数字の5は好きですか?
昔、『兼高かおる世界の旅』
という番組があって、
日曜の朝に放送していたんですが、家族で朝ご飯を食べながらみんなで観る、
というのが決まり事のようになっていました。
かなり小さいときだったので、正直ほとんど覚えていないんですが、
一つだけ、はっきり記憶に残っている回があって、
ヨーロッパか北欧のどこかの国に行ったときに、
なぜなのかはわかりませんが、兼高かおるさんがある男性の家を訪れたんです。
特別大きな家というわけでもなく、どちらかというとこじんまりとした普通のお宅でした。
少しやせた背の高い家主の男性の案内である部屋に入っていくと、
その部屋の壁には、一面余すところなく漫画の切れ端が貼ってあったんです。
子どもながら、その異様な光景にちょっと圧倒されたのを覚えてます。
「なんで漫画を貼っているんですか?」
とわたしの心の声を代弁するように兼高かおるさんが聞くと、男性は
「魔除けです」
と答えました。
男性の説明によると、
悪魔が来ても、壁に貼られた漫画を読んでいるうちに朝になって、消えてしまうから。
なのだそう、
悪魔が漫画を読む……
その言葉が意外で、不思議で、なんか、とっても印象に残ったんです。
地域の風習なのか、
それとも男性個人の考えでやっているのか、
そこらへんは覚えていないんですが、
壁の漫画を夢中になって読みふけっているうちに朝になってうろたえている悪魔の姿、を想像して、妙に親しみを感じてしまいました。
いったい何の話?
とお思いかもしれませんが、このちょっと奇妙な記憶が、
わたしが「5」を好きになる、そして理解するきっかけにもなったんです。
5という数字は、数秘的に変化や動きを意味します。
4という安定した状態から一歩踏み出し、自由になろうとするチャレンジ精神や躍動感、わくわくした気持ちや、好奇心も表します。
西洋占星術では5ハウスは喜びの部屋と言われていて、5番目の星座獅子座が位置し、太陽がルールしています。
自分らしく、生き生きと、楽しいことをする。
その中で学び体験して成長していく、
5にはそんな意味合いがあります。
恋愛も5ハウスが担当です。
そんな楽し気で生き生きとした5なんですが、
タロットカードではちょっと雰囲気が違ってきます。
タロットによって絵柄も違うので一概には言えませんが、
小アルカナの5に描かれた図柄は何かを失ったり、傷ついたり、葛藤したりと割と暗めな感じに描かれています。
それはきっと5の不安定さを表しているのでしょう。
冒険や好奇心といったことの先には、あるいは手前には、安定を手放し挑戦する、といった不安感もあります。
新しい恋を見つけるには、昔の恋から抜け出さなくちゃならない、とか。
大アルカナの5番は法王です。
これは自分の中の正しさに従っていく、というカードです。
不安や迷いを感じつつもとにかく自分が行きたいと思った道を行く、
その道がもし行き止まりだったとしても、
行き止まりだと、ちゃんと自分で知る、気づくことに意味がある、ということを教えてくれています。
5は五感も意味し、見て、触れて、聞いて経験することの大切さ、人として一歩一歩確実に成長していくことの喜び、も表しています。
ちなみに15番は悪魔のカード、
このカードが出ると怖い、と言われてしまうこともあるんですけど、
でもわたし的にはとても好きなカードなんです。
人に何と言われようが、自分の好きなことをする、やりたいことをやる、
自分の欲に正直に生きる。
というような意味合いを持っています。
恋愛で見た時には、もうどうしようもなく好き、とか、とにかく惹かれる、と読んだりもします。
今お話したように、5には自分の欲求に正直に従う、という自由でちょっと小悪魔的な雰囲気があるんです。
そして古来から5という数字には魔除けの意味合いもありました。
五芒星はご存じのように五つの線からなる星型ですが、
陰陽五行で安倍晴明が呪術に使い、家紋にもなっています。
日本では魔除け、としての意味合いが強い形です。
そしてアメリカの国防総省の本庁舎はペンタゴンと言われ五角形をしています。
これは防衛の意味から……とも言われていますね。
スピリチュアル的には5は神秘的な数とされていて、4は肉体を表し、5はその中に宿る精神、というような意味合いもあります。
とまあ、5を色々語ってきましたが、
なんで壁に貼った漫画が魔除けなのか、という話に戻ると、
5は楽しさやわくわく感を表すけれども、同時に自分の中の欲も意味する、
5は魔除けであり、同時に悪魔そのものでもあります。
悪魔が何なのか、という答えはもしかしたら人それぞれ違うかもしれないけれど、
壁に漫画を貼っていたおじさんにとっては、
悪魔は自分の中からやってくるもので、
自分の中から魔を出さないために、封じる方法として漫画を読む、のではないかと思うのです。
楽しい気持ちでいることが、不安を封じ込め、自分の中に魔を生み出さない、
ということなのでしょう。
さっきも言いましたが、占星術で5は太陽を意味します。
太陽は自分自身の象徴。
自分らしく、楽しく、わくわくした気持ちが、人生を躍動感のあるものにして前に進んでいく勇気を与えてくれる、
時に不安になるのは当然のことだけれども、それすらも自分の糧にして生きていく。
数字の5には、そんな自由で強い意志を感じます。
ふとしたときに5の数字やぞろ目を見たときなんかは、
「色々あるけど、とにかくやっちゃえば」
と、どこかの誰かに言われたような気持ちになります。
わたしだけでしょうが……
今回も最後までお付き合いくださり、どうもありがとうございました。