【全文無料公開】東京都の会社がもらえる助成金・補助金2022年度版
はじめに
会社が東京都にあるなら、東京都特有の補助金、助成金、奨励金をつかおう
本書は、東京に本店所在地を置く会社のための、補助金、助成金、奨励金について解説した書籍です。
あなたも会社経営者であれば、こうした補助金や助成金、奨励金などの話は聞いたことがあるかと思います。また、実際につかっているかもしれません。
しかし、その多くは厚生労働省や経済産業省が管轄する国が設置した制度。実は、こうした補助制度は、国だけではなく地方自治体特有のものもあるのです。
そこで、本書では東京都の補助金、助成金、奨励金にフォーカスして情報と制度をまとめました。ぜひ、あなたの会社の資金調達の一助になりましたら幸いです。
改めまして、さきがけ税理士法人の代表税理士、黒川明と申します。私はこれまで、税理士事務所として一〇〇〇社を超える企業と顧問契約をしてきました。企業顧問の仕事を続ける中で、やはり資金繰りのご相談は多いものです。
資金調達の代表的な方法としては、金融機関から借り入れをする融資という方法があります。融資は言うまでもなく借りたお金です。ですから、返済義務があります。これに対して、補助金、助成金、奨励金については原則として返済の必要がありません(中には、全額補助ではなく1/2や2/3の補助というものもありますが、返済する必要はありません)。借り入れも有効な資金繰りの手段ですが、補助金や助成金、奨励金はこのように返済義務のない有効な資金繰りのひとつであり、多くのお客様に推奨してきました。
もちろん、各制度に条件や時期があります。ただ申請さえすればもらえるものではありませんが、せっかくですからもらえるものはもらっておきたいところ。そして、本書では東京都に本店所在地を置く企業が受給できるものに特化しました。
本書があなたの会社の資金繰りのお役に立てることを、心から祈念しております。
さきがけ税理士法人 代表税理士 黒川明
第1章 東京に本社がある会社なら、補助金と助成金をもっと活用しよう
補助金と助成金受給の基本的な仕組みとは?
まずは、補助金や助成金の基本的な仕組みについて抑えておきましょう。
一般的に補助金や助成金と呼ばれる補助制度は、国が管轄しているものを指します。補助金であれば、経済産業省。助成金は厚生労働省です。これはあなたの会社の本店所在地がどこにあるか関係なく、要件を満たせば申請することができます。これに加えて、都道府県などの各自治体が財源や予算に応じて、各種の助成制度を敷いており、簡単に言えば「国からもらえる制度と、都道府県などの地方自治体からもらえる制度がある」ということです。つまり、あなたの会社の本店所在地がある都道府県独自の補助・助成制度が存在するということになります。本書はその東京都版だと考えるとわかりやすいでしょう。
補助金と助成金の仕組みは似ていますが、少し異なります。共通して言えるのは、どちらも申請から実際に入金があるまでは、半年程度は最低でもかかることです。つまり、火急の資金調達には向いていないことになります。
それを踏まえた上で、補助金の基本的な仕組みです。まずは補助金申請のための要件を満たす必要があります。満たした上で、実際に申請。そしてその補助金を交付するかどうかを決定する「採択」というプロセスがあります。これは、あなたの会社に補助金を交付するかどうかを検討するという段階で、要件を満たしていても採択されないことがあります。採択されたあとは、事業計画に沿って設備投資などの購入を行い、それらの費用をあとから補助金によって補助するという仕組みです。つまり、先に設備投資などの購入代金を支払う必要があります。
これに対して助成金は、一定の条件を満たした上で申請したのち、条件を満たしていれば助成金が受給できるという補助金と比べて比較的シンプルな構造となっています。そのため、一般的には補助金よりも助成金を優先して申請する企業の方が多いのが実態です。
このように、補助金も助成金も基本的には「後払い」となります。前述のとおり、急ぎの資金繰りに使うことは難しい性質のものです。もし、あなたの会社が急ぎで資金調達したいということであれば、金融機関からの融資が最も早い資金調達だと言えます。
企業において資金調達の方法は様々です。あなたの会社の状況に応じて有効な資金調達の手段を選んでいくことも重要な考え方だといえるでしょう。
基本的な経済産業省の補助金四選
東京都特有の補助金や助成金の前に、国の制度についてもおさらいしておきましょう。まずは代表的な経済産業省管轄の補助金をご紹介しておきます。
