見出し画像

一歩の勇気と好奇心で出会った、底なしの熱量で挑む経営者の「志事」のあり方 ─経営者の相棒 体験記

初めまして!今回、「経営者の相棒」プログラムを通して株式会社オミカレの下永田社長のもとで1週間インターンさせていただいた、慶應義塾大学法学部政治学科三年の井上颯(いのうえ たつき)と申します。普段は慶應の放送研究会という150人規模の団体の局長をやっていたり、広告代理店やNewspicksでインターン生として働いていたりします。
一週間のインターンの経験を通して様々なことを学ぶことができたので、学びの整理も含めて体験した内容を記事にまとめていけたらなと思います。また、「経営者の相棒」プロジェクトに参加してみたい方、そうでなくても「何か新しくてワクワクする挑戦がしたい!」と思っている方に少しでも雰囲気を知っていただければと思っています!

「経営者の相棒」に参加した理由

最初に「経営者の相棒」プログラムを知ったのはもともと長期インターンとして働いていた広告代理店がきっかけで、僕のメンターの社員さん経由で、このプログラムの代表・平井咲子さんを紹介してくださったという形になります。
参加しようと思った理由としては、単純にプログラムを聞いた時に「面白そう」と思ったからです。もともと様々な面白い体験に飛び込んでいくのが好きな性格で、大学に入学してからは北海道のブルーベリー農家でバイトしたりカンボジアで日本語教師をやったり、ラオスで象使いの免許をとったりなどとにかく好奇心の赴くままいろんなことに挑戦してきました。今回のプログラムも、「経営者の鞄持ちとして一週間帯同できる」という内容を聞いた瞬間「やりたいです!!」と反射的に参加を決めていました。しかも、蓋を開けてみれば婚活パーティーのポータルサイトを運営している会社という大学生はなかなか触れることのない内容で、「めっちゃ面白そう!!」と感じたのを覚えています。一生に一度しかできない経験だなと直感的に感じたため、あまり深くは考えずにとりあえずやってみよう、という気持ちで参加しました。
また、将来的には自分で起業したいと思っているため、経営者の視点でどういうふうに会社を運営しているのか、どういったことを日々考えているのかという部分を学びたいと思ったというのもあります。

帯同した経営者について

今回僕が帯同したのは株式会社オミカレの下永田真人さん。下永田さんは新卒で株式会社リクルートに入社され、機械加工製品の大手メーカーである株式会社ミスミにてEC事業のDXをマーケティングの観点から推進。その後、教育機関向け・企業向けの教材・研修サービスの株式会社エナジードにて社長室として経営企画・マーケティングに従事し、法人事業責任者、取締役就任を経て、2024年より株式会社オミカレの代表取締役社長に就任。大学時代は政治家になりたかったそうです。そこからビジネスで世の中をよくしていくことに貢献したい思いでキャリアを歩んでこられ現在の経営の立場に至っていらっしゃいます。
下永田さんと最初に何度がzoomでお話ししてからインターンに臨んだのですが、zoomだけでもすごく優しくてエネルギッシュな方だなという印象でした。超がつくほどポジティブな方で、どんな時でも笑顔で話を聞いてくださいました。また、なんと下永田さんも慶應の法学部政治学科出身というまさかの学部の先輩だったため、それだけでちょっと意気投合した記憶があります(笑)
インターンの内容に関しても、婚活パーティーという触れたことのない分野の企業において「出会い」というなかなか考えることのないテーマに向き合うというとても貴重な機会だなととても楽しみでした。ただ、一方で一週間という短い期間の中で自分がどれだけのことをGIVEできるのか、最終的なアウトプットで下永田さんに満足いただけるのかという不安もありました。

