事実婚3年で妊娠を機に法律婚に移行した理由、と改姓手続きへの呪詛など
どうもご無沙汰です、早です。
最近ちょっと重めの原稿仕事をずっと続けていまして、noteの方はすっかり止まっていました。
そちらのご報告ももうすぐできそうなのですが、ちょっとその前に書いておこうかなーということができたので、リハビリがてらの更新です。
前回の日記を読んでいただいた方はご存知かと思いますが、年末に妊娠しまして、はやいもので週末から30週に入ります。
6月末までで本業の会社員は産休に入る予定。
残り2週間に迫った今、やっとどどどっと案件が着地を見せてきて、まあなんとか休みに入れそうかなという気になってきたところ。
4月に事実婚→法律婚に移行しました
2019年から事実婚を続けていたのですが、妊娠を機にもろもろの検討を経て、4月に事実婚3周年の節目ということもあり、籍を入れました。
ここまでは、籍を入れる強い理由が見当たらないし、何よりめんどくさいしねーとのらりくらりと事実婚を続けていました。
それがなんで急に気が変わったのか、現実的なメリットデメリットがどのへんにあると判断したのか、という思考の変化は、渦中にある人やこれからの人に結構役に立つかもなーなんてやってみて思ったので、そのあたりをつらつらと書きます。
あとはやっぱり改姓手続きめんどくさすぎ、コストかかりすぎという呪詛です。こういう怨念の声は当事者が出し続けなければならない。
前提として、私は選択的夫婦別姓推進派です。
いつまでこんな非効率な結婚制度続けてるの?って思っているので、1日でも早く法改正されればいいなと思っています。
が、それとは別の事情として、仮に別姓が可能になったとして、自分がそれを採用するかというとそれはそれで微妙、という状況がありました。また、夫に私の姓に変えてもらう、という選択肢も最初から望んでいません。なぜなのか、というのは以前ここで書いている理由。
離婚後に姓を戻さず生きてきた
詳しくは数年前のこの日記を読んでもらえばと思うのですが、ここまでの私の姓は前回の結婚時の姓で、離婚した時に名前を戻さずそのまま使っていました。
不思議なことに、結婚する時は強制的に改姓させられるのに、なぜか他人になる離婚の時は結婚時の姓を継続できるんですよ。
伝統的な家族の形がどうこう〜とかって、つくづく謎の屁理屈ですよね。そんなこと言うなら他人の名前名乗り続けるのはいいんかい??
というのはまあ置いとくとして、当初、姓を戻さなかったのは、フリーランスで仕事この名前でしてるから、とか他にも現実的な理由もいろいろあったのですが、氏名変更手続きまたやるの死ぬほどめんどいし、下の名前との相性が旧姓よりいいんだよな〜、とか、そんなもんでした。馴染んでいたので変えなかった、というだけのこと。
それをそのまま使い続けていて、2年3年経ち気づけば8年くらいその名前で生きてきました。
会社でも呼ばれるのはその名前で、友人も姓が変わってから出会った人の方が多い。もはや生まれた時の旧姓を急に名乗ったところで、「だれ?」になるだけ。社会的な名前は完全にこっちの名前になってしまったんですね。
失敗した結婚、というカルマを背負っていると同時に、結果的には私個人の社会的アイデンティティを積み重ねた名前になっちゃったのです。
そんなんだから、自分の元の姓については愛憎入り交じる複雑な感情があり……。
自分自身の名前はなるべく変えたくないけど、かといって再婚に伴ってもし法律婚するとなったとしても、夫側に私の姓に合わせて欲しいという気持ちは一ミリもありませんでした。
だから、再婚するなら新しい姓になっても事情が事情なんでまあやむなしか、と再婚の気配すらなかった頃には思ってはいました。
でも、現夫の姓というのがまた話をややこしくするものでして……。
なんやかんやで姓と名の相性って、あるよね
夫の姓は漢字一文字で日本に200人くらいしかいない珍しい名字で、初見ではまず読めません。(音自体はよく聞く名字だけど、漢字だけがめずらしい)
私の下の名前も漢字一文字の「早」で「さき」と読ませる、一発で読めない名前。
(どうしてそうなった?と親に聞くと「ちょうどいい"き"の字がなかったから」というような理由らしい……名前自体は気に入っているのでよいのですが。)
つまり、もし法律婚で夫側の姓に変えると、氏名ともにまったく読めない、印象としては中華圏の名前みたいなフルネームで生きていくことになるのです。
再婚を決めた当初は、まだ名字を名乗って活動するケースが多かったこともあって、本名がそうなることにはかなーーーり強い抵抗感がありました。
下の名前が読めないだけでも結構めんどくさい目にあってきたので、ますます人生がめんどくさくなるなーと。
