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【全文無料公開】ネット情報では手に入らない 法人向け 生命保険節税の真実

はじめに YouTuberはみんな間違ったことを教えている?

「金持ち父さん 貧乏父さん」(ロバート・キヨサキ)は、2000年頃から投資ブームを起こしました。当時は「セミリタイア」という言葉が流行り、我こそはとお金儲けや投資に注目が集まった時代です。

その後、リーマン・ショックや東日本大震災を経て2022年現在、もう一度投資ブームが起きているように感じます。セミリタイアという言葉は、「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」という言葉に置き換わり、多くの人がお金儲けや投資に関わる情報を探し、そしてお金に関わる情報も増えています。

特に最近では、YouTubeやSNSなど様々な媒体から個人が情報発信できるようになり、良い情報が無料で手に入る一方で、なんとも詐欺まがいの情報まであふれる始末。そんな中、私が注意すべきだと考えているのが、「生命保険」に関する情報です。

本書は、経営者に向けた生命保険による節税指南書になります。生命保険に関しては、様々な意見がありますが、やはり法人経営者にとって生命保険は代表的な節税手法であり、そしていまもなお王道と呼べる方法。しかしながら、最近はこの生命保険に関しては間違った情報が飛び交っています。

法人経営者であれば、生命保険を使えば節税効果が見込めます。私はこれまで税理士として、1000社を超える企業と顧問契約をし、節税に関してのアドバイスを行ってきました。生命保険をつかった節税は、やはり重要だというのが結論です。

ところが、一部のYouTuberや情報発信者は「生命保険不要論」を提唱します。YouTuberであれば、チャンネル登録者数が数十万人いたり、あるいはSNSであればフォロワーが数万人いたりすると、その情報があたかも真実のように見えてしまうわけです。

誤解を恐れずに言うと、いまYouTubeなどで流れている「生命保険不要論」は法人経営者にとっては間違いです。本書では、法人経営者のあなたのために正しい生命保険の知識と考え方について解説しました。間違った情報に惑わされず、きちんと利益と資産を増やすための内容です。ぜひ、あなたの資産形成にお役立てください。

さきがけ税理士法人
代表税理士 黒川明

第1章 YouTuberが間違っている個人の節税、法人の節税

多くのYouTuberが「生命保険には入るな」とは言うけれど…

YouTubeの検索窓に「生命保険」と入れるとサジェスト(検索キーワード候補)に「いらない」と出るほど、YouTube界隈ではいかに「生命保険が不要なもの」と主張する動画が多いのかわかります。これまでの生命保険のイメージとしては、「いざというときのために入っておくもの」「そのために生命保険料を支払うのは当たり前」として、先の安心を買うために当たり前のものとして捉えられていました。YouTubeでは特にこうしたイメージの逆を主張すると注目を集めやすいということもあり、「生命保険不要論」を主張する動画は数多くあります。これだけを見てしまうと、「やはり生命保険は要らないのか」「保険料を支払うことは無駄なのか」と思ってしまいがちですが、これは大きな間違いです。

結論から言えば、YouTubeで主張されている生命保険不要論は、個人に関する生命保険です。法人の生命保険についてはほとんど触れられていません。つまり、YouTubeにある情報は経営者であるあなたのための情報ではないのです。法人の経営者であれば、生命保険はいまもなお節税の王道であり、効果的なもの。ですから、こうしたYouTubeの「個人の生命保険」に関する情報に惑わされてはならないのです。

一部のYouTuberは、「生命保険に入るのは無駄」「生活保護や傷病手当金など、国の制度が充実しているから、生命保険なんかに頼らなくても問題ない」と主張します。しかし、やはりこれは個人の生活を前提とした話です。そして、国の政策や制度だからといって安心とは言えません。財源には限りがありますし、政権が変われば方針も変わります。ですから、国の制度を前提とするだけの備えというのは少し安易と言えます。

あるいは、「生命保険に入るくらいなら、ほかの投資に回す方が賢い」という意見もありますが、やはりそこは「投資」です。つまり、資産価値は乱高下する可能性を持っているわけで、必ず利益が出るわけでもありません。これに対して、生命保険は契約ですから確実です。こういった点も見逃されている点と言えるでしょう。

まずは、あなたが経営者であれば、こうした生命保険に関する正しい理解が重要です。給与所得者と経営者では生命保険と資産形成の考え方は異なります。そして、生命保険は節税のための保険と、万が一に対する備えとして(つまり本来の保険の役割)の二つの考え方をきちんと持つべきです。

そして、決してYouTubeなどの情報の一部を切り取って「生命保険は不要なんだ」と思い込まないこと。やはり生命保険は法人経営者にとって極めて重要なものなのです。

個人の資産形成と法人の資産形成はこれだけ違う

ここで一度、個人と法人経営者との資産形成の考え方について、整理しておきましょう。これを理解すれば、一部のYouTuberの生命保険不要論についても正しい理解ができるはずです。

