運命の剣〜アリスの選択〜 第四話 聖剣リディアの光
アリスの前に迫るバハート帝国の兵士たち。その数の多さに街の人々の不安が高まる中、アリスは聖剣を手に立ち上がった。
「リディア…力を貸して。これ以上、命を奪うわけにはいかない!」
聖剣が眩い光を放ち始め、リディアの声がアリスの心に直接響く。
「アリス、分かったわ。でも、気をつけて。この中にただならぬ気配を持つ者がいる…。」
リディアの言葉に一瞬驚きながらも、アリスは聖剣を高く掲げ、呪文を唱え始めた。
「『天光の一閃』!」
その瞬間、聖剣から放たれた光が兵士たちを包み込み、次々とその武器を弾き飛ばした。強烈な衝撃波が広がり、兵士たちは倒れ込むが、命に別状はない。彼らは光に圧倒され、戦意を失っていった。
「何だ、この力は…!」
「もう駄目だ…」
兵士たちは動けなくなり、その場で降伏するように座り込む。
ただ一人、ガラフだけが立ち上がり、冷静な表情でアリスを見据えていた。彼は剣を構え、アリスの攻撃を完全に防ぎ切っていた。
「さすがだな、アリス。だが、この俺には通用しない。」
その言葉とは裏腹に、ガラフの体から放たれる魔力には異様な不安定さが感じられた。彼の手が微かに震え、目には苦痛の色が浮かんでいる。
アリスはその異変に気づき、眉をひそめた。「ガラフ…あなた、何かがおかしい…。」
その時、聖剣の中からリディアの声が鋭く響いた。い…
「アリス、彼は魔神と契約してるわ。その力が彼の体を蝕んでいる!」
アリスは驚きつつも、ガラフを真っ直ぐ見つめた。「ガラフ…あなた、自分を犠牲にしてまで何をしようとしているの?」
しかし、ガラフは答えず、ただ剣を振り上げた。その動作は荒々しく、どこか制御を失っているようだった。
リディアは続けて警告した。「アリス、彼の魔力がどんどん強くなってるわ。」
アリスはリディアの言葉を聞き、悲しげに呟いた。「止めるしかない…」
彼女は再び聖剣を構え、ガラフに向かって声を上げた。「ガラフ、やめて!そんな力に頼るのわ!」
しかし、ガラフは苦しげに息を吐きながらも、強引に剣を振りかざした。「黙れ!この力を使ってお前を倒す!」
その瞬間、彼の体から放たれる魔神のオーラがさらに濃くなり、周囲の大地が震え始めた。
アリスは聖剣を強く握りしめ、決意を込めて言った。「リディア、彼から魔神の力を奪うにはどうすればいい?」
リディアの声が少しだけ優しく響いた。「アリス、あなたの剣には浄化の力が宿っている。それを使えば、彼を魔神の支配から解放できるはず。でも…」
アリスはその言葉に頷き、聖剣を掲げた。「わかったわ。全力を尽くす!」