5日間の過ごし方&課題内容

このプログラムでは、経営者にベタ付きすることに加えて、各経営者から宿題をもらって取り組みます。
今回下永田さんからいただいたのは
20代をメインターゲットとし、出会いとしてのマッチングイベントの認知向上、参加を促すマーケティングプランを、提案せよ(マーケティングプランは誰に、何を、どのように伝えるのかまで具体的に提案すること)」
というテーマ。最終日、このアウトプットに対して、なんと全社集会の場でご報告させていただくことになっていました。

1日の半分くらいは下永田さんの予定に同席。残りの半分は自分の手元で課題に対するアウトプットを進めていました。この1週間はできるだけオミカレ関連のことに時間を使えるよう他の予定は調整していましたが、どうしても調整が難しかった授業や、長期インターン関連のミーティング、夜のアルバイトなどもあったので、そういった普段の予定とも両立しながら過ごさせてもらいました。

下永田さんのスケジュール。VCとの会議、会食、経営会議、メンバーとの1on1など普段同席することのない内容が盛りだくさん

難しかったこと、葛藤したこと

若者に婚活パーティーを普及させることの難しさ

やはり一番難しかったのが課題をどう解決するかの部分で、マーケティングプランなど考えたことがなかったので最初はかなり焦りました。自分が出せる最大限のアウトプットを一週間のうちに出さなきゃいけないと考え、正直自分にかなりのプレッシャーをかけていたと思います。

まずはオミカレを実際にダウンロードしてどのようなイベントがあるのか、どのようなUIなのかを把握し、データからどのくらいの年齢層がオミカレを利用しているのか・競合となるマッチングアプリとの比較から始めました。ペルソナを設定し、なぜ若者が婚活パーティーに行かないのかを大まかに予想し、そこから逆算してどういった施策を打ち出すべきかを考えました。しかし、自分1人で考えてもしょうがないと思い下永田さんに壁打ちをお願いしたところ、「若者が婚活パーティーに対して抱いているイメージを深掘りしてほしい。むしろそこが一番大事」ということを教えてくださいました。この時にはっとさせられたのが、確かにある程度の若者のインサイトだったり施策は考えられていたものの、それが自分に対して求められている内容ではない、という気づきでした。このくらいのリサーチなら誰でもできるし、学生インターンとして自分がいかに価値を提供できるのかを考えさせられるきっかけとなりました。

そこからはひたすら周りの友人や先輩に、「婚活パーティーってどう思う?」という質問をひたすら投げかけ正直な意見を集めました。結果的にZ世代(22~28歳)の人たちが婚活パーティーという言葉自体に抱いているイメージはネガティブなものが多く、将来的に結婚適齢期になったところで利用する人は今より減ってしまうのではないかと思ったのです。いろいろ考えたのですがそもそも「婚活パーティー」という言葉自体がもうダメだなと思い、リブランディングが必要だと考えました。マッチングアプリが「出会い系」というネガティブなイメージを払拭して若者の生活に浸透したのと同じように、「婚活パーティー」とは違った新たな価値観を生み出すことで、本来の婚活パーティーの魅力が若者に伝わるのでは無いかと思いました。また、今の若者はリアルな出会いに対して消極的な傾向にあり、婚活パーティーのようにあからさまなマッチングの仕組みがあると嫌悪感を抱きやすいため、遊園地イベントや脱出ゲームなど出会いが動機とならないイベントを増やす方向性にしました。普段インターンをやっている広告代理店ではリブランディングの案件も多かったので、フレームワークを活用したりタグラインを作成したりと今まで学んだことをひたすら課題に落とし込むということができました。

最終日に課題に対するアウトプットとして全社集会で皆さんの前で発表させていただきました。正直若者が抱いているネガティブなイメージを社員に伝えるというのは失礼かなとも思ったのですが、ここで気を遣って言わないというのも根本的な解決にならないので正直に伝えることにしました。60枚に及ぶスライドとともにプレゼンをさせていただき、あまりにもボリュームをつめすぎてしまい規定の時間を大幅に超えてしまった(本当にすみません、、)のですが、結果的には「若者の正直な意見を知れて良かった」「言いにくいことも言ってくれてありがとう」と嬉しいフィードバックをいただくことができました