まず、個人の資産形成の元になるのは給与所得です。勤務先の会社から、毎月一定の給与と状況に応じて賞与を受け取る。この中でやりくりしながら資産形成をしていきます。例えば、月額の給与が30万円ならば、そこから健康保険や雇用保険などの保険料を控除した金額がいわゆる「手取り」です。この手取りのお金から資産をつくっていきます。給与額は人によって様々ですが、日本の平均給与は約433万円。生活費や遊興費を考慮すると、自由に使えるお金はさほど多くありません。そのため、ただ保険料を支払うのはバカげている、それよりは投資信託などの投資に回すべき。病気や怪我などは国の制度を使えば良い。そんな理屈が出てくるわけです。

これに対して、法人の経営者は資産形成の考え方が大きく異なります。基本的には「個人」と「法人」の二つで資産をつくっていくわけです。個人としては役員報酬でお金を残します。そして、法人でも資産形成を検討します。細かい説明は割愛しますが、法人に利益が残ればその利益に法人税が課税されます。この法人税とのバランスで、いかに利益を残していくか。あるいは資産を増やしてくかというのが、法人経営者の考え方です。

本題の生命保険でいえば、法人で生命保険に加入することで節税効果を見込みます。保険の種類によりますが、保険に加入することでその保険料が経費になります(どの程度経費になるかは、保険商品によって異なります。全額経費になるものもあれば、半額、40%など実に様々です)。その結果、法人税を抑えることができるという仕組みです。この部分について、一部のYouTuberの言葉を借りると「生命保険なんか入るより、その利益を投資に回した方が良い」となるのですが、前述のとおり投資に絶対はありません。儲かることもあれば、損をすることもあります。そして、何より投資では経費になりませんので、投資分にはしっかりと課税されます。ですから、法人の利益を投資に回すということは、確実性に欠けるのです。

これに対して、生命保険は投資ではなく「契約」です。ですから、支払う保険料が予想外に増えることもなければ、解約返戻金(保険を解約したときに戻ってくるお金)が将来極端に減るということもありえません。確実なのです。もちろん、利回りなどを考えれば、一部を投資に回すことについて、やぶさかではありませんが、確実性を前提とするならば、やはり生命保険なのです。

法人の場合は、個人と法人の二つで資産形成を行います。会社の売上や利益はコントロールできるものであり、個人が給与所得でやりくりするのとは全く違うものです。これを踏まえて、より生命保険についての理解を深めていきましょう。

知っておきたい経営者の節税と資産形成の基本

すでに節税対策や資産形成に対して積極的に取り組んでいる場合には、基本的なことになりますので本項は飛ばして頂いても構いません。あらためて、経営者としての節税と資産形成の基本的なスキームについて大まかな解説をしておきます。

まずは税金についてです。基本的には会社には売上があり、そして必要経費があります。ざっくり売上から必要経費を引いて残ったお金が会社の利益と考えてください。この残った利益に法人税が課税されます。なお、この必要経費の中には役員報酬も含まれており、まずは会社の売上から個人にお金を残すために、役員報酬の額を上手く調整する必要があります。

これに加え、消費税の課税事業者の場合は、この法人税とは別に消費税を収めることになります。消費税については、一定の節税施策はありますが、ゼロにすることは基本的には不可能です。そのため、利益を残すためには法人税のかかる利益に対してどのような施策をするか、ということになります。何もしなければ、利益に対しては約30%が税金となり、例えば約500万円の利益が出たとすれば、約150万円が納税額となるわけです。

ですから、まとめるとまずは役員報酬を上げて個人の所得を増やし、個人の資産を増やしていく。そして法人での利益を上手くコントロールし、納税額を抑えながら利益を増やしていく。この両輪が資産形成の基礎となります。

そこで重要になってくるのが生命保険というわけです。生命保険を上手く活用し、法人税を圧縮する。そして納税額を抑えながら、生命保険で利益を上手くプールしていく。もちろん、利益のすべてを保険に当てれば、法人税もより抑えられますが、今度は運転資金がなくなってしまいます。ほかにも、利益を投資に回すこともできますが、前述のとおり投資は経費にならず、収益性の点でもやはり確実性に欠けます。つまり、生命保険を中心に据えつつ、バランスを考えながら利益を残す、増やすということを考えていくことが重要なのです。

もちろん、本来の目的である「いざというときの備え」としての生命保険加入も重要だと言えます。法人で加入するにしても、個人で加入するにしても、会社経営者となれば、事故や病気になったとき、ただ休めば良いということにはなりません。あなたが休んでしまえば、会社が回らなくなるという場合もあるでしょう。そういったことも踏まえ、本来の生命保険の目的と節税効果を検討しながら、バランスの取れた生命保険活用計画を練って実行していくことが重要なのです。

生命保険は、いまもなお節税対策の“王道”

生命保険には、確かに批判的な意見もあります。例えば、代表的な意見が次のようなものです。

(1)受け取るときに利益となり、結局法人税が課税される
生命保険料を支払い、一時的な法人税課税を回避できても、最終的に保険を解約し、その解約返戻金を受け取るときには利益になります。そのため、結局課税されるので意味がないという意見です。しかしながら、これは単に無計画で返戻金受け取ってしまったケースを強調しているだけで、実際には様々な対策を練ることができます。例えば経営者自身の退職金に当てるなど対策を講じることは可能で、出口戦略をきちんと練れば良いのです。

