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第二話 アリスの魔法のバリア

ガラフの軍勢が街に迫り、火の矢が次々と城壁を越えて飛来する中、アリスは広場に立ち、冷静な表情で周囲を見渡した。避難する村人たちの恐怖の声が響き、火の粉が舞う中、彼女は聖剣をしっかりと握りしめた。
「これ以上、街を壊させるわけにはいかない…!」
アリスは深く息を吸い込み、聖剣を地面に突き刺した。その瞬間、剣が眩い光を放ち、彼女の手から魔法陣が広がり始める。その魔法陣は地面に刻まれるように街全体を覆い、やがて透明なバリアとなって現れた。
「『守護の光壁』…!」アリスが呪文を唱えると、バリアが街をすっぽりと包み込み、迫りくる攻撃を防ぎ始めた。
しかし、この規模の防御魔法は、アリスにとって大きな負担だった。聖剣がかすかに震え、聖剣リディアの声が彼女の心に響く。
「アリス、そのバリアは膨大な力を消耗するわ。これ以上使い続けると、あなたの体が持たない…!」
アリスは歯を食いしばり、額に汗を滲ませながら答えた。「分かってる…でも、この街を守るために必要なの!」
リディアの声は少しだけ静かになりながらも続けた。「わかった…私も力を貸すわ。でも、無理はしないで。」
バリアが敵の矢や砲撃を受けるたびに、アリスの体に負担がかかっていく。膝が震え、視界が揺れる中、それでも彼女は魔力の供給を止めなかった。
バリアが張られたことで、街の中は一時的に静寂を取り戻した。村人たちはその光景を見て、口々に驚きの声を上げた。
「アリス様が…私たちを守ってくれている…!」
「なんて力だ…あのバリアがなければ、今頃街は壊されていた…!」
彼らの言葉がアリスの耳に届く。力を使い果たしつつある中、それが彼女にとって唯一の支えだった。
バリアが敵の攻撃を防ぎ続ける中、アリスの体力と魔力は急激に減少していった。彼女は膝をつき、息を切らしながら地面に手をついた。
「これで…少しの間だけでも時間が稼げるはず…」
リディアの声が再び響く。「アリス、力の使いすぎよ。あなたの魔力は半分以上消耗している。このままでは次の戦いで不利になるわ…」
アリスは答えた。「分かってる。早めに決着をつけるわ。」
聖剣が一瞬だけ光を放ち、リディアの声は静かに応えた。「無茶はしないで…」
次なる戦いへの準備
街全体を覆うバリアは、ガラフの軍勢の進行を一時的に食い止めた。しかし、アリスの力は半分以上が失われ、彼女は次の戦いに向けて自らを奮い立たせなければならなかった。
「これからが本当の勝負ね…」アリスは立ち上がり、再び聖剣を握りしめた。彼女の目には、どんな困難にも立ち向かう覚悟が宿っていた。

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