この4つの補助金が、現在経済産業省から提供されている代表的な補助金です。本書は東京都の制度を中心に解説していきますが、こうした国の補助金制度についても、この機会に知っておきましょう。
参考:よく見られている補助金・給付金(経済産業省)
基本的な厚生労働省の助成金
次に、厚生労働省管轄の助成金についてまとめておきます。助成金の多くは雇用など労働環境に関する支援が助成金制度となります。
ほかにも様々な助成金がありますが、まずはここまで抑えておきましょう。
厚生労働省 各種助成金・奨励金等の制度
賢く補助金・助成金を受給するために
もう一度まとめておきましょう。まずは国が管轄している補助金、助成金があります。経済産業省が管轄するのが補助金。厚生労働省が管轄するのが助成金です。
これに加えて、都道府県などの各地方自治体が提供する補助金、助成金などがあります。つまり、東京都の場合であれば、国からの補助金・助成金に加え、東京都が提供しているものもあり、国の補助・助成と合わせて使わない手はありません。
賢く補助金・助成金を受給するために重要なのが、情報の入手と専門家の活用です。専門家の活用については三章で解説しますが、情報を手に入れ上手く専門家を活用することがこうした制度を活用するのに重要なことだと言えます。
もちろん、補助金・助成金の申請は自社でもできます。しかしながら、国や地方自治体から発信されるすべての情報を集めて手続きまでするとなれば、相当の労力です。そのため、専門家の活用は欠かせません。
詳しくは後述しますが、助成金の専門家は社会保険労務士。助成金の申請は社労士の独占業務になっており、社労士以外は取り扱うことができません。そのため、助成金の申請は社労士に任せることになります。
一方で、補助金の申請には特に資格が必要とされていませんが(※)、主に取り扱うのは資格者でいえば中小企業診断士、行政書士、税理士などです。資格を持たないコンサルタントや一般企業も補助金申請を取り扱っています。
どちらの場合も、専門家の見極めが必要です。上手く活用して、資金調達を円滑に進めていきましょう。第二章では、東京都や市区町村が提供している補助金や助成金など、意外と知られていない制度について、列挙していきます。
第2章 二〇二二年版 東京都の会社でもらえる補助金・助成金一覧
本章では、東京都が独自に提供している助成金等をご紹介しています。東京都が提供しているものもあれば、市区町村が提供しているものもあります。このほか、随時情報は更新されますので、あなたの会社の本店所在地のある自治体のウェブサイトを常に参照するようにしてください。
●東京都奨励金
東京都が提供する助成金・奨励金です。名称が「奨励金」となっていますが、自治体が提供するもので、基本的に名称が異なっていても、申請の流れは厚生労働省管轄の助成金に近い性質のものとなっています。
参照:正規雇用等転換安定化支援事業(東京都TOKYOはたらくネット)
参照:テレワーク促進助成金(令和4年度):公益財団法人東京しごと財団
参照:東京都働きやすい職場環境づくり推進奨励金(東京都TOKYOはたらくネット)
●東京都(区)奨励金
参照:高齢者雇用企業奨励金(中央区)
参照:働き方改革の推進(品川区中小企業支援サイト)
参照:葛飾区正規雇用等転換促進奨励金(葛飾区)
第3章 失敗しない補助金・助成金受給の賢い申請方法
補助金・助成金の申請はプロに任せよう
第一章でもお伝えしましたが、補助金や助成金の申請は専門家に任せるべきだと私は考えます。まずは常に最新の情報を集めることが、経営をしながらでは困難であること。そして、要件認定から諸準備、書類作成とそのボリュームは大きく、片手間で申請できるようなものではありません。そこで、専門家の活用が重要になります。
例えば、補助金などの制度には、各省庁から無料配布されている「申請マニュアル」のようなものがありますが、そのマニュアルが一〇〇ページ以上あったりするものもあるなど、「申請」と一言にいっても、その作業は大変なものです。事業計画書など、普段の仕事の中ではつくることがあまりない書類の作成も必要になりますし、その中で「革新的なサービス」であることを主張しなければ、採択されることはありません。
助成金も考え方としては同じで、単に申請書を提出すれば良いものでもありません。助成金申請のために就業規則など各種の規則・規程の整備などが必要になり、場合によっては従業員の同意を取るなど、内部的に行わなければならない手続きや環境整備も多数あります。
