みかんゼリーはまだあるか
平日の午後2時、計量カップにオレンジジュースを注ぐ。近所のスーパーで一パック198円する、粒入りで少し高級なやつだ。
450mlで止め、そのまま小一時間放置する。
雪平鍋に粉ゼラチンを一パックと、水100mlを入れ、ぐつぐつ煮る。そして、オレンジジュースを一気に注ぐ。オレンジジュースを前もって冷蔵庫の外に出しておくのは大事だ。あんまり冷えたジュースだと、鍋に入れた瞬間から変に固まってしまう。素人っぽい出来上がりになるのだ。そんなことを思いながら鍋の中を見ると、思い切り固まっていた。すごく素人っぽい。次は普通にオレンジジュースをレンチンしようと思う。
そんな風に最近ゼリー作りに精を出しているのも、全て娘の嬉しそうな顔を見るためだ。娘は私が作った素人ゼリーを食べるとき、本当に嬉しそうな顔をする。おさるのジョージが初登場シーンでバナナを食べている顔そのものだ。
ジュースだと一瞬で飲んでしまい「まやのみゅ!(まだ飲む!)」と言われる量でも、ゼラチンで固めてさえすれば、ゆっくりゆっくり味わってくれる。スプーンの使い方が完璧でないが故に、ゼリーをすくっては落とし、拾っては落としを繰り返し、少しずつ食べ進めていく。一生懸命な顔が、可愛い。
娘は家族3人一緒に食べるのが大好きだ。両親2人のゼリーの進行状況を確認しつつ、自分のゼリーが"まだ一番残ってる”状態を楽しむ。
「さひひゃんまやあゆ?^v^」(さきちゃん、まだある?)
「しゅんくんもおない?^v^」(しゅんくん、もうないの?)
「むすめちゃんまやある〜えへへ〜^O^」(むすめちゃん、まだある!)
2歳児の話す言葉は、だいぶ不完全だ。ほぼ親にしか分からない。インド人にしかインド人英語が分からないのと同じで(最近ではそうでもないのかもしれないが)基本的には私と夫にしか、娘の言葉は分からない。それはなんとロマンチックなのだろう。そんな蜜月も長くは続かないことが分かっているので、私は日々思いついた時に娘の語りをスマホで録音している。未来の自分のためのささやかなプレゼントだ。すでに0歳児の時の録音を聴き返してたまにニヤニヤしているが、それと同時に今この時間の娘も今この時間だけなのだといつも痛感している。動画や写真ももちろんだが、音だけの記録も個人的にはお勧めする。
雪平鍋を洗う。きょうの夜、みかんゼリーを食べながら不完全な日本語を喋る娘を想像しながら。
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