見出し画像

宇多田ヒカル「Laughter in the Dark」のこと 〜その2〜

その1 はこちら

*注意!!!この記事は2018年11月現在開催中のツアー「Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018」の、ネタバレだらけです!これからご覧になる方、セットリストなども楽しみにとっておきたいという方はご観覧になる日まで一文字も目にしないようお気をつけください。


冒頭から複雑な気持ちになってしまったけれど(理由は「その1」参照)、ライヴが進むにつれてだんだんとヒッキーの唄う歌、奏でる音楽が、苛ついて固まった私の心をほぐしていってくれた。

開演前SE一切なしの無音の中(あれだけ大きな規模の会場でBGMが全く流れていないのは初めての体験で、不思議な感じがした)、周りの観客の期待がどんどん高まっているのが肌で感じられて、開演時刻を回り照明が暗くなってからヒッキーに呼びかける声が多くなり、それが「ヒカルちゃ〜ん!」「宇多田〜!」「ヒッキー!」など統一されてないのも、レアなライヴならではだな・・・と思った。

歌舞伎のセリのように奈落から舞台上にスーッと登場して、イントロがなくヒッキーの歌声から始まる曲「あなた」で、ライヴがスタートした!(この時、視界ショックにより集中できなかったのが悔やまれる)
会場に居た何万人もの人の、「今日この場所で初めて聴く音楽」がヒッキーの声だったんだな・・・(この時、以下同文)。

胸が痛くなる歌詞とダンサブルな曲調のアンバランス感がめっちゃ好きな「道」、イントロでお馴染みのメロディが流れた瞬間の「キター!」という会場全体がアガった空気が忘れられない「travelling」(♪みんな踊り出す時間だ♪の後の♪待ちきれず今夜♪を♪横浜アリーナ♪と替えていて、場内も私も大熱狂)と続いて、序盤から踊り狂い、その後怒涛のシングル曲攻めが続き、それぞれの曲が世に出た頃の出来事や思い出がブワ〜っと重なって走馬灯状態。しかも全ての楽曲がライヴのための特別なアレンジで、その「音そのものの贅沢さ」に酔いしれた。
特に印象深いのは「Kiss&Cry」で、「Can you keep a secret」の♪Hit it off like this〜♪部分がサンプリングされていた粋な遊び心。「SAKURAドロップス」で、曲の途中でヒッキーがスッと後ろを向き歌いながらステージ上の階段を上っていって(背中が綺麗だな〜〜〜と思いながら見てた)、何だろうと思ったら、アウトロでシンセサイザー(オルガンのような音色だった)をガンガンに弾いて、かなりアバンギャルドな終り方で鳥肌立った!

そして!ダンサーの高瀬譜希子さんとのコラボレーション・・・!
ダンサーの方の出演は全く知らなくて(初日なので事前情報もなかった)、思わぬところで素晴らしいコンテンポラリーダンスが観られて感無量。

「Forevermore」のMVで振付を担当された高瀬さんの、遠目に見てもビシビシ伝わる動きの美しさ!高瀬さんとヒッキーが“光と影”のようにも、“太陽と月”のようにも、恋人同士にも友達同士にも見える不思議な距離感で、「歌手とダンサー」でこんな形の表現があるんだ!と驚いた。高瀬さんのキレの良い動きと筋肉美は、ルールや競争から解き放たれた体操選手のようにも見えた(MVのヒッキーのダンスを見た時も同じことを思った)。

同じく高瀬さんとコラボレーションした「Too Proud」で、アルバムではラッパーのJevonをFeaturingしていて、ラッパーが誰か出てくるかも?と予想していたら、期待を上回り、なんとヒッキー自身のラップ!!!
若干KOHH寄りのフロウであの低いハスキーな声でのラップ聴いた瞬間グワ〜っと高まりすぎて、具体的に何を歌っていたかは『旦那の愚痴』という部分しか思い出せない・・・。今回のライヴはスマホ撮影OKだったので、ラップ部分を撮ってた人いないかな〜と探している。音源化しなさそうだけど、いつかリリースしてほしい!(このライヴ当日にアジアのラッパーをFeaturingした同曲のRemixバージョンも配信リリースが発表された)
ヒッキーがステージから去った後、高瀬さんのソロも超絶カッコ良かった!!!公演観に行きたいと思って速攻調べたけど、日本での出演予定は今のところ無さそうで残念。

その後に暗転し、休憩時間かと思いきや、そんな暇もなかった!
既に色々な記事でレポートされているけど、「Laughter in the Dark」をテーマにした、又吉直樹とのコント!
(その後テレビで又吉見るたびに「又吉ラフターインザダーク・・・」と思ってしまう)
普通に真面目な対談映像だと思いきや、途中から様子がおかしくなり「あ、これコントなんだ・・・」とじわじわ気づいた。ゲラゲラ笑かすというよりは、染み入ってくる笑いだった。最後にオフショット映像も流れて、一本の短編映画を観たような気分になったところで、ライヴは第二章に突入。

その3へ続く


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?