もし、あなたの会社が長期的に会社として補助金・助成金を受給できる体制を社内でつくりたいということであれば、担当部署をつくるのも決して悪いことではありませんが、補助金も助成金も必ず毎年交付・受給できるわけではなく、毎年内容は変わります。そして何より、その仕事を担当する人材を育成するのに膨大な時間と費用がかかるわけです。もし、その担当の人材が退職となってしまえば、またゼロから育成しなければなりません。
そして、育成と一口で言っても、社労士や診断士、税理士の専門家でさえ、補助金や助成金申請業務を楽々しているわけではなく、それ相応の時間と労力をかけて、申請業務のレベルを高めています。要は、決して作業が膨大なだけではなく、専門家にとっても決して難易度の低い仕事ではない、そういうことになります。
以上のことから、補助金も助成金も専門家のちからを活用すべきです。次項では、助成金の専門家である社会保険労務士と、補助金申請の専門家の見極め方について、解説をしていきます。
助成金申請を取り扱う社会保険労務士の見極め方
まず、助成金申請の専門家は前述のとおり社会保険労務士です。そのため、助成金の申請は社労士に依頼することになりますが、社労士だからといってすべての社労士が助成金申請を得意としているわけではないことに注意が必要です。ですから、まずは助成金申請を専門的に取り扱っている社労士事務所であること。そして、助成金の申請実績が豊富な社労士事務所を選ぶことがポイントです。
そして、もしあなたが初めて社労士に助成金申請業務を依頼するということでしたら、次のことはいまの社労士業界の状況として、ぜひ耳に入れておいてください。
確かに社労士は助成金申請の専門家です。ところが、「助成金専門」と謳っていても、すべての社労士事務所が助成金を単発で受けてくれるとは限りません。多くの社労士事務所は助成金申請業務を受任する際には、顧問契約とセットの場合が多いのです。
「なぜ、スポットで受けてくれてないのか?」と疑問に思うかもしれませんが、昨今は助成金の不正受給が増えています。コロナ禍で話題となった「雇用調整助成金」の不正受給のニュースなど、あなたも一度は聞いたことがあるかと思います。言い換えれば、社労士は不正受給に加担することを恐れており、顧問契約を通じて一定の信頼関係がある前提で助成金申請を行いたい。そう考えている事務所が多いのです。
もちろん、スポットで受けてくれる事務所もあります。しかしながら、現実的には助成金申請と顧問契約はセットの社労士事務所が多いでしょう。そこで、この場合は「顧問契約」を長期コストと考えるのではなく、投資的な意味合いに変えられる社労士事務所を選択するということを考えていきましょう。
単にサブスク的に相談料としての顧問料が発生する事務所ではなく、もしあなたの会社が労務的な問題を抱えている場合にその問題を解決してもらえる。あるいは、これから会社を伸ばすために人事制度や評価制度をともに構築してもらえる実力のある社労士であれば、契約する意味もより大きくなります。
もし、コスト一本で考えるならば、年間の助成金受給額と年間顧問料を比較してみると良いでしょう。年間顧問料よりも助成金受給額が高まるのであれば、プラスになるわけですから依頼する意味があります。いずれにせよこのような状況なので、長期的視野の中で社労士を選択していきたいところです。
補助金申請を取り扱うコンサルタントの見極め方
前述のとおり、行政書士の独占業務ではないかという疑義が残りますが、現在のところ補助金申請業務を扱うためには資格の有無は関係ありません。主に補助金を取り扱う資格者は中小企業診断士、行政書士、税理士などで、資格なしに補助金業務を取り扱うコンサルタントや一般企業もあります。そのため、資格の有無で専門家を見極めることはできません。
では、いったいどのようにプロかどうかを判断すれば良いのかといえば、やはり実績です。どれだけ補助金業務の経験があるか。そして、採択され交付された顧客を持っているかによります。申請数だけでは、その実力をはかることはできません。
この「採択」に関しては、専門家のウェブサイトなどで「採択率○%」などと書いてある場合がありますが、あまりにも高すぎる採択率には注意が必要です。補助金のプロフェッショナルといえども、一〇〇%の採択率はまずありえません。仮に一〇〇%に近い数字を掲げているとすれば、申請する前に採択されるか微妙なラインの場合は申請していないという場合もありますから、このあたりの数字も一概には言えないところです。
ですから、見極め方としては、「一般的に難しいといわれる場合の補助金の採択率は、他社と比べてどうですか?」のような質問が有効でしょう。加えて、補助金申請の報酬は、着手金と成功報酬という形式が一般的ですが、補助金申請業務を依頼したのち、採択されなかった場合に報酬がどうなるのかなども確認しておくべきです。