発表に対して、社員の皆さんからもたくさんの質問やフィードバックをいただいた

経営者からの学び

(1)経営者は百人百色。経営者の色が会社を彩る。

オミカレでのインターンを始めるまでは、なんとなく「経営者」と聞くと身の回りにいる社長のような人物像が思い浮かんでいました。それは若い頃に会社や学校を飛び出し、本当に0の状態から想像を絶する努力を積み重ねて今の会社がある、という方が多かったです。しかし、世の中には数えきれないほど多くの企業があり、毎日新しい経営者が誕生しています。そんな当たり前のことを下永田さんという今まで出会ったことがないタイプの経営者に帯同することで改めて感じることができました。
下永田さんが他の経営者と大きく違うのは「経営者」ではあるが「創業者」ではないという点でした。下永田さんは前職で関わりのあったVCをきっかけに今年から三代目のCEOとしてオミカレを経営しているため、0から今のビジネスを創り上げたというわけではありませんが、今まで積み上げられてきたものを守りさらに大きくしていくという意味では創業者とは違った難しさがあると話されていました。すでに長く働いている社員が多くいる中で経営者として全く関わったことのないフィールドで戦う、というのはかなりの重圧や苦悩があるのだと思いました。
しかし、同時に経営者の色というのは社員にも伝播するというのも同時に感じました。下永田さんは非常にポジティブな方で、一週間の帯同を通して下永田さんが弱音を吐いたり愚痴を溢す姿は一度もありませんでした。また、非常に優しい方でもあり、忙しい中でも僕のことを気にかけてくださいました。それは社員の皆様も同じで、社長に一週間だけ付くという不思議なインターン生である僕にも優しく接してくださり、質問にもたくさん答えてくださいました。仮に下永田さんがネガティブで物静かな方だったら、会社の雰囲気は大きく違っていたのかなとも感じます。経営者は1人の人間ではありますが、会社全体の細かい部分まで気にする必要があるため、経営者のキャラクターというものが会社全体の色に大きく影響するのだと学びました。

(2)圧倒的な「熱」があるから志事になる

下永田さんの強みは底なしのポジティブさと、もう一つはその推進力にあると感じました。社長に就任して間もないにも関わらず社員と密にコミュニケーションをとり、競合他社やアプリの経営者ともアポを取って話をしにいく行動力はすなわち会社全体を引っ張る大きな「推進力」に繋がっているのだと感じました。
また、一日30分という短い壁打ちの時間の中で僕はとにかくたくさんの質問をし、できるだけ多くを吸収しようとしていたのですが、下永田さんは全ての質問に同じ熱量で答えてくださり、結果的に30分を超えてしまうことも何度もありました(本当にすみません、、)。特に印象的だったのが下永田さんのビジョンを伺った際に、「出会い」を通して日本の少子化を食い止める必要があると仰っていたことです。少子化は全世界で起きており完全に解決することは難しいかも知れませんが、それでも減少を緩和する努力をしなければ地域の過疎化や税金問題など取り返しのつかないことになると仰っていて、そこまで大きな視点で普段の仕事を行っている経営者という存在に圧倒されました。
経営者は百人百色でいろんなキャラクターがいるとは思いますが、共通項として少なからず誰しもが「熱」を持っていることなのかなと感じました。大きな視点での志をもち、それを達成するために圧倒的な熱を持って取り組んでいるからこそ、ただの業務の繰り返しである「仕事」ではなく周りを巻き込んだ「志事」ができるのだと学びました。

