電力崩壊の危機(1/8追記あり)
1/8に追記しました。追記分は最後を確認ください。
テレビや新聞では、コロナウイルスの拡大を抑制し、医療崩壊を防ぐための緊急事態宣言が取り上げられているが、ほとんど報道されていないが、実は電力需給がひっ迫し、崩壊寸前である。詳細は以下のあたりが分かりやすいと思う。
また、広域機関からは、すべての発電事業者へ指示を出すという前代未聞の状況となっています。。
需給がひっ迫すると、具体的にどんなことが起こるのかを考えてみた。
電力崩壊のシナリオ
以下のシナリオは最悪を想定したものであることには留意いただきたい。
①電力系統でトラブル発生
例えば、12/17に発生した中部電力で発生した鉄塔の倒壊といった、送電線の複数回線の事故や、複数の発電所が同時期にトラブルにより計画外停止するなど、系統事故が発生する
②発電所の解列による周波数低下
事故が発生すると、発電機が系統から解列し、供給が減るため、系統の周波数が低下する。なぜ周波数が下がるのかは以下の記事を参照してほしい。
③分散電源の一斉解列
太陽光や風力などの分散電源は系統事故に弱く、系統周波数が急激に低下すると、それらの電源が一斉解列し、さらに供給力が減る。自家発は系統の事故時に工場を停電させないために設置しているものであるので、系統から解列しやすいように保護継電器は設定されている。よって、自家発からの供給もなくなる。
④周波数リレーによる負荷遮断
系統周波数が一定以上低下すると、一部のエリアを停電させ、需要を減らすことで、全域停電を防ぐシステムがある。これにより、あるエリアが突然停電する。
⑤供給力不足で、停電が復旧しない
停電を復旧するためには、①で解列した電源と、③で解列した分散電源分の供給力が確保する必要がある。しかし、需給がひっ迫しており、運転可能な発電機は余っておらず、供給力を確保することができない。
⑥供給力を確保し、停電復旧
解列した分散電源が再連系し、大口需要家の需要を減らすなどして、何とか供給力を確保したことで、停電が復旧する。供給力確保に時間がかかり、復旧までは、相当な時間がかかると思われる。
まとめ
1/7時点では需給がひっ迫している。この状況では、何らかの系統事故が発生すれば、停電となる可能性がある。寒波が到来している今の状況での停電は、人命にかかわる事態である。電力崩壊の危機である。
1/7時点では、節電要請は発出されていないが、綱渡りの状態であり、一刻も早く節電要請を発出すべき事態ではないだろうか。
急いで書いたので、誤字脱字や認識間違いがあるかもしれません。適宜改定する可能性があります。
1/8追記 中部関西間連系線の運用容量拡大
OCCTOより中部関西間連系線の運用容量拡大が発表された。
ここでは供給信頼度の低下レベルとして次のように記載されている。
中部関西間連系線の2回線事故時において、北陸・関西・中国・四国・九州エリアの一部地域において停電が発生する可能性がある。
以下リンク先の"連系線の運用容量算出における検討条件について(2020~2029年度)"を参照すると、中部関西間連系線の運用容量の制約要因は周波数である。
よって、運用容量を拡大したことで、連系線で2回線事故が発生し、中部エリアと関西以西エリアが分離すると、中部エリアからの供給がなくなり周波数が維持できないということである。これは、これまで述べた電力崩壊シナリオと同じであり、このまま進めば、関西以西の一部エリアが停電するということになる。電力崩壊シナリオが現実味を帯びてきた。梶山経産相は節電要請をする予定はないと発言していたが、節電要請をして、予備力を確保すべきではないだろうか。