本の中で山に登る⛰️
湊かなえさんの新しい文庫本を近所の本屋さんで見つけました。
「残照の頂 続・山女日記」です。
早速目次を見ると、
後立山連峰、五竜岳・鹿島槍ヶ岳(富山県・長野県)とあります。
え?五竜岳!
なんと最初の小説には、先日私達が白馬五竜高山植物園に行くために乗ったテレキャビン🚠とリフトがいきなり登場しました。上の見出し画像は、往きのテレキャビンの中から撮った写真です。
その思い出は、以下の2つの記事に書きました。お時間あればお読みください。
8月12日の午前中、白馬五竜高山植物園は怪しいお天気のせいか空いていました。窓から冷たい風が入るテレキャビンには夫さんと2人きりで乗りましたし、リフトもゆっくり慌てずに乗れました。でも楽しみにしていた景色は途中から見えなくなりガッカリでしたが、この小説のおかげで
リフトの足元の素晴らしいお花畑を擬似体験できました。
あの日は私達のような軽装の人が多く、このリフトを降りたら登山するというイメージは正直湧きませんでした。
でも、そう言えばあの時、高山植物園に咲いているネジバナの写真を撮影していると、どこからか鈴の音がして驚いたことがありました。振り返ると、登山のいでたちの男性の大きなリュックに、熊よけの鈴🛎️がついていました。どうやら五竜岳山頂から下山して来られた様子でした。他にもチラホラ、登山者であろう方々をお見かけしました。 あの方々はきっと、テレキャビンやリフトは使わず、全部自分の足で歩いてらしたのだろうと今頃気がついている私です。
今回の旅では長野県でも新潟県でも、 あちこちに"熊注意⚠️"の標識があり、少し怖くて一応警戒はしました。早朝散歩も見合わせました。特に妙高山の麓では何となく熊が出そうな気がして不安になりました。
話が逸れてしまい申し訳ありません。
私はこの本を読み出して、五竜岳という文字やテレキャビンにリフト登場!という嬉しい偶然にワクワクしすぎてストーリーが頭に入らず、少し読んでは初めから読み返す始末でした。
改めて読み直しますと、、、
ふむふむ、65歳の"GORYU"という東京にある喫茶店を営む綾子さんと、お店の常連で学生時代は山岳部だった麻実子さん(42歳)が五竜岳を目指すのね。良いなあ!羨ましい、憧れの登山です。オシャレな登山ウェアやザックを2人で揃えて、。
でも綾子さんは初めての登山だから事前に山岳ガイドさんを頼んでいて、。これは何だかNHK bsのドラマ「山女日記」を観ているような。それはそうですよね、あのドラマの元は湊かなえさんの「山女日記」ですから。作者ご本人も少しだけ出演されましたし。
私は、あのドラマシリーズが大好きで録画して何回も観ました。ただ、このドラマを知るのが遅くて、全部は観ていませんが。
ドラマの中の日本百名山の美しい大自然にうっとり憧れても、山の天気は変わりやすく危険も伴い、体力の無い私に登山は無理だと思い知りました。
だからこそ、本を読むことで山に登るのは至福です。
さて、小説の中で山岳ガイドの山根さんは綾子さんに質問します。
「今日はテレキャビンで標高1530メートルのアルプス平まで上り、リフトに乗って、1673メートルの地蔵ノ頭から遠見尾根を歩いて、2490メートルの五竜山荘を目指します。明日は、小屋から五竜岳の山頂まで往復し、来た道と同じコースを下ります。危険な鎖場やハシゴはなく、比較的安全なコースではありますが、初登山でなぜ、五竜岳を選ばれたんですか?」と。
そうなのです、私もそれが疑問です。 長野県なら穂高とか八ヶ岳の方が人気があるだろうに何故だろうと。
ところが、読み続けてその訳を知り、綾子さんの気持ちを考えると涙が溢れて仕方がありませんでした。
人生は厳しいですね。
この文庫本の帯には
「ここは、再生の場所ー。通過したつらい日々は、つらかったと認めればいい。大変だったと口に出せばいい。
山々を舞台にした、感動の連作小説。」とあります。なるほど、、。
そして、
「日々の思いを噛み締めながら、一歩一歩山を登る女たち。山頂から見える景色は、苦くつらかった過去を肯定し、これから行くべき道を教えてくれる。」とは裏表紙に書いてあります。
さすがです、湊かなえさん。
私は、ミステリーは苦手なので読まないのですが、山女が書く山女日記は大好きです。
ゆっくり、少しずつ本を読みながら、その中で登場人物と一緒に山に登れるかもしれない、お勧めの一冊です。
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#白馬五竜高山植物園