わざわざそのめんどくささを引き受けて籍を入れるだけの法律婚のメリットも特に思い浮かばず、また入れないデメリットも別になかったので、面倒を先延ばしにするための消極的選択として事実婚となった、という経緯でした。
夫の方も事実婚であることにはなんの抵抗もなかったので、無理にしなくてもいいか、という感じ。
実際に結婚から3年はなんにも不便せずに生活していました。
事実婚で家を買って、さらに妊娠・出産するとどうなるか
が、昨年家を買ったことと、妊娠をしたこととでちょっと状況が変わってきます。
まず、事実婚のまま家を買うことについて。
昨年の7月にリノベをした自宅に引っ越しているのですが、結論から言うと、家を買うだけなら事実婚だからと不利になるようなことは特にありませんでした。
ローンは最終的に夫の単独ローンにしたのでそもそも関係なかったけど、仮に夫婦の共同ローンにしたとしてあまり影響はなかった気がします。
銀行も不動産会社もリノベ会社も、特に事実婚という形態は珍しくない、という雰囲気だったなと思います。いいことですね。
ただし、問題は買った後。
事実婚だと、自宅を相続できない
まず、縁起でもない話ですが、仮に事実婚のまま万が一夫が突然死とかした場合、自宅は誰のものになるかというと、普通にしていると夫の母に相続されます。事実婚の妻とはいえ戸籍上は他人なので、何もしなければ相続権は私には一切発生しません。
夫の単独ローンではあれど、共働きで支払いは共同でにしているにも関わらず、自宅が自分のものにならない、という状態になるわけです。えーーーー。
というのが、可能性は低いとはいえ、考えられる困難①。
夫と子の親子関係を作るために認知の手続きがいる
そして更に妊娠した場合。
まず、事実婚のままだと、子供の親権は自動的に母親である私の単独親権になります。実の父である夫と公式に親子関係を作るためには、認知の手続きが必要です。
これだけなら生まれてから紙一枚出すだけなのでそこまで大変ではありません。
でも、妊娠中はお腹の子と夫の間に正式な親子関係が発生しません。(妊娠中でも認知の手続きができる、という情報もありますが、住んでいる自治体の役所で聞いたら生まれてからしかできない、と断られてしまいました)
認知をして親子関係がきちんと認定されたあとであれば、子供には相続権が発生するので、仮に夫が突然死したとして(何度も仮で死なせてごめん笑)子に自宅の相続ができるのですが、それも生まれてきてからの話。
妊娠中に万が一夫に何かあったら、自宅の所有権はなくなり、相続もされないシングルマザーになる、というハードモードがいきなり到来するわけです。やばいね。困難②。
子供の姓を夫の姓にするには、さらに養子縁組の手続きが必要
前述のとおり、私自身の姓はいろいろといわくつきなので、子供ができた場合には事実婚のままだとしても子の姓は夫の姓にしたい、と思っていました。
ただ、認知は親子関係を認定するためだけのもので、戸籍に入るわけではないので、そのままでは子供は私の戸籍に入り私の姓を名乗ることになってしまいます。
それを夫の姓にするには、認知に加えて養子縁組をして、子を夫の戸籍に入れる、という手続きが必要になります。
うーん、またしてもめんどいですね。困難③。
相続できない、その2
さっきから夫が亡くなった場合、の話ばかり書いてきましたが、反対のパターンもなかなか深刻になります。
冷静に考えると、私が出産関連で死ぬ、もしくはなんらか重大な事態になる確率のほうが、現時点で健康上の問題のない夫が突然死する確率よりよっぽど高いわけです。そうなった時にどうなるか?
まずは引き続き相続まわりが面倒なことになります。
私の資産(微々たるものだけどね……)は同じく夫個人には一切相続されず、しかもローンは夫の単独名義だから私が死んだところで一円も減らない。
仮に私が子を残して死んだとしたら、2人で支払う前提の住宅ローンをフルで背負ったシングルファザーが爆誕します。笑えないですね。
(遺族年金とか、配偶者が死んだ時の相続以外のお金のいろいろが事実婚だとどうなるのか、とかまでは詳しく調べてないのでわからない。)
ちなみに、生命保険は事実婚でも会社によっては受取人に指定できるものもあるので、ある程度残すことができます。
ただ、私が入っている保険の契約内容は自宅購入や妊娠前に設定したものなので、まったくローンの足しにもならないようなささやかな金額でした。
しかも、妊娠してると保険の大幅な増額の審査には落ちます(実際落ちた)。まあ、リスク普通より高いし、そりゃあそうだよねーー。
ということで困難④。そろそろテンションが下がってきましたね。
遺言書、高い!