(2)資金繰りが悪化する
一度生命保険に加入すると、原則として同じ保険料を毎年支払うことになります。これは会社の業績がどうなろうと、基本的にはこのルールです。最近は、途中で支払いを保留したり、あるいは保険料の見直しができたりする保険もありますが、原則としては毎年同じ金額を支払うことになります。そのため、保険料が高額だと毎年の資金繰りを悪化させるだけだという意見があります。しかし、保険料の支払いをやめながら保障を残す「払い済み」の検討など対応策は複数あり、売上と事業計画をきちんと見据え、長期で計画すればこうしたことは防ぐことができます。

要は、無計画に生命保険に加入するからこそ起こる最悪のケースであり、生命保険は適切に活用すれば、いまもなお王道の節税対策です。何度もお伝えしたとおり、投資と違い生命保険は契約です。そのため、将来の返戻金などが株価や世界の経済情勢などに影響されることはまずありません(例外として、例えばドル建てで生命保険に加入した場合、円高円安の影響を受けることなどがあります。そのほか、変額保険に加入した場合、株式相場など景気の影響を受けることもあります)。このように確実性が高い節税手法が、生命保険なのです。

別の言い方をすれば、生命保険をつかった節税については、信頼できるアドバイザーの存在が欠かせないと言えます。先の例のように、保険料の額や出口戦略を何も考えずに決めてしまうと、かえって会社経営を圧迫してしまいます。ですから、長期的な経営計画のもと、どの程度の保険料の設定が最適なのか、そして最終的に出口戦略としてどのように利益となる返戻金を対処するかを考えてくれるアドバイザーの存在が重要になります。

アドバイザーの選択については第3章で解説しますが、生命保険は適切な運用ができれば、投資に比べて確実性の高い節税であること。これを経営者としては、正しく認識しておきましょう。

YouTuberの情報は正しく見極めよう

YouTubeやSNSにある情報のすべてが嘘の情報ではありません。しかしながら、やはり間違ったことをあたかも真実として語る人も多いのです。経営者としては、正しい情報をもとに適切に会社の利益を残し、資産を形成していく必要があります。

一昔前は、インターネット上の情報は正しい一次情報としては認識されていなかったはずです。特にインターネットが普及し始めた黎明期においては、ネット上の情報は信頼できないのが前提で、やはり最終的には専門家の意見や文献を当たっていました。しかしながら、最近ではYouTubeやSNSの情報も一次情報として捉えられ、ネットの情報をテレビ等のメディアが取り上げるような逆転現象まで起きてしまっています。では、なぜこのような展開が起きてしまっているのでしょうか。

ひとつはネットの情報が匿名でなく、顔出しありや実名で行われていることにあります。かつてネットの情報と言えば、出どころ不明というのが当たり前でしたが、YouTuberなどは顔出しをして実名を公表した上で投稿する人もいて、真実性が高まっているように見えてしまいます。仮にハンドルネームのような名前でも、実際の専門家らしき人が話しているから、間違いないだろうとやはり信じてしまいます。

ふたつめは「チャンネル登録者数」や「フォロワー数」などの、支持者の数字の公開です。チャンネル登録者が100万人以上いるのならば、信頼されている情報だろう。同じくSNSのフォロワーが数万人いるなら信頼できるインフルエンサーだと、この数字によって盲目的に信じてしまうわけです。しかし、登録者数100万人を超えるYouTuberの投稿している動画の内容が虚偽だったことで炎上することは決して少なくなく、支持されているからといって正しい情報とは限らないのです。

特にYouTubeやSNSは注目を集めたいがゆえに、表現方法は過激です。中には誇張だけでなく虚偽の情報もあります。こうした情報に踊らされてしまい、会社やあなたの利益を減らしてしまうようなことがあれば、本末転倒です。

例えば、YouTuberの言う保険不要論の中には、保険料は生命保険会社の利益になる。だから生命保険会社を儲からせても意味がない。というような批判のような中傷のような意見がありますが、利益があるからこそ生命保険の返戻金が確約できるわけですし、そもそもの保険の目的としての保険金も保証されます。確かに生命保険会社は豪華なオフィスを構え、きらびやかに見えますが、一方できちんと賃貸オフィスとしても利益を出していたりするなど、お金を生み出すことに関して真剣です。逆に言えば、みすぼらしいオフィスでギリギリの経営をされていたら、将来の返戻金や保険金の支払い自体も不安になります。

おそらく、生命保険を批判するYouTuberは生命保険会社を含んだ上場企業の財務諸表などは見ていないのではないでしょうか。儲ける、利益を出すことは何も生命保険会社だけの特別なことではありません。

また、YouTuberとして生命保険不要論を唱える人は、基本的にお金に困っている人ではないように見受けます。確かに、事故や病気にあってもお金があるのであれば、不安はないでしょう。しかしながら、がんなど長期治療が必要な病気などになった場合、経済的な理由で治療ができないこともあるわけです。

経営者であれば、一般のサラリーマンよりも高い役員報酬、そして資産を持っていることが多いと言えます。もしかしたら、自分の資産だけで病気や怪我の治療代もまかなえる状況にあるのかもしれません。しかし、病気などは「この金額があれば間違いない」という目安となる金額を決めるのは難しく、生命保険に入るということはこういった万が一のための精神的ダメージを軽減する目的も持っているのです。ですから、安直な生命保険不要論は生命保険の本質がわかっていないことになります。

YouTubeやSNSなどのネットの情報は参考程度にしておき、もし気になる情報があるとすれば、実在するプロの専門家にそれらについて相談する。こうしたスタンスが重要です。結局のところ、YouTuberやインフルエンサーは、情報を出すだけで責任を取ってくれるわけではありません。こうした人たちの情報に左右されることなく、プロの専門家とともにきちんと利益を残し、資産形成をしていくのが賢い選択だといえるでしょう。

第2章 法人経営者なら、やっぱり生命保険での節税が一番!

