favvyさんの「海外みたいな部屋」ができるまで。優れたセンスの舞台裏とは? #7
この記事は2023年5月12日(土)に、ニュースレターに登録いただいた方にむけて配信した内容です。noteのマガジンには、一週間遅れで転載しています。
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こんにちは、早[SAKI]です。
前回は、有料サポートメンバー向けに「小さな部屋」のインテリアについて、海外の事例を参考に考えてみるという内容を配信しました。
さて今回は2週間ぶりの無料メンバー向けの記事ということで、素敵なゲストをお迎えしました。
今回のゲスト
favvy(フェイビー)さん @favvy0702
インテリア、建築、アート、旅が好きなフリーのPRプランナー。都内の中古マンションをリノベーションして居住中。海外の洗練されたアパートメントのような美しいインテリアがSNSで大人気。「センスを育てる」ことについて独自の視点を丁寧に語るニュースレターも好評配信中。
News Letter: The Art of Living -センスを育てるヒント-
自己紹介ページ: https://linktr.ee/favvy0702
どうです、この素敵すぎるお部屋!! すごくない? すごいよね!? まさに海外の雰囲気!
先日、こちらの憧れのfavvyさんのお家にお招きいただき、インテリアについて、リノベについて、そしてニュースレターについて、たくさん2人でお話ししました。
素敵なお部屋が出来上がるまでの気になる裏話とは? 海外インテリア好きのニッチな2人の雑談をお届けします。
海外インテリアの話ができる人を、やっと見つけた
favvy:早さんを最初に知ったのはnoteかもしれない。「あっこの人!いたーー!!」って思って。その気持ちわかります?
早:わかります、わかります。私はインスタで初めて見た時、インテリアかわいい! って思って開いたら「あっ日本語で書いてある!やっと見つけた!!」って思って。いつもおしゃれだな〜と思って見たらアメリカの人とか、ヨーロッパの人とかだったから。
favvy:まずWestElmやCB2(※アメリカのインテリアショップ)が通じる人だ! って。日本のインテリアでそういう感じのもの、なかなかないですよね。
ダイニングテーブルを選ぶ時にも、このツルツルしたのがあまり好きではなくて。本当はマットな素材がよかったんですけど、当時見つからなかったんです……。
早:日本のは仕上げ全部つるん! ってしてますよね。
favvy:出回ってるのがそれだから……。最近見たリノベの事例で、マット素材で同じような形のテーブルを見たんですけど、たぶん造作なのかな。とにかく、そこまでしないと欲しいものがない。
早:かなりお金と時間をかけないとできないですよね。
favvy:私たちは個人輸入とか普通にしてますけど、一般的にはハードルが高いと思います。ちゃんとした仕入先で、ちゃんと品質が保証されてて、間違いのないように……ってやると、難しいですね。
早:わかります。自分だけならちょっと壊れてても直しながら使えばいいや、ってやっちゃうけど(笑)
favvy:うちのコーヒーテーブルはCB2で買ったんですけど、一昨年までは日本に配送してくれてたのに、去年から国際配送のサービスが無くなって、最近では会計ページも表示できなくなっちゃったんですよ。
早:私も以前、WestElmで照明を買いました。でも最近だいぶ日本配送できないものが増えてて……。
favvy:ショックですよね。この取っ手もCB2なんですけど、小物の配送もやめちゃってる。
早:いろいろなコストが高くなってるからですかね……。本当に残念。
ところでこのサイドボードはどこのですか?
favvy:これは箱はIKEAなんですけど、IKEAのリメイクの扉とかを売っている海外のサイトがあって。そこからパーツを買って、組み立ては夫がやってくれました。私はDIYはぜんぜんできないです(笑)。
早:すごい。やっぱりそうやって改造するしかないんだ。こういう白くてミニマルな感じのサイドボードないなって思ってたけど、作るしかないんですね……。
favvy:こっちのひとりがけ椅子はAllModern。こういうバレルチェアっていうのが、日本だと全然なくて。
早:ないない! あ、ちょっとこの椅子座っていいですか!?
(リビングコーナーに移動し、素敵なインテリアに大興奮)
早:テレビの左右にソファとアクセントチェアがある配置もいいですよね。うちは夫がよくテレビ見る人なので、正面にないとやだって言われて、まあしょうがないかって……。
インテリアに溶け込むテレビも、ほんと羨ましい!