こういった事実婚の相続問題に解決法がないわけではありません。
遺言書を公的に作っておけば、事実婚のパートナーにも相続をすることができます。
当初は、遺言書をお互いに作る&生命保険の掛け金をあげる、のあわせ技でお互いに何かあった時のお金まわりの心配はなんとかなるか?というのを考えていました。
でも、公正証書のきちんとした遺言書作成を弁護士に依頼するとなると、ひとりにつき10万とかかかります。2人合わせたら20万。
もちろん専門家の労働力を使うことを考えたらこの金額自体には文句はないのですが、事実婚を続け万が一に備えるための余計な出費が20万……と思うと、出産も控えてる身でそれって無駄な出費では?とまあ思いますよね。
さらに、お金だけでなく、手続きやらなにやらの手間はいちいちかかるし、たとえば死ぬような事態になった場合にも、病院で家族関係の証明に手間取って大事なタイミングに立ち会えない可能性とか、今はまだ見えていないコストが今後事実婚を続ける限り降りかかり続けることになるわけです。
いわくつきの私の名前を維持するためだけに、そのコスト払える?
って自問自答をしばらく続けました。
ここまで考えて、いや事実婚続ける方がめんどくさいわ、とあっさり方向転換。
私の中で事実婚を続けるコストが、法律婚で本名が変わることのデメリットを一瞬で上回りました。
理由もないのにおかしな名前にはなりたくなかったけど、それなりの理由ができてしまったなら諦めもつきます。
本名が変わっても影響はあまりない、と思えた
この心境の変化は、現実的ないろいろな困難がわかったからというのがもちろん大部分なのですが、事実婚を続けた3年間で私自身の状況にいろいろ変化があったことも大きく関わっています。
会社では旧姓(前回の結婚時の姓)を名乗り続ければいいや
まず、今の会社で2年以上働いてきて、すでに元の名前が浸透しているので、もし法律婚をして本名が変わったところで会社では元の姓のまま働けばいいか、となりました。
再婚当初は、「法律婚して本名が変わったあとに、なんのゆかりもなくなった前回の結婚時の姓を通称として名乗るの、微妙では?」という気持ちもありました。
でも、そこからさらに数年経って、より元の名前が馴染んでしまい、そういう細かいことはまあ気にしなくていいか、と思えるようになりました。
ということで会社では旧姓(前回の姓)を名乗り続けています。
実際の手続き上では、人事に保険証の書き換えをお願いしたくらいで、給与口座の名義とかも含めて特に変えずにしれっと終わりました。
しかももう少しで産休に入るため、いったん会社仕事で姓を使うタイミングが今後はなくなり、より影響は少なくなりますね。
個人仕事では姓を名乗らず活動している
会社の仕事以外の個人の仕事もいくつかやっていて、内容は主にドレス屋さん時代からのつながりで続けているドレス制作仕事か、インターネット経由のインテリアや原稿関連の仕事です。
どちらも数年前から姓を名乗らず、早[SAKI](読めないので苦肉の策のローマ字併記)という表記でやってきていて、案外それが馴染んできました。
最初はなんかしら名字をビジネスネームみたいにつけたいなーとか思っていたんですが、考えてもぜんぜんしっくり来なくてつけられずにいたらいつのまにかこのままに……。
なし崩し的にではありますが、もはや本名の姓が変わったところで影響はないだろうと思えています。
各資料の更新が必要なタイミングと重なった
姓の変更手続きが面倒、というのも事実婚を消極的に続ける大きな理由だったのですが、それもちょうど薄れるタイミングでした。
まず、コロナ禍の2年の間に持っていたパスポートの有効期限が切れました。
何にしても、次に海外に行く時には再発行の手続きが必要になります。
もし期限の途中でパスポートの姓を変更すると6000円の手数料を取られるのですが、再発行なら特に追加のお金も手間もかかりません。
さらに、マイナンバーカードの電子証明の期限も今年5月の誕生日で切れていて、更新手続きを区役所にしに行かなければいけない状態でした。
どうせ手続きするならこのタイミングで名前も変えよ、と思ったのは大きいです。タイミングを逃すとまためんどくさいからね。
めんどくさい、が他の何にも勝る行動の動機になることはある。