(3)どんなビジネスであっても、その先には必ずユーザーがいる。

今回のオミカレさんとの帯同が始まる前は「婚活パーティーの企業!」というイメージだけで、実際のパーティーの運営を手伝ったり華やかなパーティーの会場にいる自分を想像していました。しかし、あくまでもオミカレは婚活パーティーポータルサイトを運営する企業。当たり前ですが業務としてはSEOの管理やパーティー運営者とのやりとり、VCとのミーティングなどが多く実際に婚活パーティーの現場に行けるわけではないということに少し落胆したのを覚えています。
そんな僕をみかねてか、帯同三日目の夜、下永田さんがオミカレのサービスを通じてパートナーになった2人との食事会に自分も招待してくださったのです!これが本当に良い経験で、実際にサービスを通して付き合ったカップルがどのような経緯でオミカレを知ったのか、どんなイベントに行ったのかなどを直接聞けるというのがとても面白かったです。何よりお2人が本当に素敵な男女で、まさに理想のカップルとも言える2人がオミカレをきっかけに交際した、というのが本当に嬉しく思えました。半分くらいは惚気話だったのですが(笑)それが本当に幸せそうで、すごく温かい気持ちになりました。
BtoC、BtoB、BtoBtoCなど様々なビジネスの形態が世の中にはありますが、最終的にはどのサービスも消費者、言葉を変えると生活者の価値に繋がっているのだということを感じました。オミカレの事務所で皆さんの業務を見ているだけだとどんなユーザーにどんな価値を提供できているのかを想像することしかできなかったのですが、実際に食事会でオミカレを通して付き合ったカップルと会話をすることでユーザーが何を感じているのかを明瞭に理解することができました。ビジネスとは社会に何か価値を提供し、その対価を受け取るというものです。どんな事業であってもその先にいる顧客が何を思っているのか、何を求めて何に価値を感じるのかをどこまでも理解しようとする、そんな「憑依」できる企業こそが成功するのかなと思いました。
何より食事会でカップルの話を聞いている下永田さんが心の底から嬉しそうで、このような機会がもっと増えればいいのになと思いました。

さいごに

今回、この「経営者の相棒」プロジェクトを通して下永田さんに帯同することで様々な新しい体験をすることができました。ここまで人生において「出会い」について考えることは今までなかったので、凄く新鮮な学びを得ることができました。また、普通のインターンとは違い経営者につきっきりであったため、経営者がどのような視点で会社を運営し、どのようなビジョンを描いているのかを知ることができたためとても良い一週間だったと思います。

挑戦の一歩を戸惑っている方へ

自分は中学受験でSFCという慶應の付属校に入り、中高を経て慶應義塾大学に入学しました。大学にエスカレーター式で進学できることが決まっていたためろくに勉強もせず、かといって部活や課題活動に精を尽くすような学生でも無かったため、本当になんとなくで生きていました。しかし、大学に入ったタイミングでいろんなバックグラウンドを持つ学生と触れ合うことで自分には何もないということに気づき、のらりくらり生きていた中高時代を激しく後悔します。大学ではもう後悔したくないと思い、「迷ったらやる」というマイルールに則りひたすらに行動量を増やし新しいことに挑戦してきました。大学で映像を始めてそれでお金を稼いでみたり、バックパッカーとして中東や東南アジア・インドを旅してみたり、ギターやピアノを始めてみたり、いろんなバイトに手を出してみたり、興味があったメディアの分野でインターンをやってみたり。ここには書ききれないほど多くの挑戦をし、多くの人たちに出会い、その度に学び考えて成長へと繋げてきました。今回の「経営者の相棒」プロジェクトも僕が広告代理店でのインターンを始めていなかったら関わらせていただく機会は無かったと思います。
一歩踏み出すたびに何か新しいものを得ることができます。それは別に今回の「経営者の相棒」プロジェクトに限らず、どんな分野においてでも挑戦をしない限り成功も失敗も味わうことができず、成長することはできないでしょう。
この記事は僕がオミカレでのインターンを通して学んだことを整理するために書いているのですが、もしここまで読んでくださった方で新しいことに挑戦してみたいという方がいたら、是非とも迷わずにやってみることをおすすめします。
長々と書いてしまいましたが最後までご覧いただきありがとうございました。


いいなと思ったら応援しよう!