親愛なる読者の皆さまへ、本日は楽曲”Poor Butterfly”の対訳をお届けします。 この曲は1904年に発表されたプッチーニのオペラ『蝶々夫人』にインスパイアされ書かれた1916年のポピュラーソング。ヴァースの一部分にプッチーニのオペラからの引用があります。 “Poor Butterfly”
There's a story told of a little Japanese 日本の小さな女の子のお話 Sitting demurely 'neath the cherry blossom trees 彼女は慎ましやかに桜の木の下に腰掛けていた Miss Butterfly's her name 彼女の名前は蝶々ちゃん A sweet little innocent child was she 純真無垢で優しい子だった 'Til a fine young American from the sea To her garden came 若いアメリカ人の男性が海を越えて庭にやって来るまでは They met 'neath the cherry blossoms every day 彼らは毎日桜の木の下で会った And he taught her how to love the American way 彼は彼女に愛を教えた、アメリカ人がするやり方で To love with her soul t'was easy to learn 心の底から愛すること、それを学ぶのは簡単だった Then he sailed away with a promise to return そして彼は船に乗って去ってしまった、必ず戻ると約束して Poor butterfly 可哀そうな蝶々 'Neath the blossoms waiting 今日も桜の木の下で待っている Poor Butterfly 可哀そうな蝶々 For she loved him so 彼女は彼を深く愛していたのだから The moments pass into hours 瞬間が時間になって The hours pass into years 時間は年月になる And as she smiles through her tears 涙を溢し微笑みながら She murmurs low: 彼女は呟く The moon and I know that he'll be faithful 「月と私だけは知っている、彼は誠実な人だって」 I'm sure he'll come to me by and by 「きっと彼はもうすぐ私の元へ帰って来るの」 But if he won't come back then I'll never sigh or cry 「でももし、万が一よ、たとえ彼が戻って来なかったとしても、それでも私は絶対に溜息をついたり、泣き喚いたりなんかしない」 I just must die 「そのとき私はただ死ねばいいのだから」 Poor butterfly 可哀そうな蝶々
Composed by Raymond Hubbell Lyrics by John Golden Translated by 加藤咲希 この曲は去年発売した私のジャズ歌手としての実質上の2ndアルバム『Sweet And Lowdown』に収録。こちらはワルツのアレンジが施されています。何回も聴いて歌っているうちに、私にとっては、このハーモニーと疾走感溢れるリズムがこの曲のイメージそのものになってしまった。全速力でちょうちょが飛ぶ。優雅に、持ちうる全てを費やして。高度が下がっても速度を落としたりしない。全速力で、まっすぐに墜ちてゆく。その姿はとても美しい。少なくとも彼女は愛を知り、それを貫いたのだから。
“Poor Butterfly”を収録した『Sweet And Lowdown』はこちらでご購入いただけます。https://kogumasound.base.shop/items/69349778
このアルバムは考えられないほどタイトなスケジュールの中、全部半日で録音しました。でも私の関わった作品の中で、これがいちばん好きっておっしゃってくださる方も結構多いのです。もちろんレコーディングまでの準備にはかなりの時間と労力がかかっているのだけど。レコーディングの場面で作り込まなかったよさがあるかもしれないと思います。ベッドタイムやパーソナルな時間のお供にどうぞ。