装飾として映える本棚のつくりかた #26
こんにちは、早[SAKI]です。
前回は、日本の住宅の成り立ちの歴史について、本で調べた内容を私なりにまとめて共有させてもらいました。サポートメンバー限定でしたが、なかなか反響の大きな記事になりました。
この記事は2023年9月23日(土)に、ニュースレターに登録いただいた方にむけて配信した内容です。noteのマガジンには、遅れ転載しています。
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さて本日のテーマは、本棚。
オープン収納のもっともポピュラーなものです。
もちろん、純粋に本を収納する場所として、図書館の棚のように本だけをひたすら詰め込んでもOKなのですが、部屋の目だつところに位置した本棚は、お部屋の「装飾」としても重要なコーナーになります。
今回は、本棚を「飾り棚」として考えた場合のスタイリングのポイントをあれこれ考えてみました。
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本の収納をしたい時、本棚を買ってそこに置く、というのはとても自然な行動です。何も間違ったことはしていません。それなのに、なぜか、なぜか本棚は、家の中でも残念スポットに陥りやすいゾーンです。
オープンな収納というのはごまかしが効かないので、けっこう素敵につくるのが難しいんですよね。
どうしたら、本来の収納力を保ちつつ、部屋の中で悪目立ちしない素敵スポットにできるのでしょう。
そう思って海外のおうちの素敵な本棚を観察していて、私は気づいてしまいました。
良い本棚は、ほぼ、「造り付け」であることに……!
えーーそんなぁ……。
あとから部屋に置くタイプの本棚で、素敵なスタイリングをしているものもないことはないのですが、壁一面に造作されていたり、あと付けだとしても棚板を壁に取り付けるタイプのもののほうが、置き型よりも圧倒的におしゃれな感じがします。なんでだろうな〜。
本棚って究極的には板を組み合わせた箱ですから、収納そのもののにモノとしての魅力をもたせるのがけっこう難しいんだと思います。しかも、置き型の本棚って本当に本を置くことしか考えていないというか、色気がないというか、見せることを前提にしていないデザインが多いんですよね。
その割に背が高く存在感が大きいので、上手に選んでスタイリングできないと、いまいちな箱がどーんと部屋に鎮座しているという感じになってしまいます。
もし本棚のある部屋でもおしゃれを諦めたくない、という時にはいろいろと気をつかう必要があるのです。
本が大量にあって、でも賃貸で内装に手を入れられなくて……という場合などやむを得ない時もありますが、そういう部屋でもある程度はこうしたらいいんじゃないかというアイデアがあるので、ここでがっかりせずにぜひ最後まで読んでくださいね。
壁埋め込み型造り付け本棚
海外のお家で一番本棚としてよく見かける形状が、こういった壁に埋め込まれた重厚な造り付け本棚。
たいていはモールディングなどで装飾されていて、その他の壁とは違った色で塗装されて明確に部屋の中のフォーカルポイント=目立たせる場所、見せるための場所として作られています。
壁に埋まっているので、出っ張っている部分がなくデザインは豪華でも導線上すっきりするのもよいところ。
下の方を扉付きの収納にして、オープン収納とクローズ収納を兼ねるデザインも多いです。
本棚の手前にひとりがけのソファとサイドテーブル、フロアランプやテーブルランプを置いて読書スペースにしているものもよくあるコーディネート。こんなスペースが家にあったら最高すぎる。
実は我が家のピアノと本棚のスペースはちょっとこういうのをイメージして作ったのですが、当時の私の観察力だとあまり再現できず反省点がけっこう残りました。
まず、本棚の奥行きが50cmと深すぎたため、本を2列に入れることになり出し入れがしづらい。
よくよく海外の部屋を観察すると、下側の扉付き収納はある程度奥行きを取って収納力を確保しつつ、上部の本棚部分は少し引っ込んでいて奥行きが浅めに取られています。
この2段階の奥行きデザインにすればよかったな〜と今は思っています。
もう一つは、梁のすぐ下に作ったため、モールディングなどで装飾するスペースが取れなかったこと。天井までの高さで作れたら、上部をモールディングで飾ってもっと本格的な見た目にできたのにな〜と。
ただ、スペースの都合上ここに作るしかなく、梁が出ているのはどうしようもなかったので、日本の建築の中に作る限界はあるかもしれません。
海外のお部屋は壁式構造といって壁で重さを支える構造、日本のお部屋はラーメン構造という柱と梁で支える構造が主流。この構造の違いによって、壁・柱・梁・天井のデザインにかなりの影響が出るのです。
こういうのを日本の建物でやりたーいと思ったら、実際に自分が作りたいスペースの壁や梁の構造との兼ね合いをよくよく考える必要があるようです。
ブラケット取り付け型壁付け本棚
これは最初から造作として作るタイプではなく、壁に棚板を直接取り付けるもの。本来の壁のラインから棚分が出っ張ることになるので、スペースの余裕を考える必要はありますが、基本的に置き型の本棚よりは省スペースです。
取り付け方は一つ一つの棚板をブラケットで直接壁にネジ止めするタイプと、棚受けレールという専用のレールを壁に取り付けて、そこに可動式の棚板を引っ掛けるように取り付けるタイプとあります。
棚受けレールでの棚は先日私も自分でベッドルームのニッチに取り付けたのですが、壁の中の下地(壁のボードを支えている木材)部分にネジを打つことだけ気をつけてつければ、わりとDIYで簡単に自由度高く棚が作れるので便利です。