ほかに注目すべきポイントとしては、着手金と成功報酬モデルではなく、顧問契約というかたちで長期的な契約を受けているかという点も見ておきたいところです。本来、レベルの高い専門家であれば、補助金は長期的に計画します。翌年、翌々年の会社の事業計画と補助金申請計画と合わせて長期で検討できる専門家は、レベルが高いと言えます。そういう意味では、顧問契約を通じて長期の補助金申請計画を提案してもらえるかという点も、専門家の見極めとしては事前に聞いておきたい質問といえます。
いずれにせよ、重要なのは実力と実績です。ウェブサイト上のブランディングやプロフィール等に惑わされることなく、きちんと実力と実績を見極める質問をしてください。報酬額については、助成金と同じく、報酬と年間の交付補助金総額を比較すると決断がしやすいといえるでしょう。
いますぐ動くことが、受給率を高める最大のポイント
最後になりますが、補助金や助成金を有効活用するためには、できるだけ早く行動に移すこと。これに尽きます。補助金も助成金にも申請期限があり、またその年度にしか存在しないものもあります。行動を起こすのが遅くなれば遅くなるほど、そのチャンスは減ってしまいますので、できるだけ早く行動をすべきです。
そのためにも、あなたにとって優秀な専門家を見つけることは重要です。人づて、インターネットなど様々な検索方法がありますが、妥協せず良い専門家を探してください。こうした専門家との付き合いがあるかないかで、資金調達の総額は数百万円も数千万円も変わってくることがあります。できるだけ早く行動しましょう。
助成金の情報公開については、毎年四月にその情報が一新されます。そのため、助成金の情報は取りやすいといえるのですが、補助金については一定の時期に公開されるわけではありません。特に地方自治体が提供する情報については、随時各自治体のウェブサイトでの発表などを追わなければならず、場合によって発表から申請締め切りまで数週間というものもあるくらいです。ですから、できるだけ早く専門家を見つけ、あなたの会社にとって有益な情報を得られる体制をつくりあげていきましょう。
実際、私たちに補助金や助成金のご相談について、新規でお問い合わせをいただくことも多いのですが、「もう少し早く相談してもらえれば…」という状況も多いのです。例えば、すでに設備投資をしてしまったあと。これではものづくり補助金に該当しても、補助金の対象になりません。あるいは、アルバイト社員を入社後すべて正社員にしてしまったあと。これもキャリアアップ助成金の対象にならないのです。ですから、お金を使う前に。組織に変更を加える前に。ぜひとも相談してほしいと思います。
それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。補助金と助成金、特に都道府県のものまで活用できれば、年間の資金調達額は大きく変わります。ぜひ、こうした制度の有効活用をして、あなたの会社の発展に役立ててください。
終わりに
ある会社が調べたら、残念な結果に…
本書の最後にも書きましたが、実際に「行動する前に相談してほしかった…」という例は多いものです。前掲のものづくり補助金やキャリアアップ助成金。半年早く相談してもらえれば、設備投資の2/3は補助金で賄うことができ、助成金も総額で数百万円以上もらうことができたという例は決して少なくありません。
経験上、ほとんどの会社が補助金や助成金を活用できていないと感じます。当法人のお客様には常に情報を提供し、補助金や助成金が受給できる機会を増やしていますが、経営者でもそういった情報に触れる機会があまりないのではないかと思います。
つまり、あなたの会社にも可能性があります。特に地方自治体の助成金や奨励金まで活用できている会社は決して多くありません。本書でお伝えしたとおり、できるだけ早く行動することが重要です。ぜひ、今日からその第一歩を踏み出してみてください。
さきがけ税理士法人 代表税理士 黒川明
さきがけ税理士法人では、さきがけ社会保険労務士法人を併設しており、補助金や助成金の相談やご依頼を承っております。本書でご紹介した東京都独自の助成金等にも対応済みです。あなたの会社にも、補助金や助成金が受給できる可能性があります。本書の読者限定で、補助金・助成金の受給可能性を無料診断しておりますので、お気軽にお問い合わせください。初回の面談で受給可能性を検討させていただきます(オンライン相談可)。
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