早:やっぱり素敵なものはいろんな思考や工夫の結果なんだなぁ……。
私はみんなもっと自分で考えてやっちゃえばいいのにって思うんですけどね。
favvy:カジキさんいわく、スパルタ(笑)
早:あれ見て、よし、もうスパルタ路線でいこうって思って(笑)。本当にやりたければリスクは許容して、ある程度手間をかけるしかない。
favvy:私なんかはそうだなーって思うけど、インテリア好きにもいろいろレイヤーがありますよね。誰向けに発信すればいいんだろう? どこにいるんだろう? って思う。
でもたぶん、みんな知らないだけなんじゃないかな。早さんみたいな発信を見てはじめて、こういうコーディネートができるんだ! ってなるのかもしれない。
早:そうなったらいいなぁ。
favvyさんは、家具はこの家を買うときに入れ替えてコーディネートしたんですか? それとも持ってたものを活用してる?
favvy:ほとんど替えましたね。びっくりするくらい毎回テイストの好みが変わるので。あと物件の雰囲気ですね。ここは古い物件なので、いわゆる都会! みたいなものは合わないかなって。これも50年前のピアノです。
早:茶色のピアノいいですよね!
favvy:これはヤフオクで売っている、埼玉でご家族でやっている小さなピアノ屋さんに見に行って買いました。自分たちで配送もやっていて、全国を飛び回っているようなお店です。
リノベの裏話:水回りは造作か既製品か?
早:今の家を買ってリノベしよう、って思ったのは何がきっかけだったんですか?
favvy:元々夫もリノベしたいって言ってたので、コロナになってしばらくして物件見てみようって話になって。最初は都心で何件か見てたんですけど、いまいちピンとくる部屋がなくて。昔住んでたこのあたりのエリアで探したらたまたまあったって感じでした。
早:やっぱりコロナのタイミングは大きかったですよね。うちもコロナの時に、夫婦どちらもリモート勤務になって、こんなに家にいるなら住宅に投資していいんじゃない? って。
賃貸でもいろんなことをやってたけど、戻せるように気をつけながらやるくらいなら買ったらいいのではと。それで物件見つけてリノベの会社さんにお願いした、って感じでした。
favvy:うちはBtoBでやってる店舗系のデザイナーさんに頼んだので、いわゆる一般住宅向けのリノベ会社さんじゃなかったんですよね。なので、何をやりたいって言ってもOKなのは良かったですね。
早:なるほど、だからこういう自由な仕上がりなんですね。担当の方は住宅リノベはやってなかったんですか?
favvy:メインの人はそうでした。でもその人がもうひとり住宅の経験が豊富な人も連れてきて、2人体制でやってもらいました。造作もいける人だったので、洗面やキッチンの造作もお願いして。
早:造作いいですよね。うちはIKEAキッチン入れただけだから、憧れる!
favvy:IKEAもいいじゃないですか。
早:IKEAキッチンはコスト的にも安くて、普通のシステムキッチンと変わらない価格であのぐらいのデザインをやってくれるし、あとから扉を自分で塗り替えたりもできるのでそれはよかったですね。
お風呂は夫に手入れが大変そうだからタイルは抵抗がある、って言われちゃったので、やむなく普通のユニットバスで……。
favvy:タイル楽ですよ! 窓があって換気がいいのもあるかもしれないけど、意外とカビなくて。賃貸でユニットバスだった頃は、すぐに床とかに赤カビが発生してお掃除が大変でした。
お掃除の手間は、総合的にみれば、造作でもユニットバスでもあんまり変わらないと思いますよ。追い焚き機能が欲しい、とかだと難しいかもしれないけど……。
うちは家族少ないし、追い焚きしないので。
早:そうなんだ。その話聞いたら、もし次があるならやっぱり造作したくなってきました。
お風呂に関しては、マンションリノベで造作している人をあんまり見たことがなかったから、作ったときにその発想がなかったんですよね。憧れはあったけど難しいかなって。
だからマンションリノベでもこんなにできるんだ! って感動しました。
favvy:私はお風呂とキッチンは素敵にしたいなと思いつつ、工事のハードルが高ければ既製品でも良いかな、と思ってました。でも夫が絶対にお風呂はユニットバスではなく造作で作りたいって言って。リノベしたい理由の一番がお風呂だったみたい(笑)。
水回りの移動って結構大掛かりだから、解体するまで希望のプランでできるかわからなくて、できる場合・できない場合でA案B案考えたりしました。
早:リノベの時、パートナーさんと揉めたりしました?
favvy:それが、けっこう同じ意見で幸い大丈夫でした。どうでした?