壁埋め込みタイプの本棚は重厚で存在感のあるものがほとんどでしたが、このブラケット取り付け式は本棚自体の存在感は少なくスッキリとした印象になります。
棚を上部にだけ取り付けて下の方は収納を置くと、埋込式と同じように扉付き収納と本棚を一つの壁のコーナーに作ることもできます。
壁にネジ止めさえできればどんな場所にも作れるので、日本のお家ではこういうデザインのほうが現実的かもしれませんね。
我が家もワークスペースの本棚はIKEAの棚板を使ってこの方式で作りました。
置型本棚なら、背の低いものを横に並べる
造り付けタイプはどうしても建物の内装に手を入れる必要があるので、賃貸などネジ止めがはばかられる家に住んでいる場合は難しいこともあると思います。
どうしても置型の本棚にする必要があり、しかし悪目立ちさせたくない……という時に、おすすめなのはサイドボードくらいの高さの低めの本棚を横にずらっと並べる形です。
横方向にスペースが必要にはなりますが、背の高い本棚1つを買って置くより、オシャレ感を出しやすいと思います。
本棚が味気ない残念スポットになってしまう理由はとにかく「見えている」ことを意識しなさすぎることにあります。背の低い横長本棚はそもそも「見えている」部分も目線の下なので少し存在感が減るし、上部を自由に飾れるというのはかなり大事なのです。
それと、背の高い本棚は地震の多い日本では安全面も心配ですが、低めのものであれば大きな本棚よりは転倒のリスクも低くなります。
(耐震のための突っ張りグッズのようなものもありますが、あれはもう本当につけた瞬間ダサさがすごくなるので、耐震対策をしなければいけないなら壁にネジ止めしてほしい。まあネジ止めできないから突っ張っているのだとは思いますが……ああジレンマ……。)
本棚の飾り方
飾ることなんて意識せずに、好きな本が好きな順番で並んでいるのを眺めるのが幸せなんです! っていう人もいると思うので、そういう人はここから先はあまり気にしなくてもOKです。部屋づくりは自己分析が大事であり、自分が満足することが最優先だからです。
一方で、本棚を「飾り棚」としておしゃれに飾りたい! という欲求をお持ちの方は、飾り方の基本を学んでいきましょう。
本棚の飾り方のポイントは以下の7つです。
①本は縦置きと横置きを混ぜる
②小物を混ぜる
③平面のアクセントを混ぜる
④植物を混ぜる
⑤ジグザクのラインを意識して配置する
⑥色のリレーションを意識する
⑦1割くらいの余白を残す
本をずらっと縦に並べずに、数冊ずつのまとまりに分けて縦・横織り交ぜて配置します。本の取り出しやすさや探しやすさを重視する人にとってはそんな置き方するなんて! ってなるかもしれませんが、本棚を「装飾」と考えるならこのやり方は効果抜群なので試してみてください。
本棚には、本だけではなく小物を混ぜて置いていきます。分量は好みなので、雑貨のほうがむしろメインになっている本棚もあるし、ちょこっと小物が混ざってる、くらいの配分でもかまいません。 バランスが取りやすいのは本7:小物3くらいでしょうか。
小物には、花瓶・オブジェ・小物入れの箱などが定番ですが、その中にフレームに入れたアートやキャンバスアートなど平面のアクセントを混ぜるとメリハリがつけやすくなります。気に入っている表紙の本を面陳したり、フォトフレームを飾るのもいいですね。
また、植物を混ぜると異素材感が出てリズムがつきやすくおすすめ。
小物を並べる時には、縦・横両方のラインを意識して、同じものが一直線に並ばないように注意します。イメージとしては、ジグザグになるように置く感じ。その時に、小物の色や素材がリレーションするようにするとまとまりが出しやすくなります。
そして、びっちり本を詰め込まず、余白を残す。モノの出し入れもしやすいし、視覚的にも美しく見えます。
デコレーションをする時一番大事なのは、アイテムの大きさ
何を飾るのか、何色を飾るのか、どこに飾るのか、そういったこともとても大切なのですが、意外と見落としやすくて重要なのが 、飾るものの「大きさ」です。
これは本棚に限らず部屋のスタイリング全体に言えることですが、部屋に飾るものは基本的に「小さすぎるものはNG」です。
部屋にぱっと入って目にした時に、ひとつひとつが認識できるくらいが最小サイズ。具体的にはどんなに小さくても10cm以上、できれば20〜30cmくらいのものがベストです。それより小さいものは、箱に入れたり、トレイの上に置いたり、扉付きの収納の中にしまうことをおすすめします。
小物を飾ってもごちゃごちゃに見えてしまってあまりおしゃれにならないんです、という方の原因は、細かい装飾品を置きすぎてひとつひとつがよく見えないから、ということがけっこうあります。
部屋のものは、近づいてよく見たらきれいというものよりは、入った瞬間にぱっと見た時の印象が大事です。
小さくてきれいなものを愛でるときめきは引き出しや収納の扉を明けた時に譲って、部屋に入った瞬間のときめき感を優先して装飾を考えてみてください。
つい価格的に手に取りやすいから、と細かい雑貨ばかりを買ってしまう、という人も多いかもしれませんが、思い切って「ちょっと大きすぎるかも?」くらいの装飾をひとつ置いてみてください。大きめのアートでも、オブジェでも、花瓶でもかまいません。価格的には少し奮発したとしても、その存在感にすごく満足できるはずです。
ということで、本日はこのへんで!
また次回のニュースレターでお会いしましょう。
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