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「虹の彼方に」この曲があったから

私はクラシックベースのピアノ弾きではありますが、ポピュラーを弾くことも近年増えてきました。

 その中で、私が人生で何度も「この曲があったから心が救われた」という曲が、今日の記事で取り上げる「虹の彼方に」です。

  ”Over the Raimbow"
 
 映画「オズの魔法使い」で、ジュディ・ガーランドが歌った曲。スタンダードな作品として多くのカヴァーがあります。
 はじめてこの曲を聴いたのはいつのことか、もう覚えていないくらい昔。

 人前で初めて弾いたのは、ピアノではなくエレクトーンで、でした。
松田 昌さん(最近はピアニカ奏者としてもおなじみ)の「ストリングス・バラード」という、複数機種での演奏が可能な曲集に入っていました。
 結婚式の準備でピアノの前に座れず、遅く帰宅してもヘッドホンで練習できるためエレクトーンでの演奏をした新婦でした。娘たちに泣き顔など一度も見せたことのなかった父がボロ泣きでした。妹が後から、
「あんなお父さんは初めて見た」
と言っていたほどです。


  その後。人前でピアノを弾けない時期が随分長く続きました。そして、いきなり「弾ける状況」になりました。
 ブランクがあり、思うように弾けないことに嫌気がさしていた時期があります。
 そんな中で出会ったのが、轟千尋さんアレンジの「きらきらピアノ ポピュラーメロディーズ」のシリーズ。
このシリーズの3巻で、私は「虹の彼方に」と再会しました。
 初見が大の苦手で、先生方に呆れられていたのに、この曲はすっと手になじみました。轟さんのアレンジのこの楽譜が私を待っていてくれたのかな、と思いました。
 
  亡くなってみて、自分の生き方ものの考え方にいろいろな影響を与えていた父を送ったあと、普段どおりに見えても心がドーナツみたいにまあるく穴が空いているような気持ちになったことがあります。
  お葬式や四十九日(うちは浄土真宗ですので、三十五日ですが)を終え、家に戻って、さてそろそろピアノを弾こうかなって思った時に、ふっと、この曲の入っている楽譜を本棚から取り出していました。
 
 自分にピアノがあって、この曲があってよかったと思えた瞬間でした。

  2019年の3月30日、「らび♪ぱん さくらコンサート」のソロ曲の中に、この曲を入れました。
 翌日に納骨とわかっていたので、遠くへ行く父を送る気持ちで。
 そして、いつも私を応援してくれた高校時代からの友人が、親御さんの介護で来られないから彼女に届くようにと。

 私にこの曲があって、よかった。そう、心から感じました。


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