生命保険による節税の基本スキームとは?

本章では、より具体的に生命保険を活用した節税スキームについて解説していきます。その前に大前提となる節税の考え方について、おさらいしておきましょう。

まず、節税の最大の目的は「お金を残すこと」にあります。無駄な税金をカットし、できるだけお金を残す。会社経営おいて重要なことは多数ありますが、現実的にはお金があることが最優先事項です。ですから、経営者は必死にお金を守ろうとします。そのひとつの手段が生命保険を活用した節税です。

生命保険を活用した節税というのは、言い換えれば利益の圧縮です。簡単に言えば、利益が多ければ多いほど、税金がかかります。そこで、生命保険の保険料を経費として計上し、その費用を経費に充て、納税額を抑える。そして、保険料として支払ったお金をプールしておき、将来的に保険を解約し、そのお金を自分の手元に戻す。基本的にはこれだけのことです。ただし、いくつか注意点があります。

当然、利益がゼロになるくらい生命保険に入れば、法人税の納付も限りなくゼロに近づきます。そうなると確かに納税からは逃げられることになりますが、今度は運転資金が足りなくなる可能性が強くなるわけです。極端な例として、「赤字ならば法人税を支払う必要はない」と常に赤字決算で税金をなくそうと考える経営者もいますが、これだと金融機関から借り入れをすることが極めて難しくなります。

さらに、生命保険はいつでも解約できますが、解約すれば全額必ず返ってくるわけではありません。返ってくるお金のことを返戻金と呼びますが、多くの場合、長期的に保険料を支払うことによって、支払った保険料の満額に近い(契約によってはそれを超える)返戻金が支払われるという仕組みになっています。ですから、一度始めたら最低でも五年程度は保険料を支払い続けないと意味がありません。

生命保険の保険料は原則として、当初決めた金額を毎年支払う契約になっています。ですから、一年目は無理なく支払うことができても、二年目に支払えなくなったら生命保険を解約せざるを得なくなるわけです。前章で解説したとおり、払い済みにすることもできますが、節税施策の計画としては、これでは見通しが甘かったとしか言いようがありません。

このように、生命保険による節税の仕組みはシンプルです。しかしながら、その場だけの考えで加入してしまうと、キャッシュアウトにつながり、保険料の支払いに苦慮することになってしまいますので慎重に検討すべきだと言えます。

プロが教えるテクニック① 返戻金のピークを見極める

生命保険を活用した節税施策を行う場合に必要なのは、長期的な計画です。繰り返しになりますが、生命保険は一度決めた保険料は毎年支払っていく契約です。原則として保険料が支払えなくなれば解約するしかありませんし、早期の解約では返戻金が極めて少なくなります。ですから、長期的な計画を慎重に立てる必要があります。

まず検討したいのが、返戻金のピークがいつなのかという点です。保険の種類によってこれはまちまちですが、多くの生命保険では早期の解約だと極端に返戻金が少なく設定されています。例えば、500万円の保険料を支払う生命保険契約だった場合、翌年に解約すると支払われる返戻金は100万円もないことがあります。保険の種類にもよりますが、おおよそ5年以上支払って初めて7割、8割程度の返戻金になるイメージで間違いありません。

なお、契約にもよりますが、10年程度保険料を支払い続けると満額に近い返戻金が約束されることが多くあります。この話をすると「満額もらえないのは損」と考える経営者もいますが、これは節税のための手数料と考えるべきでしょう。500万円を10年とすれば5000万円。解約すれば、戻ってくるのです。これをしなければ、5000万円に対して法人税が課税されていたわけですから、手数料と考えるとむしろ安い金額と考えるのが賢明だと言えます。

生命保険の種類と契約内容によりますが、返戻金のピークは五年以上から10年程度と考えるのがスタンダードです。そう考えると最低でも五年間。できれば10年間、毎年無理なく支払える保険料の設定が最初の重要事項になります。初年度だけ良い思いをしても、残りの支払期間で資金繰りに苦しんでは本末転倒です。ですから、まずは無理のない支払い計画を立てるべきです。

そして、後述しますが、返戻金のピークを想定して、その後の出口戦略も考えておくべきです。5年後ないし10年後には、保険料を支払い続けていけば、ほぼ満額に近い返戻金が約束されます。しかしながら、これは会社に利益として入ってくるものです。そのため、そのときに無策だと、先の例で言えば5000万円の節税対策をもう一度行うか、あるいは多額の法人税を収める羽目になってしまいます。