早:うちも全然! お風呂はユニットバスでっていう妥協はあったけど、じゃあ機能は好きにしていいから見た目だけ選ばせてって、なーんにも柄もない一番シンプルな白壁にして。
favvy:それがいいですよね。
早:あのプリントの変なパネルがいやで!
favvy:あれなんでしょうね。人工的な木のプリントとか変に入ってるより白がいい。
早:そう、だから全部白くして、浴室乾燥機能とか余計な機能はずして……ってしたら元の見積もりより安くなりました。
favvy:わかる。いろいろいらないものありますよね。
うちは最初は夫が海外みたいに部屋の中にお風呂がある雰囲気にしたいから、床をフローリングにしたい!って言ってて。
でもそれは流石に防水の観点で問題がありますって言われて、デザイナーさんに提案してもらったタイルにしました。夫のほうが何かとデザインにうるさかったかも(笑)
日本のダサいスイッチ、リモコン
favvy:リノベ、とにかく時間なくないですか? 次々決めなきゃいけなくて、そこまで吟味してる暇がなくて。全部が希望通りにはもちろんならなかったですね。
早:私、これまでもずーーっと家のことをしつこく考えてたから、打ち合わせの段階ではさくさく決められたんですけど、最後の最後に梁の位置のこと考えてなかったのを解体日が決まってから気づいたんですよね。
直前に図面持って物件見に行ったら、すごい気になっちゃって、ギリギリで壁のラインを変えてもらって。そうしたらドミノ倒しのようにいろんなところ変えなきゃいけなくなりました……。
favvy:梁とか扉の開きの向きとか巾木の色とか、もうわかんない! って考えきれなかったことはうちもありますね。
早:スイッチの位置とかも。
favvy:スイッチも結構悩みましたねー。真鍮のものにするか最後まで迷ったけど、ゴールドばっかりだとしつこくない? ってなって白いものに。蛍光に光ったりしないやつで。
早:光るのほんといらない! うちもスイッチは白いシンプルなアメリカンスイッチにしてます。ただ、インターホンとお風呂の給湯器リモコンはしょうがないかって諦めてます。ダサい、文字がでかい、変な色に光る……。
favvy:インターホンとか、海外はシンプルなのあるんですけどねぇ。必死に隠してます。
早:上手に隠れてますよね! うちでは無理やりアートの中に紛れてる、みたいになってます。
favvy:なんでリモコン系、ああなるんでしょうね。「おしゃれなデザインを考えました!」っていう製品も、シャンパンピンクとか、シャンパンゴールドとか……違うんだよ〜!
早:違う〜〜! お前を見たいわけじゃないから〜! テカテカ主張しなくていいんだよ〜!
日本のメーカーのおしゃれのイメージって、単体で見てかわいらしいとか、そういう感覚だけなのかなって気がします。調和をあまり考えてない感じ。
favvy:そもそも単体でもかわいくないのに(ぼそり)……。
早:そう! リモコンが可愛くなりようがないんだから、存在感を消してほしいのに。存在感を消したものがおしゃれだ、っていう価値観がないんですかねぇ。
favvy:日本はミニマルデザインが好きな割にはね。
早:ミニマリズムとかシンプルライフとか、こんなに流行っているのにそこはなんでなの!? って。
もーーーこれは怒りですよ、怒り!!
