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フランス・ユマニテ祭2024 Day1

ユマニテ祭りこと、Fête de l’Humanitéに行ってきました。今回はこのヨーロッパ、いや世界最大級の左翼フェスの模様を紹介しようと思います。

そもそもFête de l’Humanité ( 略してFête de l’Humaと呼んだりする)とはその名の通り、新聞L’Humanitéが主催している年に一回のお祭りのことで、その歴史は古く、第一回開催は1930年のことである。かのJean Jaurèsが作った新聞l’Humanitéはその始まりから左翼と結びつきが強く、1994年まではフランス共産党の機関誌であったこともあり、このお祭りもフランス共産党(PCF)の存在感がかなり強い。

伝統的に開催場所はパリ北郊外であったが、2年ほど前から南郊外の旧空軍基地に変更となった。
(これはどうやら従来の会場地域がオリンピック関連の再開発、メディア村建設が行われてたのが原因らしい...)

ということで、行ってみよう!

会場までのルート

会場までのルートはいろいろあるのだが、今回私はパリ市内からRER C線🚃→最寄駅から専用シャトルバス🚌→徒歩🚶‍♀️というコースで行ってみた。トータルかかる時間は長いのだが体感はあっという間だ。

駅で偶然会った友達。

C線に乗ろうとしたら別に待ち合わせていたわけでもないのによく一緒にデモで歩いていた友達にさっそく会った。思想が近ければ行動パターンも似てくるのだろうか.....

ちなみに彼ら、持っている荷物を見ても分かる通り、キャンプ勢である。中にはテントや寝袋、着替えや衛生用品などが入っている。このフェスは夜通し3日間続くため、会場横にキャンプ場が設置されていてそこに寝泊まりする人も大勢いるのだ。面倒な行き来や帰りの電車の時間を気にせず本気でフェスを楽しみたいならキャンプがおすすめだろう。(*早めのチケット購入必須)

こちらがユマニテ祭ですよ!の表示

会場の最寄り駅に着くと、さっそく会場案内の掲示板や誘導スタッフが出迎えてくれる。お祭りなのでみんな楽しそうだ。シャトルバスの乗り場まで誘導してくれる。

シャトルバス

シャトルバスにはすぐ乗れた。運行数も多く、みんな笑顔でBonne fête ! (良い祭りを!) と声がけしてくれる。

会場入り口

会場に着くと、簡単な手荷物検査を済ませ、事前に買っておいたチケットのQRコードをスキャンしてもらうと、手首にリストバンドをつけてもらい、いよいよ中へ!

入場後

会場内マップ

入ったところに会場地図があった。入って右手にキャンプ場、左がフェス会場という感じ。めちゃめちゃ広いし、スタンド(屋台)も数えきれないほどある。コンサート会場や講演スペースも複数あり盛りだくさんだ。

会場内にずらっと並ぶスタンド

上の写真はまだ開場直後なので人が少ないが、圧倒されるスタンド数の多さ。各左翼政党(共産党を筆頭にエコロジー党、不服従のフランス、社会党NPA、Lutte ouvrière...) に加え、各都道府県や地方支部のフランス共産党、労働組合、環境団体、NGOなど、見慣れた名前の各団体がそれぞれのテントを出している。

キューバ関連のスタンドも多かった
環境団体『大地の蜂起』のスタンド
メランション率いる『不服従のフランス』

政治団体だけでなく、本屋や各地方・各国の特産品を取り扱うスタンドが多いのでつい散財しそうになる。ちなみにカード払いがメインのフランスにしては珍しく、基本現金払いなので、あらかじめちゃんと用意しておいたほうがいい。会場内の物価はけっこう安め。スタッフもボランティアで成り立っていることが多い。

左翼本ばかり売っている古本屋さん
お昼ご飯はブルターニュスタンドのガレット。4€

会場の1番奥にはVillage du monde というスペースがあり、世界中の国・民族・地域の代表がスタンドを出している。

ニューカレドニアのカナック
パレスチナ関連のスタンドも複数あった

ちなみに数年前、中国共産党がスタンドを出したことがあり、かなりそれで物議を醸したなんてことがあったらしい.......

イベントが至る所で同時進行しているので、プログラムやダウンロードしておいた専用アプリで時間と場所を確認しながら目ぼしいものに行く。

左翼の統一首相候補だったLucie Castets

メインの講演会場、アゴラは1日中何かしらの講演をやっていて、学者だったり有名政治家が登壇する。上の写真は先日の選挙で第1党になったにも関わらずマクロンからの首相指名を受けなかった新・人民戦線の統一首相候補Lucie Castets。今年夏の選挙を終え急遽現れた台風の目的な人物で、これまで公で大衆を前にこんな風に話をする機会も少なかったので、大勢の人が押し寄せ立ち見状態だった。政治家ではなくエリート官僚といった感じの人なので喋りはどんなもんやと思いながら見ていたが、淀みなく低音ボイスで時々アジテーションを加えつつ話している様がとてもかっこよかった。


CGTの会場にて

CGT(フランスの最大手労働組合)の会場の前を通りかかると、現在の書記長ソフィー・ビネが話している最中だった。2023年に国中を揺るがせた年金改革の反対運動をまた10月1日から再開するためストライキに入るということを高らかに宣言していた。

虹とビール

フェスなので会場内にはアルコールがあちこちで販売されている。そしてけっこう安い。ビールを飲みながら会場内を散策していると、あっという間に日も暮れる。

コンサート会場

夜になったのでライブへ。
有名歌手のコンサートがたくさん見られるのもこのフェスの醍醐味である。着いた時にはマルクス主義フェミニストを名乗るロックバンドがヘドバンを披露しており、それが終わるとSCHというマルセイユ出身の大人気ラッパーのコンサートだった。

コンサートの合間の待ち時間はこれまで散々デモで叫ばれてきたスローガンやデモ歌が自然発生的に大合唱された。参考↓

ちなみにこのフェスのプログラムは午前4時くらいまで続く。明け方までお祭りなのだ。金曜のお昼はおじいちゃんおばあちゃん多めだったが、日が暮れるにつれ続々と人が集まってきて、夜になるとこれぞフェス!という雰囲気になってきた。みんな朝までお祭り騒ぎをし、キャンプ勢は疲れたら横で数時間だけ眠るのだろう。聞くところによるとシャワーとかもちゃんとしてるらしい。

夜になると人が一気に増える

イベント数も、登壇者も、なんやかんや1番の目玉は2日目という感じがする。疲れるのはまだ早い。まだまだ楽しむぞー!

続く

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