つぼみ薬局
杉「あー最近どうも調子が出ないなぁ、良い薬無いかなぁ」
杉「ちょうど良いところに薬局あるなあ、ちょっと聞いてみるか。」
(薬局に入る)
水「いらっしゃいませ〜」
杉「あのー、すいません。ちょっと薬を探s…」
水「はいはい、喉を痛めていて、それを緩和する薬ですね?」
杉「いやー、違うんです。私は…」
水「季節の変わり目って、アレルギー反応とか起こしちゃって、それで喉をやっちゃう人多いんですよ」
杉「違うんですよ。喉は痛めてないんですよ。」
水「え?でもお客様そういう…」
杉「いや私こう言う声なんですよ。風邪引いてないんですよ。」
水「あ、そうですか。いやぁそんなことないと思うんですが…」
杉「なんで腑に落ちんのや、まあええわ。」
杉「最近調子が悪くて、何か元気が出るような薬が欲しいんですよ。」
水「あ、そうなんですね?そしたら良い薬がありますよ」
杉「ホンマ?それください!」
水「それでしたら、『あざち』って薬がおすすめです。」
杉「なんか聞いたことない薬出てきたなあ」
水「あざちはですね〜、1日3回を毎日飲んでいただくお薬なんですよー。」
杉「3回もですか?」
水「ええ、でも慣れてくると全然苦じゃないですよ。1回目は大体午前中ですかね?朝の占いを見るような感覚で習慣になってきますねえ。」
杉「あんま習慣になるのも良くない気がしますけどねえ。」
水「2回目は夕方から夜ですね。飲みながらゆっくり時間を過ごすことで、今日1日を振り返る日記を読んでる感覚になりますね。」
杉「どういうことですか?それ薬なんですか?」
水「3回目は夜寝る前ですね〜、あなたの今の気持ちに、丁寧に応えてくれますよ。」
杉「それは良いですね!」
水「ただ時間の都合があるんで、キリトリ線は守ってもらわないといかんのですよ。」
杉「ハサミで開けるんですかね?まあ使ってみると分かるんかな?」
水「大変素晴らしい薬なので、私もたまに処方してるんですよ〜。ただこのお薬は先程言ったように飲むことが習慣になってしまい依存性が高いんですよねぇ。」
杉「それ気になってたんですよ、大丈夫なんですか?」
水「そうですねぇ、癖になってしまうと、症状がなくても薬を飲んでしまうんですね」
杉「いやそんな薬あかんやないですか」
水「それでも患者の方は『ちーちゃんは悪くない!』って言ってますね」
杉「それ早くやめさせた方が良いですよ。」
杉「もうちょっと初心者でも飲みやすい薬はないんですか?」
水「そしたら、『ソイヤ』って薬はどうですか?」
杉「また聞いたことないですねえ、どんな薬なんですか?」
水「この薬はですねぇ、ゲーム感覚で病気を治せる薬なんですね」
杉「どういうことですか?でも面白そうですね」
水「使ってもらうことで、頭脳が冴えてきたり、恐怖に打ち勝ったり、あとは恋愛のときめきを感じられますね。」
杉「それ大丈夫ですか?妄想でてないですか?」
水「妄想、あぁ言い換えればそうかもしれないですね〜、確かに。たかしたかし。たかし of chicken」
杉「いやあなたもおかしくなってますやん。」
水「まあ処方されてる方もすごく心が穏やかなので、必ず効果は出ると思います。」
杉「そうなんですか?それだったら使っても良いんですが」
水「ただ副作用として、睡眠の妨げになるリスクがあります。気がついたら深夜になってたり、下手したら朝になってることもあります。」
杉「絶対ダメじゃないですか。その副作用は私には困るんですよね〜」
杉「もうちょっと元気になりそうな薬無いんですか?」
水「それでしたら、『くー』という薬があります」
杉「変な名前の薬ですね」
水「失礼ですよ!くーさんあんなに頑張ってるのに!」
杉「あ、すいません…(さん付けしてますやん)」
水「この薬は、とにかくいつも元気になるんですよ。簡単に生活にも組み込み出来ます!」
杉「そうです!そういうの待ってたんですよ」
水「今を楽しもうって気持ちが生まれてきて、 休みになったら旅行に行こうって思えるくらいアクティブにもなれます。」
杉「いいじゃないですか!それ欲しいです!」
水「ただ、この薬はですねぇ…」
杉「またなんかあるんですか?副作用が」
水「定期的に水着姿になりたくなるんですよね」
杉「は?」
水「いやー、海に潜ったりして、無意識のうちに写真を撮って、SNSに投稿したり、写真集を作り始めますね」
杉「いや人格変わってますやん」
水「でもいいじゃないですか?」
杉「いやよくないですよ、私そんなんやりたくないですもん。」
水「グラビアなんて、元気でますよ〜、
私がね。」
杉「あなたがですか?」
水「いや、あなたがですよ?」
杉「私ですか?」
水「いや私です」
杉「どういうことやねん」
杉「いやあなた変な薬しか出してくれないじゃないですか?」
水「でもあなたたくさん笑ったんじゃないですか?」
杉「いや、でも確かになあ、気持ち沈んでたから、こんな変な話たくさんしたのは久しぶりですよ。」
水「人間楽しませることがDNAに組み込まれているんですよ。だからそういう気持ちを持っていればエンジョイできるんじゃないですか?ノーテンキに。」
杉「なんか読みながら言ってます?」
水「まあなんやこのやりとりで『くすりと』笑ってもらえれば治るんとちゃいますか?」
杉「ベテラン漫才師みたいな終わり方せんでええのよ。ももええわ。」