明日解散するバンドの話
「大切なお知らせ」という突然のツイート通知で、全てを悟った2021年4月20日。
どこか他人事だと思っていた出来事を目の前にして頭が真っ白になったのを覚えている。
ー
元々わたしがそのバンドを知ったのは、2018年。もう恒例行事みたいになっている、年始に放送される今年流行るだろうバンドを取り上げるあの番組でランクインしていた彼らを見かけたのがきっかけ。
偶然つけていたテレビから流れてきた彼らの楽曲に気が付いたら釘付けになっていた。今でもその曲を聴くと、出会ったときの衝撃を思い出す。
番組終了後、メモしたバンド名をすぐにYouTubeとTwitterで検索して「ライブに行こう」と決めた。
それを機に私はライブハウスという場所に足を運ぶようになった。セットリストとか箱によってステージの見え方が全然違くて、通うのが楽しかった。
そのバンドの曲を生で聴くのが、音楽を浴びるのが本当に幸せだった。
いつから?と言われるとあまり思い出せないけど、きっかけになった時期は明確に覚えている。
あるインストアライブでの出来事。
思い出したくもないし、何があったかなんてあえて書かないけど、少額ながらお金も絡んでいたので、すごく嫌な思いをした。
時間帯もわたしが見た景色も、その場で感じた憤りも、未だに全部脳裏に焼き付いている。そこから。
彼らのファンが信じられなくなった。
ライブを見に行くのが、怖くてたまらなくなった。
そんなことで?って思う人もいるかもしれないけど『きっかけ』に過ぎないし、正直それからも、嫌な気持ちになった出来事は何回かあります。
小さな世界だからこそ、顔を合わせてしまう機会が多いからこそ、そんな感情が芽生えたのだと思う。その子も、周りにいる子たちも、それ以外の子たちも、全員に対して。
(勿論、片手で数えられる程度だけど、今でも仲良しの友達はちゃんといるよ)
楽曲はリリースされるたびに聴いていたし、いつ、というよりは、本当に徐々に、ライブに行かなくなってしまったんだと思う。
ただ。最終的には、ワンマンライブ以外、なかなか足を運ばなくなってしまったことは確かです。彼らのことはそんなきっかけ以降も大好きだったのに、ライブに行ったりグッズを買ったり、全然サポートができなくて本当に申し訳なかったな。
たまに行くライブでは、随分と月日が経っててもメンバーはわたしのことを覚えてくれていた。本当に幸せ者だと思ったし、同時にそこまでファンに目を向けてる彼らのプロ意識も痛感した時間だった。
ー
2021年7月3日、Sound Stream Sakura。
久しぶりに彼らのライブを見た、贅沢にも最前列で
過去にも何度か同じ曲が1曲目を飾ったことがある。わたしにとっては楽しかった思い出しか蘇らなくて残酷にも悟った。
「ああ、私が大好きな景色だ。」
フロントマンの口から語られる【解散】という言葉に微塵も現実味を感じなくて、どこかライブ中は、終始フワフワした気分だった。
涙ってこんなに感情と裏腹に勝手に出てくるのかと初めて知った日。
今思えば、心が追いついていなかっただけなのかもしれないけどね。
終わった後に近くのファンの方に声をかけられた。
「旗見せてください!ワンマンもいましたよね?」という言葉には、正直ちょっと怯えてしまったし、周りの人も無言で見つめてきたのが本当に怖くて、おそるおそる旗を広げた。
「他のバンドも書いてるんですか!すごーい!」と笑顔で言ってもらえて、少し目頭が熱くなった。
ライブハウスってこんなに温かい場所だっけ?
翌週のライブでも、こんな私のことを覚えていてくれたようで、声をかけてくれた子がいた。
「ずっといるな〜って気づいてたんだけどさ、、」なんて話しかけてくれて。こんなにありがたい話ってあるのかな?
もうあんな思いは二度としたくないし、正直言うとこれからも不必要にライブハウスで友達は作らないつもりでいます。今周りにいる仲の良い皆を大切にできればそれで充分だと、わたしはそう思う。
旗も、ツアーで作った寄せ書きも、全て一人で完結させたのは、そんなことがあったから。
だけどその時に、企画物の制作を応援してくれたり全然関係ない恋愛やテレビの話で盛り上がったり。
そんな友達ができたのも、このバンドを通じて。
『全員』を怖いと思ってしまった過去のわたしは、大きな勘違いをしていたのかも、とほんの少しだけ後悔しています。
またライブハウスを少しだけ愛せる日になったな。
毎日彼らの曲を聴いてたわけじゃないし、もっと昔から応援していた人もいるだろうし、わたしが応援できてなかった頃に支えていた人も、沢山彼らのことを愛していた人がいたのを知っているからこそ、そんなに胸を張って言えないけれど。
『 BOYS END SWING GIRL 』
明日解散する、わたしにとって大切なバンドです。
いつも荒削りだし、かっこつけたがるくせに不器用だし、おしゃべりで何でもファンに言っちゃうし。
でも、努力家で、丁寧で、ファンを信じてくれて、ライブではいつも一人ひとりを見て音を届けていて何より全員が音楽を心の底から愛していて。
そんな4人が紡ぐ音を愛せていたのが私の誇りです。
4人の未来が希望に溢れることを願い、
大きな愛と感謝を込めて。本当にありがとう。
またね。
PS:3年前のロールアウトのチケ失くしてました()
fin.