あとは、その時にマイナンバーカードに旧姓併記しておけば、一応元の名字の身分も証明できるので、銀行口座とかクレカは最低限必要が生じたものだけ変更する、というのでしばらくは乗り切れそう、という気がしたというのもあります。
実際の改姓手続きのいろいろ
ここまで長々と書いてきましたが、あれこれの検討を経て籍を入れてみて、家や子供にまつわるいろいろ面倒な心配事もひとまずなくなったし、結果としては良かったと思っています。
ただし、やっぱり改姓手続きに関してはいろいろ言わせていただきたい。
勤務先への報告と手続き
先ほども書いたように、勤務先関連の手続きはさくっとできました。
会社には人事総務に通知して保険証だけ送って切り替え手続きをしてもらって終わり。リモートワークなのですべて郵送対応してくれてありがたい限りでした。
ただ、保険証を更新する手続きには一ヶ月くらいかかります。
もしその間に新しい病院にかかることがあったら、窓口負担が増えてちょっと困るかもしれないです。(もしかかったとしてもあとから戻ってくるようです)
私は妊婦歯科検診で歯医者に行ったついでにクリーニングをしてもらおうと思ったのですが、保険証がなかったのでその日はできずに延期になりました。(妊婦歯科検診そのものは区の補助なので保険証不要で窓口負担もなし)
定期的な通院をしているようなタイミングで改姓手続きがあると、一時的とはいえ負担が増えますのでご注意を。
旧姓併記について窓口の人があまり知らないことがある
マイナンバーカードに旧姓併記するには、戸籍に登録が必要だそうです。私はそれを知らなくて、マイナンバーカードの窓口に先に行ってしまいました。
「結婚したので氏名変更と合わせて旧姓も併記したい」と言ったものの、担当者があまり旧姓併記について詳しくなかったようで聞いても聞いてもこちらが何をすればいいのか説明が釈然とせず。結局、戸籍科の窓口に並び直して説明してもらうことになりました。
旧姓併記自体がまだまたレアケースなのかもしれないけど、「旧姓併記で十分だから夫婦別姓は不要」っていう建前はどこへ行ったんでしょうかね……。
つべこべ言わずに夫婦別姓しようよ、というのが大前提なんですが、1万歩譲って併記で十分と本気で思ってるならせめてもっとスムーズに進むようにしてほしい。
ちなみに、戸籍科の窓口の方は慣れていたようで、手続きについて事細かに教えていただきました。
旧姓併記には戸籍抄本を本籍から取り寄せる必要
戸籍の窓口で、旧姓の登録には戸籍抄本を本籍から取り寄せる必要があると教えてもらい、気を取り直してその手続をすることに。
ただ、籍を入れた時に本籍が夫の側に移っていたので、戸籍抄本を取るには本籍の自治体での手続きが必要でした。
幸いコンビニでの交付を受け付けている自治体ではあったのですが、処理ができるようになるまでに申請から数日必要で、即日の対応はできませんでした。
結局、とりあえずその日は旧姓併記しないただのマイナンバーカードの名義変更(メモ欄みたいなとこに新しい名前を追記するだけ)をしていったん帰宅、後日出直すことに。
旧姓併記するにも、ここの戸籍周りの手続きがあるので、本籍が遠くて更にコンビニ交付も対応していない自治体、とかだとかなり面倒そうです。
籍を入れる時に本籍は移せるので、住んでいる自治体のところに夫婦一緒に移しておくのが可能ならそうしておくのもありかもしれません。
(ていうか、本籍って制度もほんと意味分かんないよね?)
あと、ちゃんと旧姓併記できたとして、それがどの程度の身分を証明する効力を持つかは各サービスの運用次第なところはあるので、結局めんどくさいことになる可能性は残るとも思います。
このへんが実際にどうなるかは、まずは戸籍の取り寄せに成功し、もう一度役所に行って、マイナンバーカードの旧姓併記に成功してからの話ですが……。
つらつら書いていたらやたらと長くなってしまいました。
改めていろいろ思い出すと、なんかもうホントめんどくさいですね。
いま結婚考えてるけど事実婚ってどうなの?と気になっている方、事実婚だけど法律婚に移行するか迷っている方、結婚の予定はないけど知っておきたい方、など近い状況だったり関心がある人に多少なりとも役に立てば、このめんどくささも少しは報われそうです。
この先、いろいろな制度がもっと時代に合わせて改善されていくことを願っています。
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