ですから、まずは返戻金のピークを見極め、無理のない支払い計画と返戻金が入金されたときにどのように対応するか。ここまで考えて初めて節税対策と言えるのです。

プロが教えるテクニック② 保険料の見直し制度を検討する

生命保険は、一度決めた保険料を支払い続ける。これが多くの生命保険契約の内容です。そのため、前掲のように安易に保険料を設定してしまうと、保険料の支払いに苦しくなり、資金繰りを圧迫する…という結果になってしまうことがあります。ですから、保険料の設定は重要事項です。

とはいえ、すべての生命保険がそういった内容の契約かと言えば、必ずしもそうではありません。生命保険の内容や、取り扱う生命保険会社によっては、保険料の見直しができる契約もあります。

書籍という形式上、具体的な生命保険の商品名を出すことはできませんが、例えばこのようなタイプの生命保険もあります。初回に決めた保険料を毎年支払っていくのが原則の生命保険ですが、支払いが厳しくなった場合に、保険料を下げることが可能なものです。一方で、保険料を下げることができた場合には、返戻金にも影響が出ることもあり、そのあたりはきちんと見極めることが重要です。

また、生命保険料の引き下げだけでなく、一年支払いを飛ばすことを可能にしている生命保険もあります。「今年はちょっと保険料を支払うのが厳しい…でも、解約したら少ない返戻金で損をしてしまうし、来年なら払えるのに…」のような状況のときに、支払いを一回飛ばせるような契約内容です。

これは後述しますが、こうした生命保険の商品の見極めは、素人判断は禁物です。例えば、このような保険料の見直し制度があったとしても、契約上何かしらの制限が付くことがほとんどです。すべての生命保険会社の営業マンや保険代理店がそうだとは言いませんが、基本的に彼ら彼女らは生命保険を売りたいと考えています。ですから、好条件の説明が多くなることは自然です。こうした説明の中、きちんと契約内容を見極めた上で、果たして本当に見直し制度ある生命保険が必要なのかどうかを検討していきましょう。

契約をしてしまったら、基本的には生命保険料を支払っていくことになります。ですから、事前の計画に加えて、生命保険契約そのものの検討も重要です。このときにひとりで決めてしまうのではなく、税理士などの専門家のアドバイザーを付けることは必須だと言えるでしょう。

プロが教えるテクニック③ 長期計画で保険料を考える

すでに①でも計画性については解説しましたが、より深く考えていきましょう。

まず、保険料の設定です。利益に対して法人税がかかるわけですから、できるだけ利益を圧縮―つまり、利益額に近い保険料―の設定をすれば、法人税は免れることができます。しかしながら、会社のお金がなくなってしまえば、今度は運転資金が足りず、業績を維持できないこともあるわけで、注意が必要なのはお伝えしたとおりです。

では、長期で保険料を考えることはどういうことかといえば、事業計画と資金繰り計画を同時に考えていくことです。単年度の決算だけで見れば、保険料を決めること自体はシンプルで、運転資金を圧迫しない程度の保険料に設定すればよいわけですが、逆に保険料をあまり低く見積もってしまうと、今度は節税の恩恵を受けることができません。ですから、ベストなラインを検討していくことがポイントになります。

このとき、指針になるのが事業計画です。いきあたりばったりの経営では、保険料の設定が難しくなります。翌年にかかる想定経費はどうなっているのか。人材を新たに採用するのか、販促費は前年比でどの程度増減するのか。あるいは、ここ五年が勝負の年と位置づけているのであれば、生命保険に入らず、納税をしてでも手元に資金を残しておくのが得策かもしれません。このように、事業計画とも照らし合わせながら保険料を検討します。これも経営や事業計画に理解のあるアドバイザーがいるとより無理のない節税施策になるでしょう。

加えて、万が一のためにも資金繰り計画も合わせて考えておくべきです。例えば、決算期直前に保険料を支払いたいが、資金が心もとない。でも、支払わなければ解約になってしまうというような状況でも、言うまでもなく借り入れによる資金が充実していれば、無理なく支払うことができます。

借り入れについて、細かい解説をすることは紙面の関係上できませんが、生命保険による節税対策をする場合は、年に一度保険料の支払いという「出費」が増えるわけです。ですから、万が一のためにより一層資金は充実させながら、生命保険による節税の恩恵を受けた方が気持ち的にも落ち着きます。資金の借り入れ、借り換えを繰り返しながら、資金繰りそのものを良くし、そして保険料も無理なく支払っていく。こうしたお金と経営の計画があることで、より無理のない節税施策になっていくことは、ぜひ覚えておいてください。

プロが教えるテクニック④ プロによる保険の比較を行う

前項でも解説しましたが、生命保険の選択をひとりで決めるべきではありません。いまでは生命保険と一口に言っても、様々な種類があり、とても素人が判断できるような量ではありません。そのため、必ずプロによる保険の比較と検討というフェーズを挟んで頂きたいと考えています。もちろん、担当の営業マンや生命保険代理店にも相談するのは良いことです。しかしながら、前述のとおり、生命保険を取り扱う側だけの意見で決めるは少し慎重にすべきです。そこで、第三者的なプロに相談した上で決めるのが良いでしょう。

