たのしい昼寝
「なんか眠いから昼寝するわ」
Jがあくびを噛み殺しながら言う。
「わたしもー」
つられてあくびをする。
昼の光でほかほかになった寝室へ。
並んで布団に入る。
首まですっぽりと羽毛布団にくるまる。
横を向くと、Jもまったく同じに布団からぴょこんと顔だけ出している。
おんなじ角度で横になった顔。
視線がぴったりぶつかってふふふと笑う。
「靴下脱がないで寝れるの?」
布団に入るときは靴下を脱ぐのがマイルールらしく、そのルールをわたしにも適用してくる。
「いいの、このままで」
どうしよう、楽しくて、眠れるかな。
5分としないうちに、Jの息が深くなる。
その穏やかな寝息のリズムにつられてわたしの息も深くなっていく。
起きているのか、夢の中なのか、「あぁもうすこしで一番深い眠りになるな。それで目が覚めるな」と思った。思って、次の一瞬意識を失って、そしてパッと目が開いた。レム睡眠-ノンレム睡眠のカーブを自分で描きながら眠ってるような、そんな不思議な感覚。
隣を見ると、Jがまっすぐに天井を向いて寝ている。
アイマスク代わりに目の上に置いたクッションも微動だにしていない。
クッションを支える鼻筋が美しくてちょっと見とれる。
起こさないように静かに寝室を出ていく。
それから十分ほどして、アラームが鳴る前にJが起きてきた。
「スッキリしたー。寝た?」
「うん。よく寝たー」
眠りであたたまった頬がうっすらピンク色になっている。
それが肌の白さを余計に引き立てている。
昼寝っていいな。
大人になったら昼寝しちゃダメって誰が決めたんだろ。