猫にだけあるセンサー(猫脳がわかる!より⑦)
前回の投稿↓
今回は、猫の触覚についてです。
猫には、物が立ち並ぶ場所でも何も倒さず通り抜けるという芸当がありますが、これは触覚の能力が優れているからです。
人の触覚受容体は皮膚全体にありますが、猫の触覚はヒゲと肉球に集中しています。
実は、人間でいう眉部分にある毛も「ひげ」なの、知ってました?
【1】ひげ
(1)ひげが触覚を感知する方法
一般的に皆さんが「ひげ」と呼んでいる部分は「触毛」とも呼ばれます。
この「触毛」は哺乳類に生える、触覚を感受する毛で、口周辺だけでなく四肢に生えている場合もあります。
ここでは馴染みのある「ひげ」という言葉と使っていきます。
まず、ひげはどのように触覚を感知しているのでしょうか?
触覚はひげ自体が感知しているのではなく、ひげが何かに当たった感触を毛根から神経細胞へと伝達を行なって、感知しています。
ひげの毛根は、静脈洞という血液の袋の中にあります。
そこには神経細胞が集まっているため、ひげが何かに触れることで神経細胞が反応し、脳に伝わる仕組みになっているのです。
(2)ひげの名称
ひげには部位ごとに名称が付いており、まただいたいの本数も決まっています。
▼ひげの名称
①上唇毛
一般的に「猫ひげ」と言われる長い毛。
狭い場所に入る際に入れるかどうかを測ったりできる。
左右に16本ずつ生えている場合が多い。
②下唇毛
顎の下に生えている、よく見ないとわからない短い毛。
自身では見えない顎下のセンサー代わりになっている。
数本程度。
③頬骨毛
両頬、目よりやや下のラインに生えている。
猫によっては生えていない場合もある。
各1−2本程度。
④口角毛
口の端、上唇毛の上に生えている。
短くて見えにくい。
抜けやすいため、ない猫も多い。
各1−2本程度。
⑤眉上毛
両目の上に生えている長めの毛。
自身では見えない目の上のセンサー代わりになっている。
各6本生えている 。
⑥毛根球近くにある触毛
顔以外にも、前足の毛根球という硬い肉球のようなものの近くに、太くて少し長めの触毛が各1−3本ずつ生えている。
ほぼ全種類生えてる保護猫ちゃんです
(3)ひげの役割
(2)で出てきたひげは、いくつかの役割があります。
①幅を測る
主に上唇毛を使い、瞬時に幅をはかり、狭いところでも音を立てずに入っていけるかどうかを判断しています。
②危険を感知
眉上毛はまぶたの神経と直結していて、何かがひげにふれると、反射的に目を閉じて目を守ろうとします。
③空気をキャッチ
ひげで空気を察知して、風向きを判断します。
④感情を表す
ひげの向きや張り感が、感情を表しています。
感情に伴い立毛筋が伸縮することで、猫のひげを動かしているのです。
▼猫のひげが表す感情
興奮 : 下を向く
リラックス : 重力に従ってふんわり下に垂れる
警戒 : 後方に向く
猫のひげは生活に欠かせない役割を持つため、カットしないであげてください。
【2】肉球
(1)肉球の構造
肉球の表面は皮膚組織、内部は結合組織の層と皮下組織でできています。
基本的には、人の指先と同じようなつくり
です。
肉球には多くの神経が通っていて、毛が生えていないぶん地面の感触などがダイレクトに伝わります。
また
他の動物に比べて猫は肉球が柔らかいと言われています。
(2)肉球の名称
肉球もひげ同様、部位ごとに名前がついています。
▼肉球の名称
前足 指球: 前足の先に4つ並んでいる
掌球 : 前足の真ん中にある凸型
手根球 : 前足の手首あたりにある
後足 趾球: 後ろ足の先に4つ並んでいる
足底球 : 後ろ足の真ん中にある凸型
(3)肉球の役割
肉球にも役割があります。
①衝撃の緩和
例えば高いところから飛び降りた時など、肉球がクッションとなり足への衝撃を緩和する役割を担っています。
②音の吸収
肉球が音を吸収するため、音を出すことなく歩くことができます。
③滑り止め
肉球からでる汗が、滑り止めの役割を担っています。
余談ですが、猫は鼻と肉球だけに汗をかきます。
そのため病院などで緊張すると、肉球が湿って足跡がつくことがあります。
これは、先祖が半砂漠地帯で暮らすようになった際に水分節約のために体中の汗腺が退化したためと考えられているそうです。
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