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第五話 魔神ガラフ

アリスとガラフの戦いが激しさを増す中、ガラフの体から放たれる魔力は次第に不安定さを増していった。黒いオーラが彼の周囲を包み込み、その目には理性の光が次第に消えつつあった。
「ガラフ…その力、あなたを壊すわよ!」
アリスは聖剣を構えたまま叫んだが、ガラフは笑みすら浮かべ、冷たい声で答えた。
「黙れ!力こそが究極だ!」
彼の声が徐々に歪み、低くなっていく。突然、ガラフの体が苦しそうに痙攣し始めた。
「ぐっ…!これは…何だ…?」
彼の声が途切れると同時に、黒いオーラが渦巻き始め、彼の体を完全に飲み込んだ。
「ガラフ!」
アリスはその様子を目の当たりにし、聖剣を握りしめる。だが、黒いオーラの中から現れたのは、もはや人間ではなかった。
ガラフの体は巨大な魔神の姿へと変貌していた。角が生えたその顔は獣のように歪み、全身は黒い鱗に覆われている。目は赤く輝き、彼が操る剣もまた異形の形状へと変化しだ…ていた。
「この力…これが魔神の力か!」
彼の声は低く、闇そのものが語りかけているようだった。もはやガラフ本人の意志は完全に魔神に飲み込まれている。
聖剣からリディアの声が響いた。「アリス、彼はもう完全に魔神に取り込まれたわ!自我は消えている…今の彼はただの破壊の化身よ!」
アリスは歯を食いしばり、聖剣を握り直した。「…分かってる。だけど…」
リディアの声が厳しく続く。「覚悟を決めなさい、アリス。彼を止めるにはもう…」
アリスは頷き、静かに呟いた。「ガラフ…もうあなたを救うことはできない。せめて、ここで終わらせる…。」
魔神と化したガラフは咆哮を上げ、その一撃が大地を裂いた。その攻撃の衝撃波は周囲の地形を変え、アリスはその場から飛びのいて防御の構えを取る。
「この力…一撃でも受けたら終わりね。」
アリスは冷静に状況を見極めながら、聖剣に魔力を込め始めた。
「リディア、あなたの力と私の魔法をかけ合わせるわ。この一撃で終わらせる!」
「わかったわ!アリス。」
聖剣が眩い光を放ち、アリスの体を包み込む。その光は魔神化したガラフを睨みつけ、戦いの緊迫感をさらに高めた。
魔神ガラフは再び剣を振り下ろし、その一撃が地面を砕きながらアリスに迫る。アリスは聖剣を振るい、光の刃でその攻撃を弾き返した。
「この戦い、終わらせる!」
アリスは決意を込めた目で魔神に立ち向かい、リディアの力と共に最後の戦いを挑んだ。

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