逆行というサイクル
惑星は逆行します。
もちろん本当に逆に進むわけではなく、あくまでも見掛け上の動きです。
全ての惑星は一定期間必ず逆行します。
水星は一年に3回ほど、木星や土星などの遠くの天体は年に一回、火星はだいたい2年に一回ぐらいします。
その期間は惑星によって違いますが、木星や土星などは約5ヶ月間程なので、ほぼ一年の半分は逆行しているわけです。
大昔、夜空の星たちを観察して季節や天候などの予兆を見出そうとしていた人たちは、惑星のイレギュラーな動きを不思議に感じたでしょう。
わたしだったら、きっと何か意味があるはず!
と思ったかも、
大昔の人たちも多分そう思ったから、夜空を見つめ続け、惑星を観察し、そこから西洋占星術や天文学が生まれ、今の暦も生まれたわけです。
カレンダーの語源は、古代バビロニアのカルディア人からきていると言われています。
カルディア人は約2000年前に西洋占星術の基礎を作り上げた人たちです。
彼らの宇宙はもちろん天動説で、太陽や月も惑星と捉え、土星までの7つの惑星が地球の周りを回っている、という世界観でした。
そして、カルディアンオーダーという惑星の並びを考えだしました。
ご存知の通り、日曜日は太陽、月曜日は月、火曜日は火星、というように、曜日にはこの7つの天体が振り分けられているわけです、
カルディアンオーダーは、太陽、金星、水星、月、土星、木星、火星という並びです。
もちろん曜日はこの順ではないのですが、でもこの並びが大きな意味を持っているんです。
それを説明する前に、ちょっと惑星時間という概念のお話をさせてください、
古典的な西洋占星術、あるいは天文学には惑星時間というものがあるんです、
このカルディアンオーダーの順に1時間ごとに進んでいくというものです。
つまり、太陽の時間の1時間後には金星の時間が来て、その1時間後は水星の時間で、火星の次は太陽の時間に戻っていく、というように、
太陽から始まって、順番通りにつなげていくと25時間後(次の日の始まり)は月の時間になります、そして月の時間から始まって25時間後には火星の時間になるわけです。
お気づきかと思いますが、これは曜日の並びと同じです。
太陽の時間から始まるから日曜日、月の時間から始まるから月曜日…という具合に、
「西洋占星術 星の階梯I」(河内邦利 著)で詳しく説明されているので、興味のある方は是非!
で、逆行の話に戻ります。
さっきも言ったように、逆行は結構頻繁に起こる現象です。
見掛け上とはいえ、地球にいる私たちからは確かに星が逆向きに進んでいるのが見えるわけです。
西洋占星術的には逆行とは個人や社会の中での振り返りや見直し、スローダウンというようなことを意味します。
順行の時は何も疑わずに前だけ向いて進んでいたのが、ちょっと立ち止まり、足元を確認して、過去を振り返る、
考えて見れば、そういう時期は人生の中に何度も訪れるし、大事なことなんじゃないかなと感じます。
人生には波がある、それは誰しも感じているんじゃないでしょうか。
幸運に見舞われる時もあれば、ついてないな、と思う時もある。
すごく気分が良い日が続いたかと思えば、なんだか気持ちが落ち込んでしまう時があったり、
それはごく自然なことで、
誰もが日常の中で、社会の中で感じていることでしょう。
上がりっぱなしの人生もなければ、下がりっぱなしの人生もありません。
上がったり下がったり、海の波のようにうねりながら結果的には少しずつ上昇していくのだとわたしは思います。
惑星の運行も言うなれば波のようなものです。
順行の時もあれば逆行の時もある。
宇宙のサイクルの中で私たちは生きています、
決してそこから外れることはできない……
でもあらかじめサイクルを垣間見ることができたら、
もうちょっと、楽に、余裕を持って生きることができるんじゃないかな、
それをそっと耳打ちしてくれているのが逆行のシステムなのだと感じています。
例えば3ヶ月に一回逆行する水星なら、今自分が取り組んでいることや考えていること、あるいは身近な人間関係の見直しや振り返りを促すような流れになったり、
木星の逆行なら、もっと大きな視野で見ていたものの方向性をじっくり見極める期間になるかもしれません。
その人のホロスコープの中で、各惑星がどんな意味合いを持っているかにもよります。
ちなみにわたしは水星が自分の健康面に直結しているので、約3ヶ月に一度は、体を大事にしなくちゃな、と実感することになるわけです、
でもそうやって振り返る時がないと、きっと大変なことになると思うし、そういう機会があるのはありがたいな、と思うわけです。
何事もスムーズに行っているときは周囲や身近に起きている些細なことに気づかない場合も多いでしょう。
逆に物事がスローダウンした時には、周りに意識が向いて、今まで見えなかった何かに気づく、ということもあるかもしれません。
宇宙が囁いてくれている逆行、というサイクルを少し意識してみることで、人生のサイクルに気づき、それに乗っていくこともできるんじゃないかな、とわたしは思います。
もう一度言いますが、
逆行は見掛け上の動きです。
惑星たちは決められた軌道を決められたように動いているだけで、決してイレギュラーに動くことはありません。
いうなら、今のこの惑星逆行のサイクルを見ることができるのは宇宙の中で、地球に生きる私たちだけということです。(もちろん他の惑星からも逆行の現象は見られるでしょうが、地球から見るのとはまた違ったサイクルになるはずです)
つまり、これはわたしたちだけのサイクルで、言うなれば地球のバイオリズムであり、すなわちわたしたち自身のバイオリズムでもあるんじゃないかと思うのです。
ちなみに直近では土星が逆行に入ります。
6月5日ぐらいから順行の動きが止まり、9日ぐらいに本格的に逆行を始めます。
土星は物事の大きな枠組みやシステム、個人にとっては自分を律するもの、絶対にやり遂げたいこと、どうしてもこだわってしまうもの、なんかを表します。
順行中はそう言ったことをなんの抵抗もなく受け入れていたのが、逆行し始めると、
待てよ、本当にそれで良いのか……、
と疑問を抱くようになるかもしれません。
場合によっては規律やシステムなんかが緩んで、ちょっと楽に感じられるかも、
とにかく、サイクルの中の出来事なので、
波に乗るように考えたり、動いたり、ごく自然体でいるのが良いのじゃないかと思います。
と、まあ持論を語ってしまいましたが、
暑苦しかったらごめんなさい……。
何かのお役に立てれば幸いなのですが。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。