【現代詩】「output」#10
前回
粗末な道標にそこまで寄り縋ってまだ心の内を吐き出さぬまま泣くのかお前おそろしく具合の良い排泄と痺れるような快感が週末に訪れて今黄色みを帯びた懐かしい景色の中ただただ歩いて道を渡り怪物による轢死の歴史を塗り替えながら瞳を潤ませ且つあまりの苦痛になお笑いなお声を上げて笑い全身を走る激痛になお笑いなお声を上げて笑う死線の淵この境界は虚ろが充ちて奇縁の裂く空の直線より零れ始めている蒼く青く暗く昏く笛の音とアンテナはけたたましく響く銅鑼の音に因って砕かれ風に先程までゆらゆらしていた木々も縦横に切断され折れてしまった風景ただ風景それを眺めるこの姿それも風景キャンバスを四角と定義するなら直線の端に指を掛け懸垂をするようにこちらを覗くあの怪物の額と思わしき場所から垂れる汗おい私の自画像にお前の汚れた汗が垂れているぞおい臭い穢い煩わしい人生今苦しい人生なんと短いここまでの人生ここから魂を長い道の土中に移しまた歩くしか無いこの人生朽ち果てて文字の読めなくなった道標に相変わらず寄り縋ってスキットルを唇に当て懐かしい香りに包まれながらきっとあの恋を思い出し鼓動が止まる瞬間までの至福と勃起に大きく笑って胸をはだけたままのひと呼吸で