喫茶店載録 vol.0/翡翠
私が喫茶店に通うようになったのは
たぶんここからだったと思う。
数年前の誕生日に1人旅で京都へ。
気になっていた喫茶店を目掛けてバスを乗り継ぐ。
スマホで地図を見るため
12月の夕方前の冷たい空気に
素手を晒しながら歩くと
道の角に大きな白い外壁に青の3本線。
入口から歴史を感じる趣きで、
中に入ればさらにその味が増す。
初めて来たにもかかわらず
昔の思い出があるかのような懐かしい気持ち。
メニュー表にすら伝統を感じる。
数分後、テーブルにはオムライスとコーヒー。
喫茶店らしい親近感のあるそのオムライスは
想像以上に大きかった。
窓越しから見えるのは
瞬時に熱を持ち去る程の冷たい風、
鈍角に差す陽、やけに大きなエンジン音の車。
そんな外の状況なんてお構い無しで
各テーブルにはそれぞれの時間が流れる。
静かだけど賑やかに思える空間。
少し哀愁が混ざっているのは
年の瀬のせいか時間のせいか...
私はその感覚をまた味わいたくて
今日も喫茶店を選んでるんだろう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?