決まっているが、これは単に数字の問題である。
 政府や財務省、日銀はこの数字だけを見て政策を決めるのだから、このほうが都合が良いのだ。「あんたがた、消費してんじゃん、稼いでんでしょ?税金上げてもいいよね?」という詭弁の根拠である。
 違う、キャベツの件を見ても明らかなように消費はすでに抑制傾向に転じてしまっているのだ。ただ、抑制しても指数が上昇してしまうほどの物価が上がりすぎているということである。

「キャベツの価格が昨年の3倍になりました、だから給料を3倍にしてください」
「了解でーす、3倍にしま~す。来年はそれを価格に乗せるのでキャベツは一昨年の9倍になりまーす」
ということである。

 この逆進的インフレの中で、消費は絶対に拡大しない。
 その証拠に実質賃金はずっと下がり続けてるじゃないか?なぜ?先に物価が上がっちゃってるからに決まってんだろバカタレ。

 この先やがてまず国民が破綻し、連鎖して企業が破綻し、結果として数字的にもリセッション(景気後退)が明確になる。
 そりゃそうだ、金蔓の国民が破綻するんだから消費は抑制どころか消滅するのだ。

 どこかで経済財政政策を本気で転換し、とにかく一旦、日本の全国民が調子に乗りすぎるほどに潤沢な資金を無条件で供給しそれを数年単位で続けて、国民の記憶から「不景気」というキーワードが消滅し「物価高だろうが増税だろうが全く気にならない、ジャンジャンやってくれい」という気持ちにさせることである。
 これが起きればその間の政府や企業の赤字(消費者の黒字)なんてのはあっと言う間に相殺され、瞬く間に増収に転じるのである。

 「高校生が闇バイトに手を出して逮捕される」
 なぜ高校生がこんな事をしたかというと「お金が欲しかった」ということだったと報道されている。
 高校生が強盗するほどお金に困るってなに?
 子どもは親に欲しいものがあると相談することもできないってことでしょう、その理由は?
 親が困窮しているから、じゃないのか?

 逮捕されたのが数人だからと言って、ほかの子どもが手を出していないということにはならない。
 かなり多数の子どもが闇バイトに手を出してしまっていると考えるのがふつうである。
 景気後退、生活苦の煽りを今、子どもたちが受けているということである。
 若年層が強盗するのはなぜだ?これほど人手不足と騒がれているのに。労働する気なら働く場所はいくらでもある、というよりぜひともウチで働いて頂戴と、人事担当者は揉み手で待っているはずなのだ。能力もへったくれもない、人がいればいいのだから。
 世代的な気質もないとは言えないが、とにかく手っ取り早く現金を手に入れなければならないという逼迫した事情がそこにはあるのではないか?

 企業もいい気になって価格転嫁ばかりしないほうがいい。
 景気後退期欲面では巨大企業も倒産する。
 企業が倒産すれば人は雇えない。
 賃金上昇どころか賃金を受け取ることはできないし、そもそも仕事がない。
 いくら人口が減少したってこういうことは起こる。
 それがリセッションである。 

 「何年も働いてコツコツと2億稼ぐより、犯罪に加担して30分で10万稼ぐほうがいい」

 国民にこういう短絡的思考を植え付けたのは、国民を困窮に陥れている政府・財務省・労働団体の三悪党である。

 財務省や厚労省のHPやXにかなり多くの批判が投稿されているが、おとなしいはずの日本の国民感情も噴火直前と行ったところなのではないか?
非常に良いことだと私は思っている。
 革命、改革、闘争等、そういうことは大好きである。

 高い米、高いねぎ、高いキャベツ、そんなものを買う必要はない。多くの国民が半年くらい不買運動をすれば簡単に暴落を起こす。それが相場というものなのだ。
 食料品だけではない。
 あらゆる産業に対して消費をやめてしまえばいいのだ。
 節約ではない。闘争である。
 ハンストじゃないよ(笑)キャベツ食わなくたって米食わなくたって死にゃしないでしょうよ。
 旅行いかなくたって、死にゃしないでしょうよ。
 美容院いかなくたって、男も女も家で丸刈りにして国民皆スキンヘッドなんてかっこいいじゃんよ。
 冬は暖房切って、海岸に打ち上げられた流木で焚き火しながら自治体全員で安くて不味い酒で塩を舐めながら宴会しようじゃないか。

 極めて健康的でかっこよくて平和的な物価高解決法というのは、ひとりひとりが見栄やら意地やらを捨てて感じたままを行動に移すことである。

「キャベツたけぇな、買うのイヤだな、やーめたっ!」

 それだけのことである。
 これが完全に平和的で静かな暴動の起こし方である。

 思いの外長文になってしまった。
 さて、ナスでも焼いていっぱい引っ掛けてまた寝るで!

いいなと思ったら応援しよう!