では、どんな専門家に相談をすれば良いのか。世の中には「保険のプロ」と自称する専門家は多数います。例えば、フィナンシャル・プランナーも生命保険比較のプロという人もいますし、私たちのような税理士もそう謳うことがあります。最大のポイントは、「法人の生命保険」に詳しいかどうかです。フィナンシャル・プランナーのお客様のほとんどは個人です。ですから、個人での投資や収入のやりくり。その上での個人の生命保険の話になることがほとんどです。個人と法人の生命保険はまったく違いますので、このあたりの「生命保険の専門家」の見極めが重要になります。

これは手前味噌になってしまいますが、この分野での専門家はやはり税理士を除いては存在しないでしょう。もちろん、税理士の実力差や専門性の違いによって、すべての税理士が得意としているわけではありませんが、企業顧問を中心とする税理士事務所であれば、生命保険を活用した節税の機会は常にあります。逆に言うと、企業顧問中心の事務所で生命保険の提案ができないというのでは、少しお客様への貢献性が低い事務所なのではないかと思います。

より詳しい専門家の見極め方は、第三章で解説しますが、経営計画と資金繰り計画、そして生命保険の活用をワンストップで検討できるのは税理士だと言えます。ところで、もしあなたの会社が顧問税理士と契約しており、あなたの会社がきちんと利益を出しているのにも関わらず、生命保険による節税の提案がないというのは少し怠慢だと私は考えます。税理士はお客様の利益の状況を一番近くで確認できる立場です。少なくとも決算期の二ヶ月前には利益予想を伝え、生命保険を通じた節税を始めとする施策の提案があってしかるべきです。もし、あなたの顧問税理士から提案がない場合は、税理士そのものの変更も検討すべきなのかもしれません。

参考:自社の顧問税理士に疑問を持ったら読む本(黒川明)

プロが教えるテクニック⑤ 必ず“出口対策”を考えておく

最後のテクニックが「出口対策」です。生命保険を通じた節税は、確かに一時的には税額を抑えることができます。しかし、解約時には利益として会社に入ってくることになるので、最終的に返戻金が入金されるときの対策を考えておくことが必要です。

こうした「支払うべき税金を先延ばしにしている」ところから「課税の繰り延べ」と呼ばれることがあり、極端な例でいえば課税の繰り延べは節税にならないという意見もありますが、それは出口対策が講じられていない場合の話です。当初からきちんと出口対策を練っておくことで、最終的に問題のない節税対策になります。ここでは代表的な出口対策について、解説しておきましょう。

(1)経営者の退職金に充てる
経営者の退職金に充てることは、もっともスタンダードな出口対策です。退職金は退職所得控除額があり、基礎的な非課税枠があります。これに加え、一/二課税といって、退職所得控除額を引いた半額が非課税になります。加えて分離課税といって役員報酬と退職金は合算されず、所得税率が上がりません。このように税負担が軽いうえに、損金に算入できる金額を比較的大きくしやすいため、人気のある対策でもあります。

(2)返戻金で再度法人保険に入り直す
メリットは保障が継続されることと、返戻金のピークを先に延ばせることにあります。ただし、繰り延べしていることには変わらないので、もう一度出口対策が必要になります。

(3)設備投資をする
社屋の改修や社用車の買い替えなどの設備投資に充てるのもひとつの選択です。退職金に充てる対策と違い、経費として算入できる金額は大きくありまませんが、減価償却を利用して経費を生み出すことができます。

(4)人件費、販促費に充てる
昇給や賞与の増額などで社員のモチベーションを高めるのもひとつですし、販促費として使用し、事業を拡大することも使途のひとつと言えるでしょう。

(5)不動産投資などの投資
各種の投資に充て、より資産を増やすという選択も出口対策のひとつです。

いずれにせよ、長期で慎重な計画が必要になります。そのため、生命保険を通じた節税対策は、優秀なアドバイザーを置くことが重要になるでしょう。最後に、第三章では生命保険の選び方や専門家の見極め方などについて解説していきます。

第3章 正しい生命保険の選び方と保険代理店の選び方

日々変わりゆく生命保険をどう見極めれば良いのか?

生命保険ひとつをとっても、無数に種類があり、その中で有効な生命保険を見極めていくことは決して簡単なものではありません。せっかく利益を出しても、適切な生命保険の選択ができなければ、元の木阿弥です。では、適切な生命保険をどのように選択すればよいのでしょうか。

まず、もっとも保険に詳しいのは、言うまでもなく生命保険会社です。少し補足をしておくと、保険商品での節税対策は、法改正との戦いでもあります。例えば、過去はがん保険が全額経費扱いできる時期があり、経営者はこぞってがん保険を活用して節税対策をしたものです。しかし、政府や金融庁は企業から税収を高めていこうと考えます。そうすると、法改正によってこれまで使えていた保険商品が使えなくなったりするわけです。

がん保険も一時期は節税商品の目玉として栄華を誇っていましたが、法改正により全額経費ではなくなり、以前ほど注目を集めることはなくなってしまいました。このように保険と法改正はセットで考えなければならない一面があります。

そして、結論から言ってしまうと素人が生命保険の情報を集めるのは時間と労力の無駄です。生命保険会社は必死に商品開発をし、新しい節税商品を日々生み出そうとしています。目まぐるしく変わる保険商品の中で、生命保険業界以外の人間がこの情報を追いかけるのは不可能と言ってよいでしょう。

