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⑦終わらない苦痛と矯正後の後戻り

歯が動いていくのは分かったけど、全然顔つきは変わらなかった。

あれ?美人になるんじゃなかったっけ??
全然変わらないんだけど。。
そうだよね、「なんで歯並び良いのに矯正するの?」と聞かれるくらい元から歯並び悪くないし。

毎日そう思ってた。1年半もかからず終わると言われた矯正は2年かかった。金具はがっちりはめられたまま、動かす度に痛かった。口の中が切れてしまう事は何度もあった。そこから口内炎もできた。そんな日々だった。

大学生活、若く楽しい時期に私は私は口にいつも金具を付けていた。今、かつての写真なんて見たくもない。

大学4年生になって、ワイアーを取ることができた。見た目は矯正前とあまり変わらなかったのは事実だった。それでも母の「出っ歯だ!!」という攻撃から一生逃れられるようになったと思うと嬉しかった。

歯から金具が取れたことに感激したのもつかの間、次にリテイナーを付ける日々が始まった。リテイナーとは、動かした歯を固定するための透明な装置。これがまた大変。

リテイナーを付けている間は、水分は水しか駄目と言われた。食事をした後も歯磨きをしてからでないとはめられない。大学生活で友達からお菓子をもらっても、その場で断らないといけない。事実上、どんな時も歯ブラシを持ち歩いていないと駄目だった。

リテイナーで常に歯が覆われてしまうため、唾液で歯を洗い流すことができなくなり、虫歯リスクが高まるから、とにかく歯を磨くようにと言われた。勘弁してくれよと思った。

オフィスで働く社会人のように自席やロッカーがある状況なら、歯ブラシを置いておくこともできるが、どんな時も持ち歩くのは大変で元々ずぼらな私が続けられる訳も無かった。何よりも、自分がやりたくてやった矯正じゃなかったし。

やっと痛くて仕方がなかったワイヤー金具から解放されて、これから痛みは無くとも手入れが大変なリテイナーを綿密に頑張れるかというと、それは無理だった。

夜寝るときは付けて、朝も付けて大学に行くが、お昼を食べた後は外して、また家に帰ってから付けるという感じの過ごし方をしていたら、どんどん歯が後戻りした。

歯の後戻りを嫌だとも思えなかった。あれ程の苦しさに耐えてきて、少しくらい後戻りしても、前より出っ歯じゃないし、もう良いやとしか思えなかった。これ以上の苦しみに耐えたれない。戦意喪失状態だった。

矯正の歯科医には、どんどん後戻りしていく歯を見て残念がられたけど、何とも思えなかった。そのいくらい2年以上のワイアーにヘトヘトで、戦意喪失だった。


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