favvy:家具もCB2やWestElmで探せば一発なのに、日本だとなかなかお目当てのものが見つからないですよね。探した時間を返せ! って思っちゃう。
早:めちゃめちゃインテリアについて考えて時間使ってますからね。
favvy:それどこで買ったの? って聞かれても、個人輸入だから「ここで買えますよ」って言えないんですよね。
早:前は買えたけど今は買えなかったり、買っても届かなかったり壊れてたり、トラブルも普通にありますよね。そういう煩わしさが嫌いな人には勧められないな―とは思います。
favvy:WestElmやCB2みたいな、うまく言語化できないけど、野暮ったさのないあの感じのデザインが、同じくらいの価格帯では日本に本当にない。
早:ですねぇ。いろいろ探すのも楽しみっちゃ楽しみなんだけど……もうちょっと簡単に楽しみたいなって思います。
話ができる仲間をみつけたい
早:favvyさんもニュースレターをされていますが、正直、発信するのってめんどくさいじゃないですか。
何のためにこんなもの書いているんだ、って私はよく思ってるんですけど、でも書きながら、「現状を良しされていることが許せない」みたいな感じだなって(笑)。
favvy:ほんとそうなんですよ! 半分、消費者としてムカついてるというか。
早:だから「怒り」は原動力だなって私は思うんですけど、favvyさんはどうなんでしょう。
favvy:それもありますね。ただ私はあまりノウハウを言うのは得意じゃないので……。思考回路をお伝えした上で、考え方に共鳴してくれる方から声かけてもらえたらいいな、って。
あとはPRは書く仕事も多いので、その練習にもなるかなというのもありますね。
早:私はすぐHOWの話しちゃうというか、表面的な見た目の話、どうやってつくるのかっていうところにばっかり目が行くタイプで。
でもfavvyさんのニュースレターを読んでると、そこにあるものにどういう意味や背景があるのかとか、そういう中身の考え方のところも大事にしているのがいいなぁって思ってます。
favvy:私もインテリアを考える時は、見た目重視ですよ! あんまりストーリーとか関係なくて、それが欲しい、って感じ。もちろん、有名家具などストーリーに惹かれるものもありますけど。
ニュースレターはインテリアに限らず、日頃の生活で感じたことや考えたことを伝えたいなあと。ただのひとりごとですが(笑)。
自分の考えが正解というわけではないけど、なにか新しい視点の提供になっているといいな、とは思っています。
掘り下げると、一緒に話せる人を探しているんだと思います。早さんみたいな、同じ感じで話せる人が見つかったら楽しいかなって。
早:書いてると思ったより読んでくれる人いますよね。きっと日本の普通の家はなんか物足りない、って人もけっこういるんだろうな。
favvy:いると思いますね。
ニュースレターやってると、メールアドレスが来るのがすごいよね。個人情報もっちゃった、って。責任感というか、モチベーションになる。
早:ブログとは違いますね。私の場合、週1で書きます! って言っちゃったから、もうやらないといけない(笑)
favvy:それすごいですよね。私は月2、3回ってぼかしてます。
でも、毎週何曜日に発信、って方が絶対ファンは付きますよね。
早:そうやって続けたほうが伝わりやすいというか、ちゃんと伝搬していくかなって。
難しいですけど、仲間を見つけるしかない。まだすごいニッチだから、ちょっと発信するとすぐつながる気はします。
favvy:そうですね。良く言えば競合がいないんでしょうけど……。
早:悪く言えば盛り上がってない?(笑)
favvy:昔に比べればだいぶ増えましたけどね。
早:盛り上げていかないと。まずは少なくとも、ニュースレターを1年は頑張ろうかなとは思います。
favvy:私もです。続けた先にどんな景色が見えるのか、ですね。
以上、今回はfavvyさんのご自宅にお伺いした際のおしゃべりをお送りしました。
写真と文字だけだと伝わらないのが非常にもったいないのですが、当日お家に一歩足を踏み入れた瞬間から、漂ってくるいい香り・さり気なく流れていた粋なBGM・窓の外の緑あふれる景色や通り抜けるさわやかな空気など、視覚だけでなく五感全てに訴えてくる本当に気持ちのよい空間で、ずっと感動しっぱなしでした。
私はfavvyさんのお部屋を初めてSNSで見た時、あまりの完成度の高さにかなりの衝撃を受け、きっと多くの方が感じるのと同じように「素敵すぎて真似できない……!」と思いました。
でも、今回いろいろとお話を聞いてみて、完璧に見えるお部屋も一朝一夕でできたものではなく、細やかな工夫や思考の積み重ねの結果としてたどり着いたものであることがわかります。
日本では思ったような家具がなかなか手に入らない、などのハードルの高さはもちろんあるものの、きちんとひとつひとつを考えてつくれば、日本のマンションでもここまでできる! と示してくれる、とても貴重で励まされる存在です。
そんなfavvyさんが配信しているニュースレター『The Art of Living -センスを育てるヒント-』は、彼女の素晴らしいセンスが培われた裏側の「思考回路」を知ることができる唯一無二のメディアです。
優れたセンスは誰かから与えられるものではなく、自ら育て養うもの。
そんなメッセージを、身の回りのテーマを丁寧に紐解いて、柔らかく語りかけてくれるようなレターです。
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