ベストは、生命保険会社と提携なりきちんとつながりのある税理士をアドバイザーにすることです。情報を適切に手に入れるには、情報を追いかけるプロに任せるのが一番です。もちろん、あなた自身が情報を集めることは無駄にはなりません。相談する場合にも、一定の知識がないと相手の言うとおりにするしかなくなってしまいますので、一定の知識を蓄えつつ、生命保険会社とつながりのある税理士に相談し、そこから節税計画を立てていくのがベストな選択と言えるでしょう。

特に、インターネット上にある情報だけで判断するのは禁物です。前述のとおり、インフルエンサーが正しい情報を提供しているとは限りませんので、実際に報酬を得て相談を受けたり、コンサルティングを行っている税理士事務所を窓口に保険商品の提案をしてもらうのが最善策だといえるでしょう。

生命保険は実際にどうやって購入すれば良い?

実際の生命保険の購入方法は簡単です。節税の提案やコンサルティングができる税理士事務所には、提携している保険代理店等がありますので、紹介してもらえれば担当者に来訪してもらえます。あとは契約書を交わし、期日までに入金するだけ。基本的に生命保険の購入に難しいところはありません。やはり重要なのは、事前の計画です。

ところで、税理士事務所に相談するのがベストと解説しましたが、ひとつ注意が必要です。節税に対して提案力がある税理士であれば、あなたの会社の状況を鑑み、事業計画と資金繰り計画を合わせて検討しながら、生命保険による節税の提案をしてくれます。合わせて生命保険会社も紹介してくれるでしょう。しかし、中には「ただ生命保険を売りつけるだけ」の税理士事務所もあるのです。

こうした事務所は、自ら保険代理店になっており、折に触れてただただ保険商品の提案をしてきます。この場合の提案は、あなたの会社の利益を確保するためのコンサルタントとしての提案ではなく、手数料目当ての「営業」です。ですから、「生命保険を取り扱っている」=「生命保険に詳しく、適切な提案をしてくれる」とは限らない点には注意が必要です。

自分の事務所だけが儲かれば良い、顧問先にはできるだけ保険を売りつけたいと悪意のかたまりのような事務所は決して多くはないと思いますが、ないとは言えません。そこで重要なのが、やはりセカンドオピニオンです。もしあなたの会社に顧問税理士がいたとしても、ほかの税理士事務所に相談することは法的には何の問題もありません。あなたの会社のお金です。このあたりは少しシビア過ぎるくらいの見極めをしても良いかと思います。

実際、当法人にもそうしたスポットの相談を頂くことがありますが、そのお客様の顧問税理士の提案と当法人からの提案を比較し、効果的な節税対策を提示されてなかったことに初めて気付く方もいらっしゃいます。ですから、やはり複数の専門家の意見を聞くことは重要です。

次は、そんな税理士の特長と見極め方について解説していきます。

ベストな相談相手は誰?FP、税理士、コンサルタントの選び方

まず改めて税理士がベストアドバイザーだという理由を解説しましょう。

本書冒頭から、YouTuberに関しての言及をしてきました。繰り返しになりますが、YouTuberが主張する生命保険のあり方については、基本的には個人のものであり、法人のものではありません。言い換えれば、法人で節税をするためには、法人の生命保険に詳しい必要があります。

多くの生命保険の営業マンやFP、それに関わるセールスパーソンが取り扱っているのは、個人の生命保険です。言い換えれば、法人保険の専門家としては、税理士以外にはいないと私は考えています。

そして何より、会社の財務状況まですべて見て提案できるのは税理士という立場以外にはありません。例えば、ある生命保険のセールスパーソンに相談したとしましょう。多くの場合、検討要素はあなたの役員報酬と生活に関わる費用くらいのものです。となれば、その年収に対して、適切な生命保険はこちら。積立になる生命保険ならこちら。つまり、法人の内部事情を加味しない提案になってしまうわけです。

これまで解説してきたとおり、個人と法人とでは、保険商品もその考え方も違います。ですから、会社全体の財務状況を把握した上での検討が最大のポイントなのです。個人の収入から見て適切な生命保険に入ったとしても、会社の利益が税金でごっそり持っていかれてしまったら、それは適切な節税対策にはなっていません。会社全体のことを考えながら、生命保険を検討することが必要なわけです。

私たちが税理士法人だから、税理士への相談を強調するわけではなく、会社の決算書まで見て提案できるのは税理士だけなのです。そもそも個人向けの保険営業マンに決算書を見せるケースはまずありませんし、もしかしたら営業マンの中にも法人の決算書まで読める人もいるのかもしれませんが、素人に法人の決算書を読み解くのはほぼ不可能です。そのため、ポイントは相談先の前提は税理士。そして、税理士の提案力を見極めていくことが、専門家選びの最重要事項というわけです。

次項では、そんな税理士事務所の見極め方について、解説していきます。

税理士事務所がやっている保険代理店は信用できる?

