容量市場でもし経過措置がなかったら
容量市場の約定結果が公表され、上限価格の14,1371円/kWとなった。
約定結果が公表前に上限価格になるのではないかと予測していたが、この結果は驚き半分、納得半分というところである。
価格予測については、以下を参照してほしい。
約定価格が高騰する原因として経過措置があり、これは小売電気事業者の負担を増やしてまう。
経過措置がある場合とない場合で、小売電気事業者の負担がどの程度になるのかを見積もってみる。
経過措置がある場合(約定結果の考察)
まずは、経過措置がある場合の小売電気事業者の負担を見積もる。
約定結果のp15に小売電気事業者の負担額がまとめられている。kW当たりの拠出金を求めると以下の通りとなり、どのエリアでも、9,295円/kWである。
また、調達量は、約定総容量(1億6,769万kW)とFITの期待容量(1,179万kW)の合計であり、1億7,948万kWである。
経過措置がない場合の約定価格と調達量
経過措置がない場合の約定価格と調達量を仮定する。上限価格付近で入札した電源はすべて経過措置対象であり、経過措置が無ければ、42%下がった価格で約定する。よって以下のようになる。
14,137×(1-0.42)=8199.4円/kW
小数点を切り上げると、8,200円/kWとする。
需要曲線から、8,200円/kWの時の調達量は、1億7,807万kWである。経過措置ありの調達量の方が多いので、約定総容量は変更なしとする。
経過措置がない場合の容量拠出金
経過措置がない場合の容量拠出金を求める。約定総額は以下の通りとなる。
8,200円/kW×1億7,807万kW=1兆3,750億円
小売電気事業者の負担金をまとめると以下の通りとなる。小売電気事業者の1kW当たりの拠出金は8,232円/kWである。
まとめ
経過措置がない場合の容量市場の約定結果を計算してみた。結果をまとめると以下の通りとなる。
経過措置が無ければ、約定価格は42%下がり、小売電気事業者が負担する拠出金は1kW当たり8,232円であり、11%下がる。
経過措置が無ければ、約定価格は大きく下がるが、小売電気事業者の負担は14%減であり、それほど大きくはない。
今回の約定結果を分析すると、発動指令電源に関して、色々気になることがあり、このままでは次回のオークションで問題となりかねないところもあるので、そのうちまとめるかもしれない。