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⑪インプラント施術の日とその後

インプラント挿入に向け、歯槽骨は順調に回復した。若いからこそと言えばよいか、基本的に体は健康体であるが故の回復だった。そこに感謝して日々を過ごそうと思った。

施術に向けて、着々と話が進んだ。
「口腔内の麻酔だけでなく、緊張感を和らげるような麻酔もするか?」と聞かれ、よく分からなかったけど、了承した。結果として良かったと思っている。

手術当日、インプラントの専門医にお会いした。信頼できそうな素朴な雰囲気の方で、少し安心した。麻酔をしたけど意識はあった。少し不思議な感じの麻酔だった。
ラバーダムをかけられ、周囲が見えなくなった。その方がむしろ良かった。骨に穴を開けるのかと思うと、もう何も機材も見えないほうがいい。さらに麻酔の効果で眠る直前のような落ち着いた気分だった。あとは、されるがままに手術の時間を過ごした。
手術中は歯科医の真剣さは分かった。しかし会話の細かい内容は理解できなかった。一通り施術内容に区切りがついた瞬間があったようで、施術が一旦止まった。その後、歯科医と周りの衛生士、関係者の安呑に満ちた雑談が聞こえた。真面目な雰囲気の歯科医さん達もこんな雑談をするんだなと思った。でも、これだけ安堵に満ちた雑談が始まったということは、私の施術はうまく行ったのだろうと思った。会話内容は理解できないのに何故か状況把握はできた。これが謎の麻酔の効果だった。

ラバーダムが剥がされ、「移動しますよ」と言われ、少し支えられながら部屋を変わった。少し休んでから、今後の説明を受けた。

骨を削ったはずなのに、全く痛くなくて、前代の医療技術は素晴らしいと思った。インプラントもいつまで延命させられるかは、自身の努力とメンテナンスによる。自分の歯として、大切にしていこうと思った。

その後、少しずつインプラントの危険性も耳にするようになる。それでもやはり、入れ歯は自分の中で無理だった。
ブリッジや他の選択肢もあるけど、やはり他の歯を削りたくなかった。
ベネフィットバランスとして、インプラントを選んだことを今の時点では後悔していない。

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