税理士事務所が保険代理店をしている場合、少し注意が必要だと伝えました。しかし、実際は税理士事務所が保険代理店をしていても、保険会社との提携であっても、重要なのは税理士自身の実力です。その見極め方の基準について、解説していきます。

(1)生命保険を通じた節税事例の実績の有無
やはりなんといっても実績が見極めの基準になります。これまで、どのような提案があり、その提案によってどの程度の節税効果を見込めたのか。このあたりを確認してください。さらに重要なのは、出口戦略の提案です。一時的な節税なら、ただ利益分の生命保険に入ればいいわけですから、これなら誰でもできます。ポイントは、長期に渡って計画された提案であるかどうか、という点です。

(2)資金繰り計画について
資金繰り(融資)についても強い税理士を選ぶのがベストです。前述のように、生命保険による節税は、広い意味では資金繰り計画の一種です。ですから、あなたの会社の資金調達及び経営計画にまできちんと理解のある税理士を選ぶのが良いでしょう。このあたりも、聞くべきポイントは実績です。融資なら、どの程度の実績があるのか特にあなたの事業規模と財務状況に近い事例と実績を確認しておくと、なお良いと言えるでしょう。

(3)経営そのものの造詣について
これは一番探すのが難しいかもしれません。利益をどのように残していくか。短期的に見れば本当に簡単ですが、経営は継続して行っていくもの。そのため俯瞰した経営者としての視点が重要になります。例えば、長い経営を考えれば、短期的に生命保険で節税するよりは、きちんと納税して資金という体力を蓄えていくことも、経営をする上では重要な判断です。そういう意味では、税理士が自身の事務所を伸ばしているなど、経営そのものを良く知っている税理士に相談できれば、これ以上のことはないでしょう。

(4)提案時期について
「いつ、節税について提案してもらえますか?」と聞いてみると良いでしょう。決算期直前に利益額だけ知らせてくるような税理士は論外です。決算期になってしまったら、節税のためにできる施策はガクンと減ります。少なくとも、決算期2ヶ月前には具体的な提案をしてもらえるような税理士を選ぶべきです。

正しい情報を得ることが、あなたの会社にお金を残す

本書ではYouTuberを筆頭に、SNSのインフルエンサーなどについてやや厳しい言い方をしました。もちろん、すべての情報が間違っているとは思いませんし、中には有益な情報を提供している人もいますが、やはりチャンネル登録者数やフォロワー数に惑わされることのないよう、気を付けてください。

特に節税というジャンルは、移り変わりも早いものです。前掲の保険商品の法改正なども、随時行われています。あなたが手に入れた情報をもとに、実践しようと思ったらすでに使えない情報だった…なんてことにならないよう、常にプロの力を借りるようにしてください。

いまはSNSやYouTubeで語られているようなことが、世の中の真実の情報のように見えてしまいます。テレビメディアがネット上の炎上やバズを取り上げる時代です。ですから、正しい情報を正確に早く取り入れることは、今後の会社経営にとっては極めて重要なことだと私は考えています。

確かにYouTubeやSNSの台頭によって、過去に比べて情報は取りやすくなりました。しかし、いまインターネット上にある情報は膨大すぎて、節税情報ひとつとっても、追いきれるものではありません。専門家をきちんと活用していきましょう。

2022年には、毎日のように物価の上昇を伝える報道があります。雇用保険料など、会社や個人の負担は次第に厳しくなっていく見込みです。経営を継続していくためには、やはりお金が重要です。借り入れや節税、助成金や補助金など、プロのちからを借りればよりあなたの会社にお金は残るようになります。

私たちは常にクライアントのために、情報を集め、そしてできるだけ税理士として貢献できるように日々仕事を行っております。この書籍での情報提供もその一種。本書があなたの節税に寄与できるよう、心より祈念しております。

終わりに

本書の中でも、何度も出てきましたがいまはYouTuberを始め、様々な情報提供者がいます。私は現在四〇代ですが、なにかを勉強しようと思ったら、まずは書籍。あるいは有識者のセミナーなどを受講するというのが当たり前でした。しかし、いまは「まずはYouTubeで勉強」、「インフルエンサーのSNSで学ぶ」という層もかなり多く、結果として間違った情報が拡散される結果になっているのではないかと思います。

当法人のお客様からも、「YouTubeで見たんだけど」「あの有名な○○さんのTwitterに書いてあったんだけど」というような質問、相談が来る機会が増えました。こうしたインフルエンサーからの情報は、本書で解説したとおり間違っていることも多く、都度お客様に説明することもあります。こうした背景もあり、ひとりでも多くの人が間違った認識で節税対策を行わないよう本書を上梓させて頂きました。

繰り返しになりますが、お金を残すということは、正しい情報を把握すること。そして、プロのちからを借りることにほかなりません。本書があなたの大事なお金を残せるようになるきっかけになりましたら幸いです。

さきがけ税理士法人
代表税理士 黒川明

節税相談・セカンドオピニオンのご案内

当法人では、これまで1000社以上との顧問契約を通じて、様々なケースの節税提案を行ってきました。もし、あなたがいま、節税に関して悩んでいる、あるいはセカンドオピニオン的に相談してみたいということでしたら、ぜひ一度ご相談ください。本書の読者特典として、無料で相談を受け付けております。オンライン通話も可能ですので、あなたの大事なお金を失ってしまう前に、ぜひご相談ください。

事務所名:さきがけ税理士法人
代表者:黒川 明
本店住所:東京都多摩市落合1丁目15番2号 多摩センタートーセイビル4階
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