ネジバナが好き5️⃣
娘がふらっと帰宅した。
なんとか元気でやっている様なのでひと安心。
急いでこしらえたランチと、プリンと
お土産の葡萄を食べたら
もう行くという。
「今年は紫陽花たくさん咲いてるのよ、見ていって」と私。
「ああ、はいはい」と娘。
「あれ?これ、ママの好きなお花だね!何だっけ。ネジネジ、、」
「そうなのよ、びっくり‼️だよね。この前ひょっこり生えてきたの、すごいでしょう?ネジバナさんだよ」
「ふーん。
懐かしいなあ、原っぱに咲いてたな、あの時。」
あれは、いつだったか?
彼女が大学生活に躓いて、、、
私は下宿マンションまで様子を見に行ったことがあった。
膝を抱えて下を向いたまま、ゆっくり ぽつり
ぽつり。ただ話を聞いたのだった。
それから一緒に買い物へ行き、
帰りに通った原っぱで
濃いピンクのネジバナと出逢った。
ちょうど今頃の季節、
たくさんたくさん咲いていたね。
私は嬉しくて大はしゃぎして、、
娘は 呆れていたっけな。
「あの時、ママが子供みたいでおかしかったけど
。
来てくれて嬉しかったんだよ、
ありがとうね」
ベランダで彼女は、
ネジバナを眺めながら、
横を向いたまま
つぶやいた。
横顔に
ネジバナの射す
ベランダの
彼女は、あれから
なんとか大学を卒業して
就職して、
転職して、。
あのね、
人生は
きびしいよね。
毎日いろいろあるだろうけど、
焦らず
くさらず
ぼちぼち
歩んでね。
いつもここで
待っているから。