ままならないこと
わたしの目は春が好きだけれど、わたしの身体は春が嫌いだ。
背中が痛み、動悸がする。それが過ぎ去るまで、ただじっと横になっているしかない。
会社に休みの連絡を入れてから、布団に入ることもできず、その場にへたり込む。
「こんな身体じゃ普通の会社で働けないな」
そうやってままならない自分の身体を恨んでいた。
頬を当てた畳の感触。
落ちた涙が吸い込まれて小さく変色する。
日焼けして黄色くなった畳の香り。
ままならない。
自分の身体さえままならない。
桜が満開になった次の日、嵐のような雨風が吹いた。
汗ばむようなあたたかさにつられて、ツツジもフジも一気に咲いた。
ままならない。
そういうことの方が多いのかもしれない。